高まる期待に応えるレグザ
勝負を決めるのは“提案力"


(株)東芝
ビジュアルプロダクツ社
映像マーケティング事業部
日本部 部長
岡田 淳
 
VGP 2010 SUMMERで金賞を受賞した“LEDレグザ”。写真は金賞も同時受賞した「55Z1」   金賞を受賞した“CELLレグザ”「55X1」
 

今春発表の「LEDレグザ」は全機種にLEDバックライトを採用。画質はもちろん、環境やデザイン性能に優れたLED戦略の推進を鮮明に打ち出した東芝。昨年末の「CELLレグザ」発売以来、ますます高まる市場からの期待を、飛躍のエネルギーとして充填。テレビに対して一層問われる“提案力"を武器に、市場創造を力強くリードしていく構えだ。

 
商品のさらなる進化へ − CELLレグザのDNA

――「CELLレグザ55X1」はじめ、今春発表された「55Z1」「47Z1」「37Z1」、また、ハードディスク(HDD)内蔵の録画モデル「22HE1」が金賞を、そして、「LEDレグザ」が審査員特別大賞の受賞となりました。

岡田 Zシリーズは本物の高画質を目指す東芝<レグザ>の代名詞です。今回はLEDバックライトを採用すると同時に、透過率の高いクリアパネルを組み合わせた「Z1シリーズ」を投入しました。明部と暗部のコントラスト表現に優れ、映像にもさらに磨きがかかり、高くご評価いただき大変うれしく思います。

昨秋にUSBハードディスク録画対応のRシリーズを新発売し、好評を得ましたが、2台目需要としてのプライベートルームでの使用用途や、ご年配・女性の方などから、「小型モデルにもハードディスク内蔵モデルが欲しい」との声を数多くいただきました。内蔵ハードディスク録画機能付きの「HE1シリーズ」は、そうした期待に応える新シリーズとなります。リビングのように広いスペースではなく、置き場所が制限されるケースも少なくない中で、LEDの強みを活かした薄型化も大きな特長のひとつです。

―― お客様のテレビの楽しみ方もさらに多様化しています。

岡田 商品ラインアップはもちろん、店頭展示もさらに強化をしていきたいと考えています。Zシリーズではこれまで、37、42V型が中心サイズでしたが、エコポイント制度の後押しもあり、サイズアップの要望が強まっています。店頭でも47V型や55V型を加え、ラインアップで展示されるケースが増えました。また、37、42V型を購入されたお客様からは「もう少し大きなサイズを買っておけばよかった」という声をよくお聞きするのですが、47、55V型を購入されたお客様はそうした声も少なく、満足度が高いことも特徴のひとつとなっています。

一方、26、22、19V型などの小型サイズでは、今回はいろいろな方のご意見も参考に、色展開にも力を入れています。「HE1シリーズ」では落ち着いた色味を基調に、ブラック、ホワイトに加えてカッパーローズを加えました。実際に選択されるのは、ブラックが約8割と圧倒的に多いのですが、今は、部屋のインテリアなどにあわせて“選べる楽しさ"も大切な要素です。それぞれのポイントにおいてきちんと刺激できるものでないと、2台目需要喚起のスピードも鈍ってしまうと思います。

―― 昨年末の「CELLレグザ」登場により、御社に対するイメージ、期待度はグンと上がっていますね。

岡田 ブランド力が上がってきた手応えはありますね。かつては、47、55V型といった大型サイズは必ずしも強くはなかったのですが、「本当はCELLレグザを購入したいのだけれど…」と、ZやZXシリーズの大型サイズを購入されるケースも少なくないようです。

そうした期待を裏切ることがないよう、今春発表の新商品には、
「CELLレグザ」に採用した、より正確な画像補正を行う「自己合同性型超解像処理」を全モデルに採用しました。「CELLレグザ」のDNAを、次々に一般の商品へと落して込んでいくつもりです。

 

レグザへ寄せられる3Dへの大きな期待

―― 販促面からどのようにアピールされていくのかも、大きなポイントのひとつになりますね。

岡田 「REGZA GREAT JOURNEY まだ誰もみたことのない美しさを求めて。」という新しいテーマを掲げました。テレビCMでは、福山雅治さんが誰も見たことのない美しさを求めて世界を旅します。東芝<レグザ>の最先端をいく高画質も、まさに誰も見たことのない美しさを追求するもの。新しい発見を常に提供していく、そんなメッセージを、じっくりと時間をかけて皆さんにお届けしていこうと考えています。

この夏は、各社から登場してきたLEDモデルによる勝負となりますが、そこでもシェア云々ではなく、大切なのは、<レグザ>のブランド価値をどのようにあげていくか。どうお伝えしていくかだと思います。そうすれば自ずとシェアはついてくるものだと信じています。

