総合力を活かした商品づくりで
お客様のニーズを具現化していく


(株)日立製作所 コンシューマ事業グループ
デジタルコンシューマ事業部 デジタルコンシューマ営業本部
本部長 須藤利昭氏



薄型テレビの次の一手である“超薄型”をいち早く商品化し、大きな話題を呼んだ日立。また世界で初めてBDをメディアに採用したビデオカメラの投入、とりはずし可能なハードディスク“iVポケット”など、その技術力を活かした商品を連打し、総合的な技術力の強さをみせつけている。今回ビジュアルグランプリでの「金賞」評価につながったそれらの提案を通じ、同社の今後の方向性と意気込みを伺った。

インタビュアー:音元出版社長 和田光征

■ 業界に先んじて発信した超薄型テレビ

―― このたび、御社の商品4モデルがビジュアルグランプリの金賞を受賞されました。おめでとうございます。

須藤 ありがとうございます。今回の超薄型液晶テレビUTシリーズやiVポケット搭載薄型テレビ、BDカムなど、日立の本来もっている力を総合的に示し、技術力を具現化した商品をご評価いただきましたことは、大変ありがたいことと感じております。おかげさまでここ1〜2年、当社は他社様にない特徴をもった商品を出せているのではと思っております。今後は、お客様の評価が根付いていくようなプロモーションや販売活動を展開していくことが肝心だと考えております。

―― 超薄型液晶テレビUTシリーズは、審査会でも大変な話題となりました。超薄型テレビは多くのメーカーさんが開発されていますが、発売第一号ということを実現できた背景をお教えください。

ビジュアルグランプリ2008 金賞
超薄型液晶テレビ「UT32-HV700」。 世界最薄を実現した液晶 テレビ“Wooo”UTシリーズ
須藤 今テレビ市場では、大型テレビはプラズマで、液晶は32、37V型のところをメインに推移しているという状況です。当社では液晶もプラズマも手掛け、サイズによってコストや性能などを考慮し、デバイスとして一番いいものを投入して事業を進めています。日立はプラズマを中心にすすめてきたと見られがちですが、液晶やプラズマであるということ以前に、薄型テレビのマーケットでそれなりのシェアを獲得するために、日立のもっている技術を世の中にきちんと問えるような商品が必要でした。

今回の超薄型テレビであるUTは、液晶も含めた薄型テレビ市場の中できちんとした位置を獲得するきっかけであり、日立の技術を誇示するために必要な商品と言えるでしょう。これまで研究所レベルで取り組んでいたものを、去年商品化の目処が立ってきたので事業部でまとめたものです。おかげさまで他社様よりも先行して発売することができ、最初の目的が達成できたと思います。

また当社では、通常の液晶テレビも継続していきます。商品には高付加価値の提案型もあれば、価格のこなれたものもあり、幅広いお客様に商品を提供させていただくために、UTシリーズと、従来スタイルの液晶・プラズマを上手く組み合わせて商品ラインナップをそろえていくということが今後の展開になっていきます。

―― 今回のL37-X01については、ハードディスクを内蔵せずiVポケットを搭載されました。これはお客様にとっての選択肢を広げたということでしょうか。

ビジュアルグランプリ2008 金賞
液晶テレビ「L37-X01」。 「iVポケット」を搭載した37V型フルハイビジョン液晶テレビ“Wooo”
須藤 日立のテレビの特長は、ハードディスクが内蔵されていることではなく、録画ができるということです。テレビを見ながら録りたいときにすぐ録れる、簡単に録画予約できるということなのです。レコーダーとテレビを分離することによって生じる難しさを排除し、誰でも簡単に録画して楽しめるというソリューションを提供したいということです。

私どもはハードディスク内蔵のHRタイプと、ハードディスク非内蔵のHタイプを展開していますが、今回の商品群の発想としては、Hタイプを録画できるものにしたいということがベースにあるのです。その選択肢として、HタイプにiVポケットをつけ、お客様は将来的にiVDRを購入していただくことによってHRタイプと同様の結果を得ることができるというL37-X01を投入しています。ゾーンの真中を埋めながら、将来的にはHRタイプを購入されたのと同じ結果を得られるということを狙ったもので、「録画もできる」、「発展性がある」、ということです。

