テレビ新時代を先取り提案
“できる録画テレビ、Wooo”


日立コンシューマエレクトロニクス(株)
マーケティング事業部 マーケティング本部 担当本部長
高橋憲二


プラズマテレビ
P50-XP03
液晶テレビ
UT37-XP800


新しいテレビの時代へ、全機種を録画&ネットワーク対応とした新シリーズで、“できる録画テレビWooo”を打ち出した日立。エコ対応やUTシリーズによるレイアウト自由型の提案にも、さらに牙を研ぎ澄ます。消費者の目がますます厳しくなる中で、同社の特長である付加価値型商品のその魅力を訴えていく。

インタビュアー:音元出版社長 和田光征

■“できる録画テレビ”

――御社が提唱されてきた“録画できるテレビ”も、着実に構成比が拡大していますね。

高橋 日立のWoooはまさにその老舗ですから、今回の新商品は全機種が録画&ネットワーク対応となり、新たに“できる録画テレビ”として、その特長をさらに訴えて参りたいと思います。

録画機能に関しては、カセットHDD「iVDR」の認知度が確実に高まりつつあります。リピートの購入者も増えており、一度ご使用いただいたユーザーからは、使い勝手を大変高くご評価いただいています。やはり、パッケージにすると、「どこに録っているのだろうか」という不安の解消にもなるようです。ビデオカセットのように「カセットHDD」という言い方を前面に打ち出しているのも、「これで録っているんですよ」ということをもっと強く訴えたいと思っているからなんです。

BDや外付けHDDに対するカセットHDDの優位点をもっと明確に訴えて参ります。iVDRは今後、クルマのカーナビなど、いろいろな広がりが期待されます。ブレイクポイントへ向けて、知恵を絞ってやっていきたいと思います。

商品開発に際しては、一定のレベルで満足してしまうとその次へは行けません。ヒット商品というのは敵のごとく、と言いますが、自社の商品を最大の敵としてそれを凌駕するよう努力しております。


――アナログ時代とはテレビの使い勝手が大きく変わりました。御社の場合は、中央研究所など全社の研究所が効率的、効果的に機能しているのではないでしょうか。

高橋 研究部門も象牙の塔のようではダメだということで改革が行われ、コンシューマー商品では、コンシューマーエレクトロニクス研究所が、テレビの設計部隊と一体になって取り組んでいるのが特徴です。私どもも研究所としてではなく、設計の部隊というレベルでコンタクトしていますから、逐一シーズを掴むこともできます。

先日、その研究所のメンバーをはじめ、開発、設計、商品企画、さらに営業本部、販社の営業、売り場担当、そして、お客様相談センターの担当者が一堂に会して合宿を行いました。お客様相談センターにはクレームもありますが、何を買おうかと考えているお客様からの相談も数多く寄せられ、お客様の声が本当にたくさん寄せられてきます。

これだけの部門から集まって、喧々諤々と2日間もやると、いろいろなアイデアが出てきます。この合宿は是非やってみたいと常々思っていたもので、ようやく実現できました。これからも、定期的に行っていきたいと思います。

■IP時代のソリューション


――エコポイント制度もはじまり、テレビ市場の活性化が伝えられています。手応えはいかがですか。

高橋 現時点では、スタート前の買い控えされていた方が戻ってこられたというのが実感です。まずは、ボーナスが出てからの動向を注目しています。ポイントを何と交換できるのかわからないために躊躇されている方や、量販店のポイントと混同されていている例もあります。こうした点は早く解消していかなければなりません。

――できるだけ付加価値の高いものをお買い求めいただく流れを創っていきたいですね。

高橋 ポイントを画面サイズで分けられたのは正解ですね。50V型で36000ポイントならかなりのインパクトがあります。97年に消費税が3%から5%に引き上げられる前の駆け込み需要による押し上げが約15%、家電リサイクル法導入前の押し上げが10%強ありました。しかし今回は、数%とか数千円という単位ではありませんから、もっと効果があると思います。

来年は、日本代表が出場を決めたサッカー・ワールドカップの開催年にもあたりますから、これから薄型テレビが大きく伸びていくタイミングにあると思います。さらに当社の「創業100周年」というトピックスもあり、ここは大きく勝負に打って出たいですね。

――新商品で打ち出された“できる”という部分が伝わっていけば、お客様にとっても、これからのテレビの新しい時代に「買わなければいけないのはこれだ!」ということになるのではないでしょうか。

