公開日 2016/04/25 13:26

M2TECH「JOPLIN MK2」を高橋健太郎が聴く。 “20世紀のレコード”を体験するためのフォノADC

ヘッドホン祭『analog × TopWing』ブースで披露
高橋健太郎
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M2TECH JOPLIN MKII
近年、アナログ・レコードの復権という話題がメディアを賑わせるようになった。日本レコード協会によれば、2015年の日本国内のアナログ・レコードの売り上げは前年比165%に増加したという。アメリカやヨーロッパでも同じような増加傾向にあるという。

僕自身、一時期はCDでは手に入らない古い音源を中古レコードで探すだけになっていたのが、最近はまた新譜をアナログ・レコードで買うことが多くなった。すると、アナログ・オーディオ機器への興味も再燃し、レコード・プレイヤーやフォノイコライザーを新たに買ったりもしている。

デジタルファイルによる音楽配信ビジネスに関わっている僕が、アナログレコードのファンであるというのは矛盾しているように見えるかもしれない。が、16bit/44.1kHzというCDの規格に疑問を抱いたそもそものきっかけは、アナログレコードのサウンドの方が良いと思える作品が少なくなかったからだ。

16bit/44.1kHzのPCMもよりも良い音を求めて、ハイレゾのデジタル・ファイルへと向かった。音楽配信ビジネスにおいて、ハイレゾが常識になるように、各方面に働きかけたりもしてきた。が、そのモチベーションは根っこのところでアナログレコードの聴取体験に繫がっている。だから、ハイレゾのデジタルファイルとアナログレコードの両方が盛り上がってきた昨今の状況は、面白くて仕方がない。

フォノイコライザー/ADコンバーター JOPLIN MKII

僕のような人間は、たぶん、オーディオメーカーの中にも少なくないのだろう。というのも、ハイレゾのデジタルオーディオを専門しているように見えたメーカーから、突如、アナログレコード関連の製品が登場したりもするからだ。M2TECHから登場したJOPLINもまさしく、そんな製品だった。

M2TECHは2009年にhiFaceというDDコンバーターを発表して一躍、注目されるようになったイタリアのオーディオメーカーだ。PCのUSBスロットにそのまま刺せる小さなペンシル型のDDコンバーターのhiFaceは世界中でヒット商品になった。僕は翌2010年に発売された据え置き型のDDコンバーター、hiFace Evoを最近まで愛用していた。

同じ2010年に登場したのがUSB DACのYOUNGで、これは2014年にYOUNG DSDに進化した。YOUNG DSDの使用レポートは以前に書いたことがある(OTOTOYに掲載されたYOUNG DSDのレポーレポート)。

JOPLINはそんなM2TECHから2012年に登場した製品で、デザインはUSB DACのYOUNGと同じラインだったが、中身は何とアナログレコードのフォノイコライザーだったのだ。ただし、このJOPLINにはアナログのオーディオ出力はなかった。かわりにA/Dコンバーターを内蔵していて、アナログのレコードプレーヤーの出力をデジタル化してDACへと出力する。こういうコンセプトの製品を見たのは、M2TECHのJOPLINが初めてだったように記憶する。

2015年の暮れに発表されたJOPLIN MKIIは、このJOPLINの進化形に当たる。32bit/384kHzまでのデジタル出力を持つADコンバーターという基本は変わらないが、MM型だけでなく、MC型のカートリッジにも対応し、細かいインピーダンス設定ができるようになった。また、JOPLINから引き継がれた数多くのEQカーヴのプリセットを備えていて、そのマニアックな内容は、ちょっと他に例を見ないものだ。あるいは、アナログレコードとデジタルオーディオが融合するとこういうことができるのか! という驚きを届けてくれる製品と言ってもいいだろう。

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