HOME > レビュー > エソテリック「E-02」レビュー。MCカートリッジ全段バランス伝送/増幅を実現するフォノイコライザー

アナロググランプリ2018 金賞受賞

エソテリック「E-02」レビュー。MCカートリッジ全段バランス伝送/増幅を実現するフォノイコライザー

公開日 2018/08/07 06:00 角田 郁雄
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ESOTERIC(エソテリック)「E-02」は、MCカートリッジの全段バランス伝送/増幅を可能にするフォノイコライザーとして、そのクオリティが審査員から高く評価され、「analogグランプリ 2018」で金賞を受賞した。本機を同賞審査委員長である角田郁雄氏がレビューした。



フォノイコライザーアンプ
ESOTERIC
E-02
¥650,000(税抜)

アナログ技術の粋を結集したモデル

エソテリックの「E-02」は、同社のアナログ技術の粋を結集したモデルである。その特徴は、電源部を含め、完全デュアル・モノコンストラクション・フルバランス回路を実現したことである。近年、注目されるカートリッジ出力のバランス伝送に対応させているところも大きな特徴と魅力である。機能が豊富で使いやすいことにも好印象を受ける。

例えば、カートリッジの負荷インピーダンスを9段階に切り換えられ、近年の内部インピーダンス1Ω以下という低インピーダンスMCカートリッジや40ΩというハイインピーダンスMCカートリッジをも満足させている。搭載する回路も、オーディオマインドが掻き立てられるほど精密感に溢れ、高品位。音質も実にハイエンドである。こうしたことから、受賞するに至ったのである。

本機の内部。各チャンネルで独立した基板が、上下2段に配置されている

本機の主な特徴を説明しよう。まず、美しく、振動の影響を受けにくいシルバーボディは、同社の顔である。左に入力セレクター、右に9段階の負荷インピーダンス・セレクターを配置。センターには、カートリッジや昇圧トランスの鉄心の消磁を行う「DEMAG」、サブソニックフィルター、モノ/ステレオの切り換えスイッチがある。実にシンプルで扱いやすい。内部技術も、実に魅力的だ。中央から左にかけては、左右完全独立の高品位アナログ電源が配置されている。規模の大きな高品位電源部である。中央から右にかけては、2階建てのアナログ基板が配置される。上段が左、下段が右チャンネルで、完全モノコンストラクション・バランス構成である。


独自の電流伝送強化型バッファー回路を搭載

信号の流れを大まかに説明しよう。MCの場合、入力端子からゲイン26dBのMCヘッドアンプを経由し、NF-CR RIAAイコライザーアンプへと繋がり、最後は同社のHCLDバッファーアンプで出力される。随所に高品位なパーツを使用した規模の大きな回路であるが、入力から出力まで、伝送増幅ルートを最短にしている。

電源トランス、電源回路、増幅回路などは、左右チャンネルに同一のものを個別に搭載している

特に、NF-CR RIAAイコライザーは、±0.2dBというRIAA特性とNF量の低減を両立させ、高電圧駆動により、余裕のあるヘッドルームを確保していることが特徴である。もうひとつの特徴は、独自の電流伝送強化型バッファー回路(ESOTERIC-HCLD)を搭載していることだ。電流出力能力が高く、スルーレイトは2000V/μsという特性を実現している。その結果、高いSN比と低い出力インピーダンス特性を実現しているのである。

完全バランス伝送をぜひ体験して欲しい

本機の音質は、これらの技術が大きく反映され、広い空間性/鮮度の高い音質/高解像度特性/弱音の再現性の高さを実感させるところが特徴と言えるであろう。音調としては、繊細さや柔らかさを引き立てる、わずかに暖色系で、浸透力のある音質が特徴。透明度の高い倍音を発するところも魅力である。

入力端子はRCA 2系統とXLR 1系統で、XLRはMC入力専用。出力はXLRとRCA。独自の「ES-LINK Analog」にも対応して

読者が、もし、本機を聴く機会があるなら、バランス仕様のトーンアームケーブルを使用し、入力から出力までの完全バランス伝送を、ぜひ体験して欲しい。さらに静寂感、解像度、空間再現性が高まり、奏者や歌い手のリアリティが高まっていることが理解できることであろう。ES-LINK Analogという電流伝送方式も搭載するので、これに対応する同社のアンプなどで、音質を体験されたい。

(角田 郁雄)


受賞メーカーより
エソテリック株式会社
事業企画本部 本部長
町田裕之氏

町田裕之氏

過去のアナログ全盛期では実現できていなかったことに挑戦することは、エソテリックにとって大きな意義のあるチャレンジでした。キーポイントとなるのは、「フルバランス伝送」です。アナログのような微弱信号の伝送と増幅に最適な方式で、特に低域の力強さから生まれる音楽の彫りの深さ、ステージングの奥行き感が聴きどころ。常にチャレンジを厭わないブランドとして、今回の受賞は大きな意味のある成果となりました。(町田氏)


審査員コメント(藤岡誠)
MC出力のバランス伝送に対応した多機能高級機

本機は全段フルバランス回路のMM / MC対応フォノEQアンプ。外観はエソテリック一連のデザインと共通し独自の高級感が漂う。フォノ入力はRCA×2、XLR×1の3系統を装備。XLR端子では「MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅方式」を実行することができる。中央横一列3個のボタンは左から消磁用ボタンで長押し(3秒)でインジケーターの輝度切り換え可能。中央はサブソニックフィルター、その右隣はモノラルボタン、という具合に多機能(藤岡)。



E-2 Specifications
●入力インピーダンス:MC 10,50,100,200,300,500,1k,10kΩ、MM 47kΩ ●出力インピーダンス:XLR 20Ω、RCA 23.5Ω ●RIAA偏差(10〜20kHz):±0.2dB ●全高調波歪率(1kHz、MM、定格出力時):0.007% ●定格出力レベル:RCA 2Vrms、XLR 4Vrms ●ゲイン:RCA MM 40dB MC 66dB、XLR MM 46dB MC 72dB ●入力感度(1kHz、定格出力時):MM 20mV、MC 1mV ●最大入力レベル(歪率0.1%):MM 100mV、MC 4.8mV ●SN比(入力ショート、定格出力時):MM 100dB、MC 80dB ●チャンネルセパレーション(MM、10kHz):-96dB以上 ●サブソニックフィルター:17Hz -6dB/octave●消費電力:23W●サイズ:445W×131H×377D(突起部含む)mm●質量:12.5kg ●取り扱い:エソテリック(株)


※本記事は「季刊analog」59号所収記事を転載したものです。本誌の購入はこちらから。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク