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公開日 2026/10/28 19:48
クリエイターたちとの“共創”も鍵に

初音ミクやピングーと“リアル”に対面。ソニーの裸眼3Dディスプレイ「ELF-MN1」は未来を変える?

編集部:石井達也

ソニーは、特別なメガネなしで立体視できる空間再現ディスプレイの新モデルとして、6インチサイズの「ELF-MN1」を12月11日(金)に発売する。



今回は、ELF-MN1の実機体験会に参加した。現場で語られた開発陣やパートナー企業のコメントとともに、本機とソニーの空間コンテンツ制作ソリューション「XYN(ジン)」がもたらす新たな立体体験をレポートする。


「XYN」ソリューションの進化と開発環境の整備


体験会の冒頭では、XR事業部門 事業企画部部長の藤瀬真氏が登壇し、空間コンテンツ制作を支援するハードウェア・ソフトウェア統合ソリューション「XYN」の狙いを語った。



藤瀬氏は「幅広いクリエイターに向けて、直感的かつ効率的な3DCG制作を実現していきたい」と説明。先日発表された空間キャプチャーソリューションのアップデートにより、オブジェクトの撮影やクレジットカード決済に対応したことで、個人のクリエイターにとってもさらに扱いやすい環境が整ったことを強調した。




藤瀬真



 石橋時光



また、設計プロジェクトリーダー・石橋時光氏からは開発者向け環境の拡充についても説明があった。コンテンツ開発を容易にするSDK(ソフトウェア開発キット)として、Unity用のプラグインを提供。これにより、クリエイターが直感的に空間コンテンツを制作できる環境を整備している。さらに、ダウンロードしてすぐに体験できるビューワーアプリも用意されており、一般ユーザーでも手軽に3Dコンテンツに触れられる工夫が凝らされている。



日常空間に溶け込む「ELF-MN1」の技術とデザイン


続いて、プロダクトマネジメント部の石松瑶氏が登壇し、製品の詳細を解説した。石松氏は本機のコンセプト「創造の世界を、机の上の“日常”に。」について触れ、「バーチャルな世界と日常のフィジカルな世界を少しでも近づけ、空間コンテンツの楽しさをより多くの人に広めたい」と語った。



石松瑶


本機は、視線認識センサーでユーザーの瞳の位置を常に捉え、それに合わせてリアルタイムに映像をレンダリングするソニー独自の空間再現技術を搭載している。さらに、微細なレンズを用いた高精細パネルにより、まるで箱の中に実物が存在するかのような立体映像を実現している。



続けて石松氏はデザイン面でのこだわりについて、「アクリル製のスタンドを採用することで、画面と机面の境界を抑え、現実空間とコンテンツの空間が自然に繋がっているように見せる工夫をした」と説明。これにより、キャラクターが自分の生活空間にやってきたかのような、AR(拡張現実)に近い感覚を楽しめるという。


使い勝手についても、手持ちのスマートフォン(iOS・Android対応)やWindows PCとUSB-Cケーブル1本で直接接続でき、複雑な設定なしにすぐ視聴を開始できる点が大きな魅力となっている。


「常にそこにいる」を実現するホロモデルとの連携


体験会では、パートナー企業であるGugenka 代表取締役 CEO・三上昌史氏も登壇し、同社のデジタルフィギュアサービス「ホロモデル」とELF-MN1の連携について紹介した。



三上昌史


三上氏は「これまでのARアプリではスマートフォンをかざし続ける必要があり、日常的に飾っておくにはハードルがあった」と課題を指摘。しかし、ELF-MN1と連携することで「常にそこにキャラクターがいる状態を卓上に作り出せる」と、本機がもたらす新しい鑑賞スタイルを高く評価した。







写真では伝わりにくいが、初音ミクやピングーが目の前に“浮かび上がる”


具体的な楽しみ方として、複数のキャラクターを配置して自分好みのシーンを作成できる機能や、作成したシーンをプレイリスト化してスライドショーのように楽しめる機能を実装。さらに、部屋の照明環境(環境光)に合わせて対象の光の当たり方を調整できる機能も搭載され、より高い実在感をもってキャラクターを飾ることができるという。


XRクリエイターが語る「ELF-MN1」の可能性と新たな表現


さらに、空間コンテンツクリエイターのVoxelKei氏が登壇し、クリエイター視点でのELF-MN1の魅力と可能性について語った。



VoxelKei


普段からVRやXR関連のコンテンツを制作している同氏は、3D空間表現において「立体物を立体物のまま人に届ける手段が限られている」という悩みを抱えていたという。



その上で、本機の最大のメリットを「非常にコンパクトで、常にそこにある状態を作り出せること」とコメント。従来のVRヘッドセットや大型ディスプレイでは体験までに手間がかかることがあったが、本機は常に卓上に置いて見られるため、クリエイターが制作したものを手軽に人に見てもらえる環境が整うことに大きなメリットがあると発信した。


今回VoxelKei氏は、話題の技術である「3D Gaussian Splatting(3DGS)」を用いたデモコンテンツ「インバース・スフィアリウム」を制作。3DGSのデータをガラス玉の中に閉じ込め、周囲の空間を内側に折り込んだような独特の表現で、裸眼立体視ならではの新しい見せ方を提示した。







 「Inverspherarium」と視線で機体が動くシューティングゲーム「PARALLAX FIELD」


また、ディスプレイの奥行きを活かしたオーソドックスなシューティングゲームのデモも披露。ボス戦で視点が変わることでより空間を感じられる仕掛けを用意し、立体視を利用したゲーム体験の可能性も示した。


同氏は「これまでVR空間の中でしかできなかった表現を物理空間に持ってくるという点で、新しいフォーマットや表現がこれから生まれる可能性が高い」と期待を寄せた。


実機体験


実際の展示エリアでELF-MN1の実機を覗き込んでみると、6インチという小型サイズながら、キャラクターが浮かび上がり確かにそこに存在しているかのような実在感があった


顔を左右に動かして回り込むように覗き見ても、進化した視線認識センサーによって遅延なく立体映像が追従し、透明なアクリルスタンドの効果も相まってディスプレイの枠をほとんど意識させなかった。






























ELF-MN1は、コンパクトさと手軽な接続性を実現したことで、空間再現ディスプレイを一気にパーソナルなデバイスへと昇華させている。進化した「XYN」による制作環境のハードル低下と相まって、今後は誰もが日常的に3Dコンテンツを「創り、飾る」時代が本格的に到来しそうだ。

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