公開日 2020/01/08 06:15

「Amazon Echo Studio」は24,800円だが、間違いなく「買い」。 1ヶ月使った結論

<山本敦のAV進化論 第182回>


マーヴィン・ゲイの名曲「What's Going On」は空間の広がりがとても豊かで、音像定位も鮮明に感じられる。いわゆる映画の5.1chサラウンドのように、効果音が頭の後ろに回り込むようなメリハリを効かせたチューニングではないが、録音スタジオやライブ会場で音楽を聴いているような自然な包囲感が得られた。

マーヴィン・ゲイの楽曲をAmazon Musicの3DバージョンとSpotifyのステレオ(SD)楽曲と聴き比べてみた

ボーカルの肉付きも力強い。音像が前に迫ってくる。パーカッションの細かい音の粒立ちがとてもよく、密度の濃い余韻が部屋中に満たされる。ベースやドラムスのリズムがとても骨太で筋肉質。低域がダブつく感じがない。スピーカーから少し離れた場所で聴いても引き締まったスピード感が伝わってくる。比べて聞くと、Spotifyによる同じ楽曲の再生は明らかに平板で緩い。パンチも物足りなく聞こえてしまう。部屋の天井を突き抜けていくようなハイトーンの透明感も、Amazon Musicの3Dミュージックらしい良さが体感できた。夜間にボリュームを下げて再生してみても、立体感の鮮度は落ちなかった。

マライア・キャリーの「Emotions」も96kHz/24bitのハイレゾ音源としてAmazon Musicに揃う。Spotifyの音源とクオリティの差は明らかだった

Amazon Music HDで配信されているハイレゾ音源も、Echo Studioで聴いてみた。3D音源でなくても十分に開放的な空間の広がりが感じられるのは、Amazon Alexaアプリのデバイス設定から「オーディオの設定」で行う「ステレオ空間エンハンスメント」が効いているからだ。オン・オフを切り換えると、自然なサラウンド感が生まれていることがよくわかる。特に奥行き方向のイメージが豊かになる。いわばEcho Studioのバーチャル・サラウンド機能だ。もちろんオフにしてもキレのあるボーカル、リッチな余韻と力強い楽器のエネルギー感が損なわれることはない。

ステレオ再生時に豊かなサラウンド効果が得られる機能「ステレオ空間エンハンスメント」がEcho Studioに対応している

今までほかのスマートスピーカーでBGM的に聴いていた時には見えていなかった情景に出会えるので、じっくりと耳を澄ませてディテールまで聴き込みたくなってしまった。さすがはEchoシリーズのハイエンドモデルだ。

ダウンファイアー配置のウーファーから出力される音がスリットを通して前後均等に放出される。リッチな低音再生を実現した

Fire TV Cubeと組み合わせてドルビーアトモスを再生してみる

Echo Studioにはドルビーアトモスの音源を再生できる機能もある。2019年秋に発売された、Alexaを本体にビルトインしたアマゾンのHDMIメディアプレーヤー「Fire TV Cube」をペアリングし、Netflixで配信されている映画を見た。

ドルビーアトモスの音源をFire TV Cube経由で再生して確かめた

機器同士の接続設定はモバイルのAlexaアプリから簡単にできる。デバイスのタブを選択後、右上の「+」アイコンを選択すると画面の下にポップアップするメニューから「オーディオシステムをセットアップ」をタップする。続けて表示される画面から「ホームシアター」を選択して、Fire TV CubeとEcho Studioのそれぞれをリストから選んでホームシアターシステムとして結び付ける。

Netflixにはオリジナルの海外映画・ドラマを中心にドルビーアトモス音声を収録するコンテンツが充実する。Fire TV CubeからNetflixにアクセスすると、対応するコンテンツはタイトルの下に「ATMOS」のロゴが表示されるので目印になる。

アクションドラマ『パニッシャー』のシーズン2から12話を選び、冒頭の派手なカーチェイスのシーンを視聴した。効果音が室内を縦横無尽に駆け巡る。エンジン音のうなりが力強くてリアルだ。先ほどAlexaアプリから設定したホームシアターにはEchoシリーズのサブウーファーを追加することもできるが、その必要もないほどに厚みがあり、切れ味の鋭い低音がEcho Studio単体でも味わえる。中低域のセパレーションも明瞭だ。センターの位置にダイアローグが鮮明に定位するので声も聴きやすかった。ドルビーアトモスらしい高さ方向の広がりもしっかりと感じられた。

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