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公開日 2026/08/26 06:30
<連載:アクティブスピーカー最前線> 第8回

リビングのための本気のアクティブスピーカー。ヤマハのホームオーディオ思想の結集、「NX-70A」

逆木 一

アクティブスピーカーの注目プロダクトを紹介する連載<アクティブスピーカー最前線>、今回は、本格HiFiアクティブスピーカー市場に参入したことでも話題のヤマハ「NX-70A」を取り上げる。アンプからスピーカー、ネットワークソリューション、ルーム補正機能と、まさにヤマハの“総合力”が光る本機の実力は?



YAMAHA ネットワーク対応アクティブスピーカー「NX-70A」(385,000円/ペア・税込)


ホームオーディオの思想をアクティブスピーカーに投入


ヤマハは音楽制作のためのアクティブ・モニタースピーカーを長年にわたり手掛けており、同社が「ワイヤレスHiFiスピーカー」と呼ぶ「NX-70A」はそんな同社の蓄積と、ホームオーディオの哲学が融合した製品である。税込385,000円という価格からも、ヤマハの本気度が伝わってくる。


NX-70Aはホワイトとブラックの2色展開であり、平行面を持たないラウンドフォルムと各所に施されたカッパーの差し色が特徴。


天板と底面には5mm厚のアルミパネルを使用し、デザインの品位とともに筐体の剛性も高めている。本機のサイズは189×333×234mm(幅×高さ×奥行)で、ブックシェルフとしては大きすぎず小さすぎずのちょうどいいサイズ感だ。



天板後方のラウンドしたデザイン


ユニット構成は3cmドーム型トゥイーターと13cmウーファーで、ヤマハのHi-Fiスピーカーでも使用されているPBO繊維ザイロンとスプルース材等を配合した独自の「ハーモニアスダイアフラム」を両方の振動板に採用し、音色の統一を図っている。







NX-70Aのユニット部。いずれもホームオーディオデ使われているザイロンとスプルース材等を配合した振動板を採用し、音色の一貫性を実現している


NX-70Aはリアバスレフで、各種入力を持つメインの「プライマリ」スピーカーとそこからLANケーブルで接続する「セカンダリ」スピーカーから構成される。プライマリスピーカーはL/Rを切り替えでき、セカンダリとは無線でも接続可能だ。


入出力としてはネットワーク入力・HDMI ARC入力・サブウーファー出力を持つ一方でフルサイズのアナログRCA入力を持たず(アナログ入力はステレオミニのみ)、この仕様は本機が基本的にリビングユースを想定していることを示す。



NX-70Aの背面側。リア側上部にバスレフポートを搭載する。また入出力端子は片側に寄せられており、左右スピーカーはLANケーブルもしくは無線で接続する


NX-70Aならではの特徴として、ヤマハ独自の自動音場補正機能「YPAO」に対応しており、測定のためのマイクも付属する。これはもっぱらAVアンプに搭載される、専用室ではない実際の生活環境下でも再生音を最適化するための機能であり、本機のリビングユース適性をさらに強化するものだ。


アクティブスピーカーとは「アンプを内蔵するスピーカー」を指すわけだが、NX-70Aは機能的には「AVアンプを内蔵するスピーカー」ということになる。


ネットワーク機能は同社の「MusicCast」を搭載し、ローカル音源の再生から各種ストリーミングサービス(Qobuz Connectを含む)、Roon Readyまで幅広く対応する。先述したYPAOは同アプリからセットアップが可能だ。入力切替や音量調整など、基本的な操作は付属するリモコンからも行える。



付属リモコン


底面はラバーフットが標準装備で、別途インシュレーター等を使用する余地もある。



ラバーフットが装備される底面


映画も音楽もGood。ニュートラルで細部の再現力に優れる


仕様の部分で話をした通り、NX-70Aは明らかにリビングユースを志向した製品であるため、試聴もそこに特化して行い、音楽ソースとしてはQobuzを用いた。


本機はQobuz Connectに対応するため、スマートフォンのQobuzアプリから直接再生が可能だ。



リビングユースのイメージ。Qobuz Connectにも対応するため、本機のみで1億曲以上の楽曲を楽しむことができる


さて、先にNX-70Aを「AVアンプを内蔵するスピーカー」と表現したが、もしこれがHi-Fiアンプと比較して音質的に劣るもの、という意味で捉えられてしまったなら、決してそんなことはないと明確にしておきたい。


NX-70Aの再生音の印象はずばり「ニュートラル」。こう書くと素直な一方で面白みのない音を想起するかもしれないが、スピーカーとしての性能が高度なために、そもそも味付けを必要としないというニュアンスだ。ペア10万円クラスの製品とは地力のレベルが違い、それは優れたトランジェントや細部の描写力、空間の立体感といった要素に表れている。


振動板素材がトゥイーターとウーファーで統一されている恩恵も相当に大きく、全帯域にわたって質感のゆらぎがないことが、特にピアノソロの素晴らしい再生に結実していた。にぎやかなロックやポップスをガンガン鳴らすよりも、アコースティックかつシンプルな構成の楽曲を鳴らす方が、本機の強みが活きる印象だ。



本体下部はディスプレイになっており、現在の入力や再生中の音源のタイトル等が表示される


HDMI ARCでテレビと接続しての映像再生では、クリアなダイアローグの再生とアクションシーンの切れ味鋭い描写が持ち味となる。迫力で圧倒するよりも、映像音響の構成要素を丹念に描写することで没入感を生むタイプだ。


ウーファーサイズもあって絶対的な低域の量感は豊かとまではいかないが、不足を感じるようならサブウーファーを使えばいい。YPAOはサブウーファーも含めて補正するため、その点でも他のアクティブスピーカーとは一線を画す機能となっている。


リビングのための本気のスピーカー


音楽・映像ともに、NX-70Aは試聴を通じて「アクティブスピーカーを聴いている」という感覚をほとんど意識させなかった。高性能なパッシブ・ブックシェルフスピーカーを、厳選したプレーヤーとアンプと組み合わせて鳴らした際の「会心の音」がそこにはあった。


本連載の第0回で、アクティブスピーカーのメリットとして「アンプまで含めて最適化でき、メーカーの意図する再生音が高いレベルで担保される」と書いたが、NX-70Aの再生音に感じたのはまさにそれである。そしてアンプだけでなく、プレーヤー(再生機器)を別途用意することなくその会心の音を実現しているのだから、YPAOの存在も相まって、導入のハードルも著しく低い。


「リビングのための本気のアクティブスピーカー」を考えた時、NX-70Aは再生音と機能の両面から、最もその理想に近い位置にあると言ってよいだろう。



 

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