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Bluetoothのフラグシップモデル

オーディオテクニカ「ATH-DSR5BT」開発者に聞く “世界初のフルデジタルワイヤレスイヤホン” 誕生の秘密

公開日 2018/03/23 13:40 聞き手:海上忍 構成:編集部
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國分氏:もしバーチャルコイルテクノロジーを非搭載の場合ですと、駆動力とダイナミックレンジに影響します。音量が取れなくなりますし、音の粒立ち、立ち上がりや抜け、キレの良さが物足りなく感じられると思います。

AT1962があってこそATH-DSR5BTが生まれたという

小澤氏:ちなみに「1962」という数字はオーディオテクニカの創業年から取られています。

― バーチャルで多芯コイルをやろうという発想は、どこから来たのでしょうか?

小澤氏:もともと4芯ボイスコイルを前提にしていたATH-DSR9BTのチップで、出力設定の変更を行うことで、1芯でもできるじゃないかという事が分かったのがきっかけです。

高石氏:小型のインナーイヤー型に4芯ボイスコイルを搭載するのは構造上難しかったので、バーチャルで4芯が実現できないか、という発想に至りました。ただ実際にやろうとすると、ドライバーがヘッドホンタイプより耳に近いため、音量バランスを取るのに苦労しましたし、従来のチップではデジタルノイズが多すぎました。AT1962でそこが改善され、インナーイヤー型として実現できたのです。

開発にまつわる様々な話題が飛び出す

― 例えば芯数をさらに増やすといったような、今後の発展についての構想はありますか?

國分氏:構想自体はあります。AT1962を一緒に開発したtrigence semiconductor 社でも芯数ごとの特性を見ていますし、どのように伸ばして行くか考えていると思います。ただ、現状では4芯で十分な性能が得られているかと思います。

内部構造がよく分かるデモ機

■実現できる中で過去最小サイズの「DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVER」

― ドライバーは「DUAL PHASE PUSH-PULL D/A DRIVERS」という名称ですね。今回、プッシュプル方式を採用した理由は何でしょうか

國分氏:ATH-DSR5BTはBluetoothインナーイヤータイプのフラグシップという位置づけでして、有線インナーイヤータイプのフラグシップ「Sound Reality」の技術をこちらでも採用するのは自然な事でした。弊社の個性も出しやすいです。

ハウジング内部の分解図

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