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<山本敦のAV進化論 第181回>

やっぱりアマゾンは本気だった。「Amazon Music HD」が目指すのは全楽曲の高品位配信

2019/11/28 山本 敦
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アマゾンが2019年9月17日にハイレゾ対応の音楽ストリーミング配信サービス「Amazon Music HD」の提供を開始した。今回はアマゾンジャパン デジタル音楽事業本部・事業本部長のレネ・ファスコ氏を訪ね、Amazon Music HDが立ち上がった経緯や仕様の詳細を聞く機会を得た。

アマゾンジャパン デジタル音楽事業本部・事業本部長のレネ・ファスコ氏にインタビュー

Amazon Music HDのサービスのスペックや価格体系など概要についてはPHILEWEBのニュースで情報を参照しながら本稿のインタビューを読み進めてほしい。オーディオシステムによる視聴方法については土方久明氏のレビューが参考になると思う。

ハイレゾ対応以降、日本を中心に世界中で登録者数が増えている

アマゾンの定額制音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」が日本でサービスを開始してから2年を迎えた。この機会にアマゾンがハイレゾ対応の音楽配信をサービスのメニューに追加した狙いから聞いた。

「第一には音質にこだわりを持つお客様のためです。楽曲制作に携わるアーティストやエンジニアも、レコーディングスタジオの空気感をまるごと音楽ファンに届けたいという思いを抱いていることは、リクエストも多く寄せられてきたことから私たちも認識していました。ハイレゾ対応のサービスは当然追加すべきと考えていましたし、計画通りにこれを実現できました」

「世界的に音楽ストリーミング配信サービスが急激に普及してきた中で、 “いい音” を “便利に楽しめる” ことを求める声も高まりつつありました。5Gの通信技術を利用するサービスが今年から世界各地で徐々に立ち上がっています。環境面においてもハイレゾ対応のサービスを始めるのに最適なタイミングであると考えています。もちろん、アマゾンが日本国内でホンモノのハイレゾ音楽配信をどこよりも早くお届けしたいという強い思いを持っていました。新しいタイプのサービス、機能を企画・設計する際には、アマゾンが大切にしている日本のユーザーからのフィードバックが大きく影響することが往々にしてあります」(ファスコ氏)

ローンチから約2ヶ月が経過したAmazon Music HDに対する日本国内のユーザー、あるいはレーベルやアーティストなどパートナーから寄せられるフィードバックはとてもポジティブであるという。そして登録者数はアマゾンの当初予測よりも伸びており、アマゾンの音楽サービス自体を初めて利用するという新規契約者も増えているそうだ。

Amazon Music HDの「ブラウズ」タグ。ハイレゾ作品には「ULTRA HD」のロゴが表示されている

ULTRA HDで聞けるプレイリスト。積極的にハイレゾ作品をレコメンドするプレイリストが揃う

現在Amazon Music HDのサービスは個人プランが1,780円/月、17,800円/年。家族で使える「ファミリープランHD」が2,480円/月、24,800円/年で利用できる。価格設定の意図についてファスコ氏は「今回多くの努力が実って、ユーザーの皆様が魅力的に感じられる価格を設定できたことを私たちも嬉しく思っています」と語り胸を張った。

ハイレゾ対応のサービスは2019年11月現在で日本のほかに北米・イギリス・ドイツで提供されている。ファスコ氏は「中でも日本の登録利用者が多く、いい音に対して日本の音楽ファンの方々が高い意識を持っていることを改めて実感しました。ユーザーの方々によるサービスの利用傾向を調査すると、Amazon Music Unlimitedを利用されていた頃よりも、Amazon Music HDにアップグレードした後の方がより音楽を聴かれる頻度が高まっているようです」と語っている。特に人気の高い音楽ジャンルはクラシック、ジャズ、アニソン、ゲームミュージックなどのダウンロード販売形式のサービスと似通った傾向も表れているという。

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