妥協を許さず、常に本当の高画質を追求してきた姿勢がお客様からも高く評価いただき、ご販売店さんからも強い期待をいただいています。店頭ではご支援策のひとつとして、レグザフェアを6、7月に開催して参ります。ラインアップも多彩になりましたが、安定した商品供給とタイムリーな販促は同時に大切な要素になります。

―― 話題を集める“3D"に対する取り組みをお聞かせください。

岡田 3Dの放送もまだ少ないですし、ソフトが本格化してくるのは秋から冬になります。すなわち、夏を過ぎて環境が整ってくるタイミングが大きなポイントとなり、現在、そこへ向け、「CELLレグザ」を基軸とした3D対応の新商品導入への準備を着々と進めているところです。

3Dそのものはうまく認知されたと思います。過去の3Dとの大きな違いは、まず、高画質であること。パッケージソフトもDVDでは画質面で厳しかったと思いますが、BDがうまく立ち上がってきました。コンテンツさえ揃えば、さらなる高まりを見せることは間違いありません。

「CELLレグザ」のインパクトが大変大きかったものですから、今回も「東芝から物凄い3Dが出るのではないか」という市場からの大きな期待感を感じています。CELLには高速処理というメリットがあり、3Dにもまさに最適で、CELLと3Dが合体したらどうなるのかという期待もごもっともだと思います。期待をいただけるというのは本当にありがたいことで、技術陣にとっても大変大きな励みになります。

 

これからのテレビは“提案力"の勝負

―― 現在、テレビ市場は大変活況を呈していますが、“アフター・地デジ"についてはどのように見ていらっしゃいますか。

岡田 先日、総務省から3月時点の地デジ普及率が83.8%との発表がありましたが、2台目需要などもまだあり、全体ではようやく半分が置き換わったイメージですね。台数にしても、地デジ化の済んでいないテレビがまだ6,000万台から7,000万台は残されていると思います。

お客様も本当は、寝室や子供部屋もテレビを買い替えたいと考えているのだと思います。しかし、それを実需につなげるために大切なのが付加機能です。小型=安価なモデルというイメージがありますが、それは設置スペースの都合にしか過ぎません。小型でも高機能、付加機能のあるテレビを見たいとのご要望を数多くお聞きしています。

付加機能のひとつとして、<レグザ>では、遅延時間の短い快適な操作性と超解像技術による映像処理やスケーリング処理でより美しくゲームが楽しめる「ダイレクトモード2」や、ポータブルゲーム機の画面を<レグザ>の大きな画面いっぱいに使って楽しめる「ポータブルズーム」など、プライベートルームでのゲームニーズに応える機能にも注力しています。

「ダイレクトモード2」ではIP変換、超解像処理、スケーリングの時間をさらに短縮。より遅延の少ないゲームプレイが可能になった

テレビ市場は通常ペースに一度戻りますが、テレビが放送だけでなく、楽しみ方が変わってくる。そこへきちんと応えていくものでなくてはなりません。そこで、お客様にどのような提案を行っていくかは、一番近くにいるご販売店の方と一緒になって進めていきたいと思います。

―― この春の新ラインアップでも、ブロードバンドやDLNA対応などのネットワーク機能が強化されています。

岡田 お客様の立場に立って、今、何を一番やりたいのかを考えたときに出てくる答えのひとつが、家庭内のホームネットワークです。テレビがホームサーバーとなり、リビングで楽しんでいたコンテンツの続きが寝室でも手軽に楽しめる。そうした提案を積極的に行っていくためにも、春夏商戦向け新商品の全機種をDLNA対応としました。使い勝手もひとつのポイントになります。「Z1シリーズ」ではWindows7対応パソコンからの操作で<レグザ>をコントロールしたり、PC内の映像を<レグザ>で再生することを可能にしています。

Windows 7とレグザの連携イメージ

ポイントは、店頭でどう訴求していけるかですね。多くのお客様は「まだまだ先」というイメージの世界が、実はもうすぐそこまで来ている。うまく提案できれば単価も上げられるし、2台目・3台目需要もより喚起できる要素になります。いち早くハードディスク録画対応を推進し、“時間"からの解放を実現してきましたが、今度は“場所"。場所を気にせずに楽しめる環境を早く浸透させていきたいと思います。

今後、テレビに対するニーズが多様化していく中で、我々の持つ技術をどう活かしていくことができるか。ポスト地デジ後も、テレビの楽しさは健在です。ただし、何をどのように楽しむのか。ますます提案力の勝負になってくると思います。

 

【関連リンク】

東芝 デジタル機器 製品情報サイト

 
岡田 淳氏 プロフィール

1982年 (株)東芝入社。ビデオ事業部国内営業部門で販売企画・販促・広告に携わる。03年4月 デジタルAV事業部DAV国内営業部長に就任。DVDレコーダーの国内市場導入を行うなど、録画機器の国内営業活動に長年従事する。09年10月 映像マーケティング事業部 日本部部長に就任、現在に至る。趣味は読書、映画鑑賞。