またUTシリーズもハードディスクを内蔵せずiVポケットをつけています。L37-X01はXRタイプからハードディスクを除いたものなので2チューナーを搭載していますが、UTシリーズはHタイプにiVポケットをつけたもので1チューナーです。私どもとしては、録画が簡単にできるというソリューションをいろいろな方法でお客様に提供できるようにしていって、最終的に一番支持を得られるようなものが次のステップのメインにくるのではと考えています。

―― 32V型のUTシリーズでは、カラーバリエーションも設定されていますね。

須藤 当社では、薄型テレビでのカラーバリエーションは初めてです。32V型というのはパーソナルユースというマーケットもあり、カラー展開でお客様の選択の幅を拡げたいと考えています。またUTシリーズはデザイン本部が中心になってデザインをまとめ、そこでめざしてきたものを生かせるような色を幾つか用意することにより、より商品としてのデザインのよさを出していきたいという狙いがありました。これをお店に展示していただくときは2色、3色のバリエーションでの展開を図りたいと思います。


■ お客様のニーズをとらえて店頭でしっかりと表現する

―― UTシリーズはデザインも大変すばらしいテレビですが、店頭ではともすると特長をアピールしにくくなってしまいます。ご販売店様に対しての展示のご要望や、ご意見などをお聞かせください。

須藤 確かにUTシリーズは壁際に置かれてしまうと、普通のテレビとの差別化が図りにくくなってしまいます。私どもでは展示台を含めて、薄さがわかる展示の仕方をご提案させていただこうと思っています。量販店様ではアイランド展示をさせていただいたり、壁掛けやフロアスタンドを使用するなど、置き方も幾つかのパターンでご提案したいと思います。壁掛けの際も、奥行きが約6cmにしかならないということがメリットですね。

またプロモーションに関してもイメージキャラクターを一新させるなど大々的なものを考えております。このテレビについてはスペックをながめていただくより、35mmという今までにない薄さの感覚を体感していただくため、商品を実際に見たり触ったりしていただきたいのです。そこで32V型発売の年末と、年明けの37V型モデル発売に合わせてイベントを全国規模でやらせていただく予定です。

また店頭での売り方ということについては、今商談をさせていただく中でご意見を伺いながらセールストークをつくっているところです。お客様にとってメリットとなるのは何かを考えると、ただ薄いということをアピールするよりもっと別の視点からの表現も必要になってくると考えます。まずはこのコンセプトに賛同していただけるようなセールストークをつくっていくことが重要です。

―― このような商品は、最初に購入されるお客様が一番尖った使い方をされると考えられます。そういったお客様のフィードバックも楽しみですね。

須藤 おそらく最初に購入される方は、私どものコンセプトを直感的に理解されていると思います。問題はその次のお客様のご購入をどう導くか。次のタイミングで37V型が出てきますが、画面サイズが大きいほど薄さが感動的になってきますからここでさらにアピールします。その2カ月後に出てくる42V型ではもっと薄さのメリットが強烈に伝わると考えます。ここで徐々に創りあげてきたものが完成し、一斉に走り出すことになるのです。

―― 一方、プラズマテレビは前回のビジュアルグランプリでも評価させていただきましたが、今回さらに画質が向上したと感じます。

須藤 プラズマの60V型はフラグシップモデルであり、メーカーのもっている技術を問われる存在です。画質がとにかくきれいでなくてはなりませんし、60V型モデルにiVポケットを搭載することで、家庭に入る大きさのテレビとしてプラズマのめざす商品ラインナップが完成したと考えています。

―― 次にBDカムについて伺います。秋の商戦が終了して、お客様の反応はいかがですか。

須藤 この商品については、発表の時点からお客様の関心は非常に強かったと感じています。しかしこの秋は商品を潤沢に店頭にお届けすることができず、残念に思っております。今回、BD自体を認識されているお客様は文句なくお買い上げいただき、ご満足いただいたと思います。ただ、「BD」=「フルハイビジョン」というつながりが、私どもが思ったほどには簡単には伝わっておらず、今後のプロモーション上の課題と感じます。

ビデオカメラは本質的に、そのときの最高の画質を永く保存することが使命です。今回の商品は、BDという将来メジャーになるであろうメディアを使って、フルハイビジョンで長時間記録できるという、現時点での最高技術を盛り込みました。入り口から出口まで全部フルハイビジョン処理をしているビデオカメラというのは、この商品だけであり、お客様の高画質ニーズに十分お応えできるという自信をもっております。

