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Bluetoothのフラグシップモデル

オーディオテクニカ「ATH-DSR5BT」開発者に聞く “世界初のフルデジタルワイヤレスイヤホン” 誕生の秘密

公開日 2018/03/23 13:40 聞き手:海上忍 構成:編集部
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― 初めてプッシュプル方式のDUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSを採用した有線イヤホン「ATH-CKR10/9」が世に出てから4年ほど立つわけですが、それらと比べると格段に小さくなりましたね。これはなぜでしょう?

小澤氏:きっかけは非常に個人的な出来事でして、私の子供に「今の子供は顔も耳も小さいから、大きいと入らないよ」と言われたんです。学校行事などの機会に他の子達の耳を見ると確かにその通りで、「これは小さくしなければいかん」と。

お子様の言葉がきっかけで小型化を意識したという小澤氏

そういう事もあり、ATH-DSR5BTは、まずサイズありきで開発しました。ハウジングが大きい方が設計が楽ではあるのですが、技術の進化によって、小さなサイズでも高音質を実現しています。

國分氏:従来のDUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS採用機種は、ドライバー口径やハウジングが大きく、そこが気になる、という声が一部にあったことも小型化を目指した理由のひとつです。その甲斐ありまして、ATH-DSR5BTは現在実現できる中で最小クラスのDUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS採用機種となりました。

― 2つのドライバーをそれぞれ違う口径にした理由は何でしょうか。

小澤氏:ハウジングのイヤピース側を細くして、装着感を高めるためです。イヤピース側に8.8mm、反対側に9.8mmを配置しています。

イヤピース側に8.8mm、やや太くなっているところに9.8mmドライバーが収まっている

■デザインにも使いやすさと質感のこだわりがあった

― ハウジングの小ささの他に、デザインでこだわった点はありますか?

國分氏:小さくなったとはいえ、バッテリーがそこそこ大きいですから、ネックバンド型が良いだろうという話がはじめからありました。ネックバンド型は冬はまだしも、夏場の装着感が問題になる事が考えられましたから、デザイナーが頭を悩ませ、ネックバンドのカーブや素材などを工夫してくれました。

ネックバンドのシリコン素材には、実は大変な手間がかかっている

小澤氏:ネックバンドは非常に柔らかいシリコン素材としました。成形を何度か繰り返してバリを取って磨く、という製造方法をとっているのですが、開発当初は1時間に数個しか作ることができない、なんて事をやっていました。

― カラーリングはブラックですが、これは早くから決まっていたのでしょうか。

國分氏:メインターゲットが30〜40代の男性という事がありましたので、黒にこだわっています。ハウジングから導管までアルミを採用している為、スピン加工の上にダイヤカットをしてロゴの周りをキラリとさせる工夫もしているのですが、その上から黒を乗せて質感を魅せようとしました。

小澤氏:スピン加工、ダイヤカットの他にブラスト加工やレーザー加工、ダブルアルマイトといった様々な技術も組み合わせています。

複数の加工を積み重ねているというアルミハウジング

高石氏:全体的にシックにまとめた中の美しさが良い、と話し合ってデザインを決定しました。

ピュア・デジタル・ドライブはじめ採用技術を解説してくれた高石氏

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