Ferrum Audio、完全バランスヘッドホンアンプを統合した最上位DAC「WANDLA HP」
編集部:成藤正宣エミライは、同社取り扱いブランドFerrum Audio(フェルム・オーディオ)から、フラグシップDAC「WANDLA(ワンドラ)」に完全バランス設計のヘッドホンアンプを統合した「WANDLA HP」を10月10日(金)に発売する。価格はオープンだが、市場では税込594,000円前後での実売が予想される。
同ブランドのフラグシップDACであるWANDLAに、4.4mmヘッドホン出力を備えた高品位なヘッドホンアンプを統合したモデル。同ブランドのラインナップの中では、WANDLAとアナログヘッドホンアンプ「OOR」を組み合わせた最上位ヘッドホンシステムと、DAC内蔵ヘッドホンアンプ「ERCO Gen2」の中間に位置づけられており、「ヘッドホン愛好家にとって理想的なワンボックスソリューション」と説明している。
ヘッドホンアンプ回路はWANDLA専用に最適化された完全バランス設計で、50Ω負荷で3.5W、16Ω負荷で1.5Wの大出力を実現。全高調波歪率は0.00016%、ダイナミックレンジは122dBで、あらゆるヘッドホンを余裕を持ってドライブできるとアピールする。
なお、ヘッドホン出力は前面パネルに4.4mmバランス端子を1基のみ搭載するが、同梱の専用変換アダプターを使用することで、6.3mmアンバランス接続にも対応する。
D/A変換部はWANDLA通常モデルと同等で、DACチップは「ES9038PRO」を採用。PCM 768kHz/32bit、DSD512(22.4MHz)、MQAフルデコードをサポートする。
DACチップそばにはAbracon製超低ノイズ100MHz水晶クロックを配置することでジッターの影響を排除したクロック供給を行い、さらに高速・高スルーレートを追求したI/V変換回路を組み合わせることで、極めて低歪みなD/A変換を実現したとする。
さらに、独自開発のフィルター、USBレシーバーやMQAデコーダーなど複数の機能を1チップに集約した独自設計の「SERCE」モジュールを搭載。従来は分散していた機能をまとめることでシグナルパスを最短化し、信号伝達の合理化を図っている。
SERCEモジュールには、音楽再生ソフト「HQ Player」の開発で知られるSignalyst社のデジタルフィルター2種を内蔵。過渡応答と空間情報に優れ、さまざまな音源に対応できるという「ガウスフィルター(HQ Gauss)」、特に現代のレコーディングと相性が良いという「アポダイジングフィルター(HQ Apod.)」を備え、DACチップ内蔵フィルターを含めた5種類のデジタルフィルターを自由に切り替えられる。
前面には4.4mmバランス出力のほか、明度調整対応のタッチパネルとアナログボリュームを配置。ボリュームには日清紡マイクロデバイスの「MUSES 72323」を2基採用する。1台1台仕上がりの異なる、コルテン鋼製のプレートも装着する。
背面には、デジタル入力としてUSB Type-C、AES/EBU、同軸、光、HDMI(ARC)、I2Sを各1系統ずつ搭載。アナログ入力としてRCAアンバランス1系統、アナログ出力としてXLRバランス、RCAアンバランスを各1系統搭載する。
ほか、別売の強化電源「HYPSOS」の接続に対応。電源部のグレードアップにより、さらなる音質向上を図ることができる。
外形寸法は217W×50H×206Dmm(突起部を除く)、質量は約1.9kg。