高橋 これからのテレビは、何かをつなげたり、インターネット経由でコンテンツを手に入れたり、使い込むテレビへと進化していきます。そこで最も重要となるキーワードが「誰でも使える」ということだと考えます。例えば、EPGはもっと見やすくあるべきだし、リモコンももっと画期的な使い勝手が実現できるはずです。これからは、これまで以上にシンプルである、かんたんであるということに対して対価をいただけるようなソリューションが必ず出てくると思います。

――テレビを単に地デジ対応へ切り替えるのでなく、もっと快適なテレビとして位置付けていくことが大切になってきますね。

高橋 当社では、ポータルサイトを活用した「ビデオでメール」などの提案もすでに行っていますが、2011年には薄型テレビの75%がIPネットワーク対応になると予測されます。ダウンロードも若い人が映画を見るだけではなく、例えば、おじいちゃん、おばあちゃんが迷うことなくNHKの見逃し番組を利用できる、そんな環境づくりを行っていきたいと思います。

また、ケータイから映像を送るといったソリューションにもすでに対応できていますので、そうした面での使い勝手ももっとよくして、“録画できるテレビ”のように、市民権を得ていきたいですね。


 HITACHI プラズマテレビ P50-XP03
HITACHI 液晶テレビ UT370-XP800


売り場展開に新提案を

――エコに対する注目が高まる中で、今回は「エコ効果メーター」という新しい提案もされていますね。


高橋 エコというのは、果たして自分がどれくらい貢献しているものなのか、ビジュアル的に訴えないとなかなか見えてきません。そこで、“見える”エコというのをシンボリックに打ち出しました。

エコメーターの横には、環境の明るさや光源の色まで表示しているのが特長のひとつになります。これまでテレビには、「映画」「リビング」などのモードを搭載していましたが、調べてみると、常時使っている人は10%強しかいないというのが実情でした。そこで、部屋の環境やコンテンツをテレビの側で判断して、輝度・色温度・コントラストなどを自動で最適に制御する「インテリジェント・オート高画質」を搭載しました。これからのトレンドになっていくと確信しています。


――売り場でも断然目を引くのがUTシリーズですね。

高橋 この商品がなかったら、日立のテレビがもっと見えにくくなっていたと思います。部屋のインテリアにもマッチするということで、現在はコンシューマー市場にとどまらず、ホテルなどの業務用にもブレイクする勢いで需要が拡大しています。

――UTシリーズは女性ファンが多いのではないでしょうか。

高橋 他のテレビと比べると女性の構成比は確かに高いですね。特に白は女性の方に好評で、また、壁掛けにするケースでも、部屋のインテリアや壁紙にあわせて白を選ぶケースが多いようです。デザイン性の大変高い商品ですので、昨年のCEATECでは、ベゼルに仕掛けを施して、色を変えたりすることができる提案を行いましたところ、「これはどこへ行ったら買えるのですか」といった質問をたくさんいただきました。こうしたことにも今後、トライしていきたいと思います。

――それでは最後にご販売店へのメッセージをお願いします。

高橋 今、系列店様に、「IP系の知識は避けて通ることはできませんよ」、というご説明をさせていただいています。光回線を入れていないと、新商品の特長も十分に訴求することはできません。まず、進化にはきちんとついていっていただくことで、一緒になって、お客様ニーズの先取りができる提案を行って参りたいと思います。

私どもの商品の先進的な特長を、できるだけ多くのお客様にきちんと知っていただくことで、「買ってよかった」ではなく、買う前に、その価値をきちんと認めていただけるような環境づくりにさらに力を入れていきたいと思います。


高橋憲二氏 プロフィール
Kenji Takahashi
1955年4月18日生まれ。福岡県出身。79年3月、九州工業大学卒業、同年4月、日立家電販売(株)入社。05年4月、(株)日立製作所ユビキタス営業統括本部コンシューマ営業本部長、09年4月、マーケティング事業部マーケティング本部担当本部長、09年7月より日立コンシューマエレクトロニクス(株)マーケティング事業部 マーケティング本部 担当本部長。趣味はアウトドア全般。生まれも育ちも福岡県、根っからの九州人。入社以来、コンシューマ向けAV商品の営業一筋で販売最前線に精通していると自負する。モットーは「成せば成る」。


【関連リンク】
 日立製作所 AV情報ページ
  http://av.hitachi.co.jp/
 Phile-web「Wooo WoRLD」
  http://www.phileweb.com/wooo/