4K UHD BD『ミッキー17』、宇宙船と異星生物の轟音がホームシアターを震わせる
4K Ultra HD Blu-rayの注目タイトルをプロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。今回は、現在発売中の『ミッキー17』。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックした。
『ミッキー17』
STORY
西暦2054年。1機の宇宙船が植民惑星へ向けて飛び立った。借金取りに追われミッキーが志願した職種は生命と引き換えのエクスペンダブルス(消耗品)。宇宙船には人間をコピーする「プリンター」が積まれていた。死んでは生き返り今では17番目のミッキーが、命からがら宇宙船に帰還して出会ったのは18番目のミッキーだった!
可笑しくも哀しきディストピアSF。宇宙船の轟音が音場を震わす
全編寒くてブラックなユーモアをまぶしたクローン人間がテーマの骨のあるSF。冒頭の砂嵐に覆われた未来の地球、CH4植民惑星ニフルハイム、灰色の空に覆われた荒涼とした寒色の風景が続く。地球も宇宙船内も植民惑星もひと続きのディストピアなのだ。CH5もう1人のミッキー出現は、スタンドインとCGを使いワンフレームでの2人のやりとりがコミカル。
SFらしい興趣はちゃんと盛り込まれ、宇宙船の出発シーンCH3は轟音が遠巻きに音場を震わせる。CH12先住生物と植民団の全面戦争はクリーパーの怒りに満ちた声が音場に轟き、劇伴のオケが高鳴る。画面を埋め尽くす数千のクリーパーの複雑な動きの描写が見もの。
劇伴はシンセなど電子を使わず、ピアノと弦がペシミスティックな旋律を奏でる。CH8コミカルな3Pシーンはピアソラ風のタンゴが悩ましく流れ苦笑。救いのない映画のようだが、ラストはハリウッド作品らしく軟着陸(ハッピーエンド)するのでご安心を…。
SPEC
●製作:2025年/米 ●ジャンル:洋画SF ●監督:ポン・ジュノ ●出演:ロバート・パティンソン、ナオミ・アッキー ●本編ディスク:約137分、ビスタ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、英語Dolby Digital 5.1ch、日本語Dolby Digital 5.1ch ●字幕:日本語、バリアフリー英語、日本語吹替用 ●特典:メイキング、「ミッキー17」の世界、作品を彩るキャスト、予告編集































