公開日 2018/11/22 12:13

MUTECのクロックジェネレーター「MC-3+USB」「REF10」を、最新DAC 3機種と組み合わせて聴く

クロック強化でデジタル再生をグレードアップ

●プラン<1> iFi audio「Pro iDSD」

Pro iDSDは、単体では各楽器の音像が高い密度で展開する、充足感の高い音を楽しめるDACだ。どのようなソースでも決して音が硬くなることがなく、耳馴染みの良い音質で楽しませてくれる。


(2)リクロック
接続は上図を参照。こちらはより明確な定位感が得られるようになる。音像が明瞭化し、サウンド全体を冷静に俯瞰できるようなイメージだ。低域表現も至ってタイトになる。一方でDSDファイルを再生すると、MC-3+USBで独自のPCM変換処理されることによる効果か、音像定位の明瞭感は増すものの、低域方向はやや柔らかい表現を楽しむことができた。これに関しては、ほかのDACでも同一の傾向が得られた。

(3)10MHzクロック入力
Pro iDSDは背面にクロック入力の切り替えスイッチを装備しており、アトミッククロックや10MHzクロック入力に切り替えができる。MC-3+USBでリクロックしていた時よりも、DAC本来の音質を残したままで、さらに定位が緻密になり、より一層音の細部が見渡せるようになる。音の立ち上がりに、エネルギッシュなパワー感が出てきて、より溌剌とした目が覚めるような音へとシフトした。

Pro iDSDは背面右側に、音声入力とも共用できるBNC端子を搭載。右側のスイッチ(要マイナスドライバー)で10MHzクロックやアトミッククロックとの入力切り替えができる



●プラン<2> SOULNOTE「D‐2」

ソウルノートのD-2は、全ての帯域で、音のスピード感が精確に揃った出音が快い。音色も一切の味つけを感じさせない実直な音色が楽しめるDACだ。音のセパレーションが抜群で、描かれる音像や展開される空間のリアリティがとにかく高い。


(3)10MHzクロック
背面に10MHz入力を搭載しているため、REF10を直接入力する。演奏の発音タイミングが揃うような変化があり、演奏内容がより明瞭かつ緻密にクローズアップされる印象だ。特に、ヴォーカル帯域の質感がよりクリアになる。低域表現も一層タイトに引き締められ、ベースの余韻が実にスッキリとした。全体的に、発音のスピードが増したかのようだ。

(4)10MHzクロック+リクロック
 こちらでは、10MHzクロックをD-2とMC-3+USBに分配しつつ、MC-3+USBでリクロックを行う。一転して先ほどとは傾向の異なる変化が得られた。高域にかなりシャープな硬質感が生み出された。音がより真っ直ぐに飛んでくるような、エッジが立った音を楽しめる。ドライな空気感を伴ったサウンドだ。

D-2の背面。10MHzクロック入力を持つので、REF10をそのまま入力することに加えて、MC-3+USBのリクロック機能も活用できる



●プラン<3>MYTEK DIGITAL「MANHATTAN DAC II」

マイテックの最高位モデルは、温かみを帯びたマッシブな音が魅力的だ。楽器同士が自然な間合いを持ちながら、高い解像度で描かれる。決してそれぞれの音が不用意に分離してしまうことなく、一体感ある心地よい音が楽しめる。


(1)ワードクロック
この製品は背面にワードクロック入出力端子があるので、MC-3+USBをインターナルのワードクロックとして活用した。ここでも、やはり時間軸方向や音像の定位感が明確化、明瞭化するような質感が得られた。低域表現も引き締まり、再生音のボトムに、よりしっかりとした芯が生み出される印象だ。しゃんとするような質感がある。

(4)10MHzクロック+リクロック
MC-3+USBに、REF10を接続し、リクロックしたデータをDACに送り出す。さらに空間表現が拡がりを得る印象だ。再現される空間がよりリアリティの高いものとなる。音色的には、幾分クールとさえ思えるほどの、冷涼感ある明瞭な表現になる。

MANHATTAN DAC Uの背面。ワードクロック入力を持つため、MC-3+USBをワードクロックとして使える


以上のように、機器に応じてさまざまな方法でクロック制御を行ってみたが、いずれの場合も明瞭な音質効果を聴き取ることができた。改めてクロックの重要性、そして有用性を実感した次第だ。なお、リクロックに関しては、やはりMC-3+USB自体の音質傾向が十全に発揮される印象であった。一方で、純粋なワードクロック及び10MHzの入力では、DACの持ち味を活かしつつ、時間軸方向の一層の精確化が得られた印象だ。ワードクロックよりも、10MHzクロックの方が、よりその効果が強力であった。最新のDACにおいても、MUTECのクロックが大きな実力を発揮することは間違いないと言えよう。

(生形三郎)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 DALIのコンパクトスピーカー「KUPID」はテレビ横にも置きたくなる!エンタメサウンドも相性抜群
2 ビックカメラ、旧池袋マルイ跡地「IT tower TOKYO」に出店。2026年3月オープン予定
3 Valerion、4Kレーザープロジェクター&スクリーンのセットを最大43%オフで販売する「クリスマスセール」
4 スクリーンを下ろせば和室がホームシアターに変身! ユニークな機器レイアウトに注目
5 ORB、“最良の音楽表現” を目指したフラグシップヘッドホンアンプ「JADE casa Ultimate」
6 「ベーシック」の常識を覆すハイレベルなインターコネクトケーブル Zonotone「Granster AC-2000」
7 KEF、対象スピーカー購入者全員へChord Company製ケーブルをプレゼントするキャンペーン
8 LG、RGBマイクロLEDテレビ「Micro RGB evo」。CES2026で正式発表へ
9 NICEHCK、新フラグシップIEM「Rockies」。1DD+2BA+2ESTのハイブリッドドライバー搭載
10 <ポタフェス>B&W、フラグシップヘッドホン新旧比較/デノン、リアルウッドヘッドホンをアナログで味わう
12/18 10:50 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX