公開日 2021/08/24 06:40

スポーツ中継を切り替えたら画質が低下...その原因「マルチチャンネル」とは?

【連載】ガジェットTIPS
海上忍
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なんだかんだいって盛り上がった「東京2020」。ひいきの選手はいうにおよばず、ルールさえ知らなかった種目を最後まで懸命に見てしまった、という人も多いのではないでしょうか。NHKは途中でニュースが入るときも中断せず、チャンネルを切り替える方法で中継を続けてくれたので、手に汗握る展開を見逃さずに済みました。

そのとき、チャンネルを切り替えたタイミングで画質が低下したことに気付いた人は多いはず。切り替え前に比べて滲んだように見える、テロップの文字が崩れて見える...原因が気になりますよね。

チャンネルを切り替えたら画質が悪くなった経験、ありますか?

その理由は「マルチチャンネル」にあります。日本の地上デジタル放送とBS放送では、1つの放送局(物理チャンネル)でHD画質を1チャンネルぶん、SD画質を最大3チャンネルぶん同時に放送できる周波数帯域を確保しています。1つの物理チャンネルに割り当てられた周波数帯域の範囲内であれば、1つの放送局が2〜3の番組を同時に放送できるのです。

通常はどの放送局も1つの番組を放送していますが、ときには複数の番組を放送する編成となります。今回の東京2020では、このマルチチャンネルのしくみが活用されたというわけです。

しかし、マルチチャンネルにはデメリットも。各サブチャンネルが使用できる帯域幅に制限が生じる結果、画質はDVD相当/720×480ピクセルのSD画質になってしまいます。画素数は4Kテレビの24分の1しかないわけですから、画質が劣化したように映るのも無理はありません。

つまり、マルチチャンネル編成時は送信されてくる映像データそのものが減少するため、画質低下を回避する方法はありませんが、中継が中断されないというメリットは得られます。スポーツ中継は決定的シーンを見逃さないことがなにより重要ですから、マルチチャンネルはありがたい存在なのです。

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