ビジュアルグランプリ2008 金賞
BDカメラ「DZ-BD7H」。 世界初のBD+HDD フルハイビジョンハイブリッドカメラ“Wooo”
ビジュアルグランプリ2008 金賞
プラズマテレビ「P60-XR01」。 「iVポケット」を搭載したフルハイビジョン
プラズマテレビ“Wooo”

―― 日立のカメラはこれまで次々と「世界初」を実現してきました。今後の方向性についてお聞かせください。

須藤 カメラももちろんですが、家庭内のAV機器はすべて最終的にフルハイビジョン化を目指していきますし、お客様のニーズはそこにあると思っております。ビデオカメラはある意味、絶対的高画質を長時間、手軽に保存できるものということでBDにたどり着くことがゴールといったところがあったと思います。そうするとこの次は何か、今の時点ではまだ見えていませんが、まずはBDで最高画質をめざし、ハイビジョンモデルでのNo.1シェアを獲得することが目標です。


■ 薄型テレビは情報端末に。日立のもつ総合力で対応

―― 御社が手掛けておられる商品につきまして、特に薄型テレビの存在は非常に重要です。そういった家庭内ディスプレイについて、将来的な位置付けや戦略をどのように考えておられますか。

須藤 テレビは情報の出口と捉えています。昨今はネットワークの技術も進み、今回のUTシリーズのように気軽にレイアウトできるものも実現できました。今後のテレビは単に映像を見るだけのものではなく、従来から言われてきたように情報端末として家庭内のあちこちに置かれているものと考えます。

通信ネットワーク技術など、まさに日立のもっているもともとの技術を活かしやすい環境になってきて、得意なフィールドを時代が連れてきてくれたという感があります。あとは営業部隊がそれに対し、世の中の変化にも対応できるきちんとした販売体制をとっていくことが私にとってのミッションとなります。

――テレビと既存の周辺機器との“リンク”という切り口もありますが、御社はこれから先のインフラを見据え、そこに関連する技術の総合力をもっておられます。これをお客様にどうアピールしていくかというテーマがありますね。

須藤  これは簡単ではないと思います。テレビを情報端末と位置付けても、入手できる情報そのものの質が問われるところです。例えばヘルスケアやセキュリティなど、パソコンで得られるものとは違う、生活に密着した情報であることをアピールする必要があると思います。

―― UTシリーズで、さらにワイヤレスということをご提案されています。今後これはますます普及されていくとお思いですか。

須藤 ワイヤレスが普及することは間違いないと思います。そこで何をしようとしているかというと、レイアウトフリーの提案なのです。今レイアウトフリーのメインは、HDMIケーブル1本で操作できる、というところになるわけです。ケーブルが1本残りますが、それでも従来のように何本ものケーブルでつながれた状態よりは十分な進歩だと思っています。

テレビは、アンテナ端子のある場所で設置場所が決まってしまうものです。例えば家を建てる際に決めた端子の位置がそのままテレビの位置になってしまい、そこから家具が決まっていく。つまりインテリアはテレビによって決まってしまうわけです。それを自由にして、テレビを好きなところに置いてみたらインテリアも変わるし、視聴スタイルも変わる。それがレイアウトフリーだと思っています。そのためにはワイヤレスを実現するということは重要であり、内蔵も含めて、将来のかたちとしてどんどんワイヤレス化をすすめていきたいと思います。

また薄型化のもうひとつのメリットとして、軽量化があります。ワイヤレスに加えてこれを実現すれば、壁掛けということも含めてテレビの置き場所を本当に自由に設定することができます。衣替えの感覚で絵や写真を替えるように、テレビの置き方を変化させることができるわけです。これからのテレビにとって、薄型、軽量、ワイヤレスというのはレイアウトフリーを実現するものとして欠かせない要素だと思います。

―― 今後の方向性も益々期待できます。本日は誠にありがとうございました。

須藤利昭氏 プロフィール
1955年4月13日生まれ。東京都出身。80年3月青山学院大学卒業、同4月日立家電販売(株)入社。97年2月(株)日立製作所映像情報メディア事業部商品企画部長代理に就任し、MPEGカメラの商品企画を担当。99年2月同事業部DVD応用製品開発プロジェクトに参画し、DVDカムの商品企画を担当。02年からメディアPC営業を担当。05年4月ユビキタス営業統括本部コンシューマ営業本部AV営業部長。07年4月から現職。


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