PR 公開日 2025/05/09 06:30

スピーカーのマルチアンプをワンボックスで実現!EXAKT化で本領発揮、リン「150」の奏でる音楽の躍動感

リン独自のデジタルクロスオーバーEXAKTの実力をチェック!

マルチアンプも可能なリンの最新スピーカー「150」を試す

スピーカー再生の究極形の一つは、チャンネルデバイダーを用いたマルチアンプ駆動と言えるだろう。この方式は、理想的なネットワークを自在に構成できることが最大のメリットであるが 、ユニットの最適な組み合わせや高度な調整があって初めて成立する、極めてハードルの高い方式でもある。

そんな究極の再生を実に手軽に実現でき、なおかつ、通常のパッシブスピーカーとしても楽しめてしまうのが、この度新たに登場したLINN(リン)の「150」である。

LINN 3ウェイスピーカー「150」(1,485,000円/ペア・税込)+アップグレードスタンド(275,000円/ペア・税込)

このスピーカーは、一般的なスピーカーと同じくパッシブネットワークを内蔵しつつも、それをバイパスすることで、同社が提供するEXAKTシステムを用いたチャンネルデバイダー&マルチアンプ駆動も可能なハイブリッド仕様となっている。

実は、LINNは創業まもない1974年に発売した最初のスピーカー「ISOBARIK」から既に、このパッシブネットワークのスルー機能を内蔵させており、当初から如何に本質的な音質追求に意欲的であったかが分かる。

余談だが、「ISOBARIK」方式と呼ばれる、スピーカーユニットを対向配置させ駆動力をアップさせる画期的なユニット構成を最初に発明したのもLINNである。

ベースはシンプルな3ウェイ構成

「150」は、一見シンプルなスクウェア・フォルムを持つフロアスタンディング型スピーカーだ。ユニットは、19.55mm径ソフトドーム・トゥイーターに、コーン型160mm径ミッドレンジと190mm径ウーファーによるオーソドックスな構成となっている。

トゥイーターは、アラミドファイバーで構成されるSonomex素材を用いたもので、ボイスコイルに磁性流体を含浸させることで、低歪みな再生を追求したもの。19.55mm径、つまりは3/4インチと、一般的な1インチドームトゥイーターよりも小口径になっていることが特徴だ。

150のトゥイーターユニット。LINNのロゴマークのガードが配備されるのも既存機種からの流れ

ミッドレンジとウーファーには、セラミックファイバーコートを施したペーパーコーンを採用。ウーファーユニットは、フラグシップの360同様に振幅可動域に余裕をもたせるロングストローク設計で、深い低域再現を狙ったものとなっている。実際に近くで見てみると、360同様に太めのエッジが配されており、大振幅に耐えうる設計となっていることが分かる。

内部はブレーシングをすることで適切な強度を確保するとともに、トゥイーターとミッドウーファー部分は独立した部屋に収めることで、ウーファーストロークによる空気流動からアイソレートされている。

150の背面端子(ジャンパープレートを外したところ)。基本的にバナナ端子の使用となっている

後述するネットワークのキャンセル作業時にウーファーボックス内を少し垣間見ることができたが、十二分な量の吸音材が充填されていることから、透明度の高い低音再生を追求したものと推察した。

加えて、特徴的なのはバスレフポートで、本体底面にデュアルポートを配置する。スタンドとなる底板が用意され、そこにリジッドにネジ留めされ、ポートとの隙間を確保する構造となっている。スタンドは標準の木製タイプのほか、アップグレードとして、アルミ製のオプションも用意されている。今回はアルミ製スタンドで試聴を実施した。

金属製の底板(スタンド)をオプションで用意する

リン「150」音質レビュー:実体感に富んだふくよかなボーカル音像が展開

まずは、シンプルに、パッシブスピーカーとして鳴らしてみる。ソース機器及びアンプには、LINN 「SELEKT」シリーズのClassic Hub+ステレオ型KATALYST DACモジュール+ステレオ型スピーカー出力モジュール構成となる「SELEKT DSM-CKA」を使用した。

SELEKT DSMには、デジタルクロスオーバー機能がそもそも書き込まれている。そのため、SELEKT DSMに適切なモジュールを組み込むことで「150」を簡単にEXAKT化することができる(2ウェイスピーカーの「119」も同じ)。今回は「KATALYST DAC」を搭載した「SELEKT DSM-CKA」(1,980,000円/税込)をベースに使用。3ウェイシステムの「150」を駆動するためには、もう2本「Stereo Power outモジュール(220,000円/税込)+Stereo Katalyst DACモジュール(363,000円/税込)」を追加する必要がある

一聴して、低重心でありながらもスピーディーな低域表現をボトムとした、きめ細やかで潤い溢れる上質なサウンドが展開。まさにスピーカーの姿形からイメージするサウンドそのままだ。

SELEKT DSM+150というシンプルな構成でオーディオシステムが完結!

