公開日 2016/12/19 19:44

【レビュー】アップルの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」を自腹購入。その実力とは?

落下防止アクセサリーも試してみた

クールで煌びやかなサウンド。ただし音漏れには注意

サウンドはEarPodsと同じ傾向を基本としているが、より中低域のボディが肉厚で、押し出し感も強い。半密閉型のハウジングなので、中高域の抜け味もさわやかで、全体にクールでありながら煌びやかなサウンドだ。

ボーカルはディティールがしっかりと描写でき、輪郭線の細やかな表情も上手く捉える。高域の透明感も心地よい。ピアノやギターなどメロディ楽器の音色も自然に再現され、長時間リスニングの時にも負担を感じない。ダンスミュージックではエレキのカッティングがきれいに粒立ち、ドラムスのスネアが鋭く響く。

反面、外の音が飛び込んでくるため、どうしても低域が聞こえづらくなる。音場はワイドだが、縦方向の立体感の描写は苦手なようだ。ロックやジャズの楽曲を聴いてみても、低域は輪郭線の明瞭さはそこそこ感じられるのだが、いかんせん量感が足りなく感じられ、つい音量を上げてしまう。半密閉なので、外に音が漏れ聞こえて周囲の迷惑になることもあるので、通勤電車など人混みの中では注意しながら使いたい。

片側のイヤホンを耳から外すと音楽再生が一時停止する。音楽再生中でもボリュームを控えめにしていれば、イヤホンを着けたままでもある程度外の音が聞こえるのだが、例えばお店で会計をするときにスタッフと話をするタイミングで、さっと片耳のイヤホンを外せば音楽がストップして相手の声が聞こえやすくなる。再度イヤホンを耳に装着すれば音楽再生を再開する。片耳でスマホの音声を聴き続けたい場合は、AirPodsの設定画面から「自動耳検出」をオフにすれば本体の着脱にかかわらず、両側のイヤホンから音声が出力され続ける。

AirPodsの本体設定画面。「自動耳検出」をオフにすると片耳だけでも音楽が聴けるようになる

賑やかなカフェの中、ラッシュ時の駅の改札などで通信の安定感も試してみたが、音切れやノイズの発生はとても少なく、クリアなリスニングが楽しめた。AirPodsはプレーヤー機器とイヤホンの間はBluetoothで通信するが、左右イヤホンの間はJabraの完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite Sport」が採用する「近距離磁界誘導(Near Field Magnetic Induction)」伝送技術が使われているのではないかと言われている。もしそうだとしたら、その好影響が現れている可能性もある。


リモコン操作はSiri頼み。物理ボタンの方が便利

AirPodsはパーソナルアシスタント・Siriによる音声コマンド操作にも連動するイヤホンだ。左右のどちら側でもよいので、イヤホンの本体をダブルタップするとSiriが起動し、音楽再生時には曲送りやボリューム操作ができたり、電話や地図アプリも呼び出せる。

だが、ボリュームを上げ下げするだけでもいちいちSiriを呼び出し、時にはコマンドを誤認識されたりと、物理ボタンで済ませれば一瞬でできる操作に大変手間がかかってしまう。ボイスコマンドはそこそこ大きな声でハッキリと発声しなければ正しくピックアップしてくれなかったので、結局音楽再生操作はすべて手元のiPhoneでやらざるを得なかった。

Siriで「JUJU」を検索してミュージックアプリから再生を試みたが、なかなか正確に認識されず。iPhoneで画面を操作した方が確実だ

なおAirPodsの本体設定から、ダブルタップ操作をSiriではなく「音声の再生/停止」に割り当てられるが、これは既に「イヤホンを耳から外す」というアクションに割り当てられているので、あまり意味がない。今後ソフトウェアのアップデートで「左側イヤホンをマルチタップで曲送り」「右側イヤホンをマルチタップでボリュームの上下」など、ほかのコマンドにも割り当てられるようにして欲しい。

もしApple Watchを所有していて、日ごろからiPhoneと一緒に使っている方なら、AirPodsで音楽を再生しているときは、Apple Watchをリモコンとして使った方が、曲送りやボリュームが正確に操作できる。

Siriによる音声操作がしづらい街中などではリモコンとしてApple Watchが大活躍する

なお、AirPodsに搭載されているマイクの品質自体は高そうだ。ハンズフリー通話にも使ってみたが、通話相手にもこちらの声がとてもきれいに聞こえるようで、一般的なワイヤレスイヤホンよりも好評価が返ってきた。さすがはiPhoneを作っているメーカーだ。通話相手の声もクリアに聞き取れる。

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