「現実にゴジラが居るリアリティ」。山崎貴監督がドルビーシネマ版『ゴジラ-1.0』を語る
2023/10/31
本日10月30日(金)21:00より、日本テレビ系『金曜ロードショー』にて映画『ゴジラ-1.0』が本編ノーカット、40分拡大で放送される。
第96回アカデミー賞において、邦画・アジア映画として史上初となる視覚効果賞を受賞し、世界中の映画ファンを驚かせた本作。11月3日に公開される続編『ゴジラ-0.0』の公開記念特別放送となっており、“予習・復習”としても絶好の機会となっている。
舞台は第二次世界大戦で敗戦し、すべてを失った日本。特攻から逃れ不時着した島で巨大生物の襲撃に遭い、一人だけ生き残ってしまった敷島浩一(神木隆之介)は、帰還兵としての深い罪悪感に苛まれながらも、焼け野原で出会った大石典子(浜辺美波)らと身を寄せ合い生きていた。
人々が懸命に復興を目指す中、今度は巨大化したゴジラが突如東京に上陸。軍隊も武器も持たない日本は、民間人の力だけでこの絶望的な脅威に立ち向かうこととなる。
絶望の淵に立たされる主人公・敷島を演じる神木隆之介と、彼とともに生き抜こうとするヒロイン・典子を演じた浜辺美波の息の合った芝居は本作の見どころのひとつ。NHK連続テレビ小説『らんまん』の視聴者であれば、夫婦だった2人がまた違う形で昭和を生きている姿を観るだけでもニヤリとしてしまうものがあるだろう。
さらに、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介といった日本映画界を牽引するキャストが集結。鉄壁の布陣でゴジラに抗う人々の脆さや強さを熱演している。
本作は公開時にそのテーマ性を巡って賛否の声もあがっていた。戦争に参加した兵たちが戦後に何を抱え苦しんでいたのか、そして彼らは何を思っていたのか。ゴジラという“敵”への向き合い方について、さまざまな意見が出るのは必然の描写だったとはいえる。
ただ、根底に描かれているのは英雄的な自己犠牲ではなく、極限状態の中で「生きること」を選択する命の価値観だ。
この人間ドラマに説得力を持たせているのが、山崎監督が徹底的にこだわり抜いた映像美とゴジラの恐ろしさ。山崎監督はインタビューにて、「現実にゴジラが居るんじゃないかという恐怖とリアリティ」を表現することに注力したと語っている。
特に序盤の大戸島での襲撃シーンについては、「闇が本当に真っ暗で、そこからヌッと出てきた時の怖さ」が恐怖感を際立たせていると言及。さらに中盤の銀座襲撃シーンでは「怪獣が明るい光の中に出てくるというシチュエーションに挑戦した」と語り、旧日本軍の兵器が放つジェラルミンの照り返すような光沢に至るまで、極めて高い解像度で描き出されている。
「テレビやスクリーンの形をした窓から本物の風景を見ている感覚」と監督自ら胸を張るほどの視覚表現があるからこそ、抗う術を持たない人々の絶望や、「一人の犠牲者も出さない」と立ち上がる人間たちの命への執着が、リアルな感情として私たちの胸に迫ってくるのだ。
現代日本におけるリアルなゴジラ映画としては、2016年の『シン・ゴジラ』がすでに圧倒的な評価を得ていた。その直後にバトンを受け取った山崎監督は、劇中の台詞を借りて「誰かが貧乏くじを引かなきゃいけねぇんだよ」とその重責を表現していたという。
しかし山崎監督は、官僚主導の群像劇だった『シン・ゴジラ』とは真逆のアプローチに挑んだ。『ALWAYS 三丁目の夕日』などで培った市井の人々の視点から、名もなき人間たちが主導する物語を描き出したのだった。
さらに、過去に手がけた戦争を題材にした映画『永遠の0』、『アルキメデスの大戦』で培ってきた旧日本軍の兵器や戦前・戦後の風景をVFXで映像化する技術をフルに活かし、監督・脚本・VFXを一人で兼任して、戦後日本の映像世界を構築した。獰猛な怪物としてのリアルなゴジラの恐怖は、山崎監督ならではの功績と言えるだろう。
暗闇からヌッと現れるゴジラの恐ろしさや、銀座を襲撃するシーンにおけるスケール感と繊細な描写は、自宅のテレビ画面で観ても圧倒的な迫力で迫ってくるはずだ。
『ゴジラ-1.0』
日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、21:00 -23:34本編ノーカット放送
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介ほか
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT