公開日 2025/08/06 13:00

ヤマハ、サウンドバーの音質限界に挑戦したハイエンドモデル「SR-X90A」。新開発ユニットとYSPの技術を融合

ワイヤレスサブウーファーには新技術「シンメトリカルフレアポート」を導入
編集部:長濱行太朗
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ヤマハは、同社サウンドバーのハイエンドモデル「SR-X90A」を9月下旬以降に発売する。価格はオープンだが、市場では税込385,000円前後での実売が想定される。本モデルはサウンドバー本体とワイヤレスサブウーファーがセットとなる。

ヤマハから30万円クラスのハイエンド・サウンドバー「SR-X90A」が登場

SR-X90Aは、立体音響フォーマットのDolby Atmosを収録した映像コンテンツや高音質ストリーミングサービスなど、音質にこだわったコンテンツが多数登場している中、ヤマハのハイエンド・サウンドバーである「YSP-5600」(2015年モデル)など “YSPシリーズ” の後継機種をそのまま開発するのではなく、より進化させ「サウンドバーで実現できる音質の限界」に挑戦したハイエンドモデルとして登場した。

SR-X90Aでは「サウンドバーで実現できる音質の限界」に挑戦した

サウンドバー本体は、フロントLR用に25mmトゥイーター+53×110mmウーファー、センター用に25mmトゥイーター+53×110mmウーファー×2、ハイトLR用にビームフォーミング アレイスピーカーを搭載した、3.1.2ch構成を採用する。センター用に2基のウーファーユニットを組み込むことで、センターにおいても左右の対称性を確保。フロントLRとセンターのインピーダンスも整合性を取っているという。

製品説明会では、55型テレビとの組み合わせ例も披露(壁寄せスタンドは株式会社ナカムラ製)

フロントLRとセンターには、新開発の「アイシェイプド・オーバル・スピーカー」が投入されている。“アイシェイプド” の名の通り瞳のような楕円形のスピーカーユニットとなっており、滑らかなスロープがスピーカーの振動を自然にする役割を果たし、理想的な音圧と音質のバランスを実現。空間から音が浮かび上がるような没入感のあるサウンドを再現するという。

新開発の「アイシェイプド・オーバル・スピーカー」をフロントLRとセンターに採用した

音響システムで十分な音圧が確保しやすい真円形ユニットと、面積が大きくユニットの高さを抑えながらも高い音圧を再生できるトラック形状の楕円形ユニット、両方のユニットのメリットを合わせ持っているとアピール。それだけなく、サイズが大きくなりがちな真円形ユニット、音の角が鋭くEQに悪影響を与えてしまうトラック形状ユニット、それぞれの短所をも克服しているとのこと。

ハイエンド・サウンドバーのYSPシリーズで培ってきたビーム技術も「ハイトビームスピーカー」として導入する。サウンドバー本体両端に配置されたハイト用アレイスピーカーは、左右それぞれ6基1組、計12基のユニットで構成されており、デジタル・サウンド・プロジェクター技術によって各ユニットの音のタイミングをずらして再生。ビーム状の音に角度をつけ、併せて天井の反射を利用することで、天井にスピーカーを設置したようなサウンドを創生できる。

従来、YSPシリーズでは全てのチャンネルにビーム技術を用いて、優れた定位感と指向性を実現していたが、一方でひとつひとつのスピーカーユニットのサイズが小型になってしまうことで、音圧と音域に制限が生まれ、迫力のあるサウンドを再生することが難しかったのだという。SR-X90AではフロントLRとセンターをトゥイーター+ウーファーのユニット構成とし、そこにハイトビームスピーカーを組み合わせることで、高いレベルでの定位感と迫力の両立を可能にした。

さらに、同社のハイエンド・AVアンプ “AVENTAGE(アベンタ―ジュ)” に採用されている、独自のDSP技術「SURROUND:AI」をサウンドバーとして初めて搭載。DSP内のAIが入力信号を分析し、コンテンツのシーン毎に最適な音場を作り出すことができる。今回SURROUND:AIにはSR-X90Aに最適化したチューニングを施しており、ヤマハのサウンドエンジニアが推奨する理想的な音場効果をリアルタイムで楽しむことができるのも大きなトピックだ。

ヤマハの独自DSP技術である「SURROUND:AI」をサウンドバーで初めて投入

サウンドモードはSURROUND:AI/3D MUSIC/STRAIGHT/STEREOを用意。立体音響フォーマットは、Dolby AtmosやDTS:Xに加え、サウンドバーでは世界初となるAuro-3Dへの対応も実現している。Auro-3Dの音声信号が収録されている作品を試聴する際、サウンドモードを3D MUSICにすることでAuro-3Dのサウンドを再生できるようになっている。

立体音響フォーマットのAuro-3Dに対応したサウンドバーはSR-X90Aが世界初となる

高音質を追求したSR-X90Aには、筐体に1.6mm厚のメタルフレームを採用しており、高剛性とデザイン性を両立。さらに大型樹脂のインシュレーターを投入することで、筐体の振動を抑制し、スピーカーユニットの能力を最大限に引き出す仕様となっている。

筐体には高剛性のメタルフレームを採用している

サウンドバーとしてはかつてないほどの大型のインシュレーターが組み込まれた

ワイヤレスサブウーファーには、170mmスピーカーユニットとともに新技術として「シンメトリカルフレアポート」を採用する。バスレフポートのポート部分を下に向け、同形状の両端ポートを2枚の板で挟みこむようにすることで空気の流れをコントロールする技術であり、本技術によって20dBのポートノイズを低減し、クリアな低域再生に寄与しているという。

またワイヤレスサブウーファーには、マルチバンドリミッターも導入。瞬間的な強い信号入力に対して、通常のシングルバンドリミッターでは低域破綻が発生しやすいところ、マルチバンドリミッターによって迫力がありながらもナチュラルな低域の再現を図っている。

ワイヤレスサブウーファーには「シンメトリカルフレアポート」や「マルチバンドリミッター」が採用された

コントロールアプリ「MusicCast」からの操作に対応しており、ボリューム調整や入力切替のほか、ハイトビームの音量レベルや角度調整、人の声を聞き取りやすくする「クリアボイス」や低音を増強して迫力のある再生が可能な「バスエクステンション」のオン/オフもアプリから設定できる。Amazon MusicやApple Music、Spotify、Qobuz、Deezerといった音楽ストリーミングサービスへのアクセスにも対応する。

コントロールアプリ「MusicCast」からスピーカーの音量や入力切替、サウンド設定の調整が可能

MusicCastから「ハイトビームスピーカー」の調整も可能

主な入出力端子として、HDMI×2(eARC/ARC)、光デジタル入力×1、LAN×1、USB Type-A(アップデート専用)を搭載。外形寸法/質量は、サウンドバー本体が1180W×85H×143Dmm/11kg、ワイヤレスサブウーファーが241W×348H×414Dmm/12.7kg。

SR-X90Aの背面端子部

SR-X90Aに付属するリモコン

 

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