【Qobuzを楽しむ100万円プラン】リン×ソナス・ファベール、憧れのハイエンドオーディオ
リン×ソナス・ファベール、憧れのハイエンドシステム
「Qobuzを聴くためのシステム」を5つの価格帯で紹介・提案していく本シリーズも、いよいよクライマックスを迎えた。最終回となる今回紹介するのはLINN(リン)のネットワーク一体型プリメインアンプ「MAJIK DSM/4」とSonus faber(ソナス・ファベール)のブックシェルフ「Sonetto I G2」の組み合わせで、金額的には100万超を想定している。

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MAJIK DSM/4は世界に先駆けてネットワークオーディオの可能性を切り開いてきたLINNの「1BOXシステム」。長い時間をかけて磨き上げられてきたネットワーク再生機能にくわえ、LINN独自のクラスDアンプを搭載。「あとはスピーカーを用意するだけで最高のシステムが完成する」という、LINNの世界観を体現する製品といえる。また、ネットワークのほかにUSB入力やHDMI ARC入力も備えており、PCとの接続やテレビとの連携といった役割もこなす。

Sonetto I G2は「Sonetto G2」シリーズのブックシェルフで、28mmソフトドーム・トゥイーターと125mmペーパーコーン・ウーファーを搭載する、今回のシリーズで紹介した製品の中では最も大型かつ重量級のモデルである。美しい製品づくりにも定評あるSonus faberのスピーカーらしい、仕上げの素晴らしさにも感心した。なお、Sonetto I G2には専用スタンドが用意されており、本機の試聴の際もそれを用いた。

躍動感や透明感、響きの美しさまで美しさの極致
本シリーズでは5つの価格帯のシステムを一度にすべて聴いているのだが、MAJIK DSM/4とSonetto I G2の第一印象はずばり「性能の絶対値が違う」というもの。よって、試聴曲のすべてで、今までに聴いてきたシステムを越える体験が得られる。

今までのシステムでそれぞれ感じてきた美点、例えばAtoll × Focalの余裕ある駆動力から繰り出される躍動感、Primare × Piegaの聴かせた透明感や静寂感など、それらすべてを併せ持ち、さらに響きの美しさやディテールの豊かな描写といった新たな魅力も加わっている。
特に響きの美しさについては、人工的ないやらしさやわざとらしさのない、素直に「美しい」と思えるものだ。音源本来の激しさや荒々しさをしっかりと再現しつつ、なおそのような感覚を抱かせるあたり、Sonus faberの製品づくりのセンスには脱帽と言うほかない。そしてノラ・ジョーンズにビリー・アイリッシュ、ヨルシカに宇多田ヒカル、洋の東西を問わず艶やかなボーカルにもまた強い感銘を受けた。
音源から細大漏らさず情報量を引き出しているという点でも、組み合わせたスピーカーを十全に駆動するという点でも、MAJIK DSM/4の存在は大きく、システムに盤石の安定感を与えているという印象。
ネットワーク再生機能は言うに及ばず、純粋にアンプとしても高い実力を有していることは、何よりもSonetto I G2が奏でる音から明らかだ。また、これは組み合わせるスピーカーも含めたものだが、全体的な音の傾向としては微に入り細を穿つよりも音楽を楽しく聴かせようという意図が強く感じられ、HDMI ARCによるテレビとの連携機能も相まって、リビングユースへの適性がいっそう高まっている。

操作アプリの完成度は間違いなくトップレベル
純正アプリの「LINN App」を用いた操作系の完成度は、本シリーズで試したシステムの中で図抜けたトップと言っても過言ではない。動作の安定感、レスポンス、デザインの洗練はもちろんのこと、「Qobuzとの統合」という点においても他社の数歩先を行く。ネットワークオーディオのパイオニアとして積み重ねてきた年月は伊達ではなく、さすがの一言である。


システムトータルで100万円を越える辺りともなると、人生をかけて熱量を注ぎ込んでいるオーディオファンでもなければ、「現実的な上限」と言ってもまったくおかしくない領域だ。つまり、紛れもないひとつの終着点である。では、今回紹介したMAJIK DSM/4とSonetto I G2の組み合わせは、Qobuzを再生するシステムとして、音楽を愛する人にとって、ゴールたり得るのだろうか。
心から言おう。なんと幸せなゴールだろう、と。

ストリーミングを活用して、豊かなオーディオライフを!
さて、「Qobuzを聴くためのシステム」を5つの価格帯で紹介・提案していく本シリーズもこれにて終了となるが、いかがだっただろうか。
一般的な音楽再生のスタイルとしては「ストリーミング」が当たり前になって久しいが、オーディオの世界においては必ずしもそうとは言えず、特に日本においては肝心のサービスを利用できないという状況が長く続いたため、いっそうその傾向が強かった。
しかし、Qobuzの正式サービスインにより、いよいよ状況は変化した。ネットワークを通じて膨大な楽曲にアクセスでき、さらにロスレス/ハイレゾ配信により音質も担保されたQobuzの存在は、今後の日本のオーディオ・シーンに必ずやポジティブな影響を与えるだろう。そして、これからQobuzを始めてみようと思うオーディオファンにとって、本シリーズがひとつの指針を提供できれば幸いだ。
なお、本シリーズはあくまでも「Qobuzに対応するオーディオ機器を使う」という切り口で紹介してきたが、Qobuzは公式のPC用アプリ(ソフト)を使ってUSB-DACと組み合わせることも可能であり、システム構築の選択肢は幅広い。ぜひ様々なスタイルで、Qobuzの導入にチャレンジしてみてほしい。