ボーカルソースは、実体感に富んだふくよかな音像で、音楽の主役として確かな存在感を示す。高域側は柔らかみがあり耳触りがよい音質ながら、発音や歌詞は明瞭に耳へと届くプレゼンスを持つ様がLINNらしい。そして何より、低重心なバランスは、エレクトリックベースやバスドラムによるローエンドの充実度が実に高い。

ジャズのピアノトリオでは、トリオそれぞれの楽器の発音がしっかりと揃っていて、演奏の息がピタリと合っている様が明瞭に伝わってくる。とりわけウッドベースのスピーディーな反応と適切な余韻が印象的で、ボトムの充実感が高く心地よいのである。

オーケストラソースも、楽器ひとつひとつの存在が的確にピックアップされながらも、音の線が細くならず、潤いのある楽器の音色が快い。音が鋭角的になりがちなピリオド楽器の演奏であっても、どこにも不快感がない。

バイアンプ構成でも楽器の位置関係がよく見えてくる

続いて、EXAKTシステムに移行する前に、ステレオ型KATALYST DACモジュールとステレオ型スピーカー出力モジュールを追加しての、バイアンプ構成とトライアンプ構成も試した(編集部注:こちらはEXAKTは使用せず、単にパワーアンプ+KATALYSTモジュールを追加した状態)。

手始めに、バイアンプ接続で駆動してみる。すると、これまでが一塊になっていたと思わせるほど、楽器それぞれの位置関係が解けるように出てくる。ボーカル音像は別離してセンターへと定位。高域の歪み感がさらに取り除かれ、澄み切った表現が快いのだ。楽器の音色の質感が押し並べて向上していることが実感できる。低音も、よりソリッドなレスポンスでググッと出で立つ様が心地よい。

ダメ押しで、DACとアンプモジュールをもう一組追加してトライアンプ接続も実施。歌声の実在感の向上が著しく、透明感溢れる再現が素晴らしい。思わず笑みがこぼれるほどだ。弦楽器はボウイング時のアップボウとダウンボウの描き分けや、ボーカルソースのリバーブの滞空時間の長さ、伴奏ピアノのタッチの微細なダイナミクスの変化までもが、実に明快に伝わってくるのだ。

EXAKT化で引き出される躍動的な音楽再生!

そしていよいよ、EXAKTシステムを使ってのチャンネルデバイダー&マルチアンプ駆動を試みる。トライアンプ接続時と同様、KATALYST DACとアンプモジュールを3組搭載した状態だが、これだけの規模構成がSELEKTのワンボディに収まってしまうのだから画期的である。

SELEKT DSMに「KATALYST+パワーアンプ出力モジュール」を3本装着したところ。ちなみに専用のトライワイヤリングケーブル(22,000円/1.0m)も用意しており、ケーブルがごちゃごちゃしないシンプルな設置が可能

なお、EXAKTシステムで駆動するためには、スピーカーの内部配線の変更作業と、DACからの出力に適切な帯域分割を適用するための、LINN「Manage Systems」からのコンフィグレーション変更が必要となるが、これらの作業はユーザー自身でセットアップする必要はないのでご安心頂きたい。

下の方のウーファーユニットを外し、内部のパッシブクロスオーバーをバイパスする。作業は10分程度で完了する

取り外されたウーファーユニット

取り外したウーファー部から中を覗いたところ

各種の作業が完了後、試聴を実施した。肝心のサウンドはどうか。それは、予想を裏切らない、誉れ高いものであった。

音が出た瞬間に実感するのは、伸び伸びとした躍動的な音楽再現だ。低域の量感や深さはそのままに、音楽がより軽快に湧き出してくるのだ。ジャズのピアノトリオでは、ピアニストの左手和音の手さばきやウッドベースの運指に、微塵も重たさを感じさせず、音楽が朗々と推進していく。また、ベースソロの際、鍵盤にふれるか触れないか程度の力で奏されるピアノの合いの手的な和音も、タッチのリアリティが極めて高い。

オーケストラでは開放感溢れる空間が広がる様に、胸のすく思いがする。全体を捉えるマイクと、各々の楽器パートを捉えているマイクがレイヤーされ、それらが一つの音楽を形成するさまが手に取るように分かる。コーラスも、一人ひとりの顔が容易に想像できるディティールの深さがある。しかしながら、音の要素がバラバラになることなく、決して分析的になることなく、演奏の一体感豊かに再現される点が素晴らしい。

そして、ボーカルソースは、歌声の存在がしっかりと描き出され、歌い手の情感を適切に聴き手に伝えてくれる。

筆者は、歌声や楽器の3次元的な解れ感こそが、チャンデバ方式の真骨頂だと考えているが、そこに、満ち満ちる音楽の躍動感を伴うことこそが、今回のシステムの特徴だと感じた。これは、ユニットの特性までも考慮された、緻密なデジタル処理があるからこそ到達できる次元なのだろう。

150内部のネットワークのバイパスと、「Manage Systems」からの設定が必要。LINN以外にも、JBLやKEFなど著名なスピーカーはについてはプリセットが用意されている。このあたりは専門店がしっかりサポートしてくれるので安心

リンのスピーカーについては、それぞれシリアル番号を入力することで、個体ごとに用意されたベストな設定で試聴することができる

加えて、低域の質感も印象的だ。本体下部のデュアルポートから放出される低音が360度へ広がることによって、低音楽器の音像定位がナチュラルなのである。そして、低重心で高密度な再現は、やはり、先述した十二分な吸音材充填の賜物だと推察する。フラグシップの「360」スピーカーは密閉構造を採っていたが、この150でも、設計アプローチこそ違えど、360譲りの密度感のある低域再現が追求されているのだと実感した次第だ。

トライワイヤリングケーブルを接続した時の「150」のリア端子

LINNの新たなスピーカー「150」は、エントリーでありながらも、新世代のLINNスピーカーの魅力を十全に伝えてくれるプロダクトである。パッシブスピーカーとして上質なサウンドを提供することは勿論、SELEKTを用いることで、バイアンプやトライアンプ、そしてEXAKTシステムによってチャンネルデバイダー&マルチアンプ駆動を実現し、さらなる次元へとリスナーを誘ってくれる、唯一無二の存在なのである。

(提供:リンジャパン)

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