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公開日 2005/02/07 19:16

「主眼はコスト削減」−日立と松下、PDP事業の包括的協業へ

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(株)日立製作所と松下電器産業(株)は、PDP事業の包括的協業を進めていくことで合意した。今後、「開発」「生産」「マーケティング」「知的財産権」という広い分野での包括的な協業を行っていく。

記者会見で握手する日立の庄山社長(左)と松下の中村社長(右)

開発分野では、PDPモジュール部材の標準化などを図り、コスト競争力の向上を目指す。日立は富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)が開発したALISパネルを持ち、松下も独自開発のパネルを開発してきた。技術基盤が違うため、「今後もそれぞれの特徴は特徴で活かすが、将来的に効率化の可能性もある」(日立の庄山社長)という。

生産分野では、次世代の生産設備の標準化や生産プロセスなどの相互ベンチマーキングを検討し、生産性向上を図る。マーケティング分野では、PDPの持つ魅力を両社共同でアピールしていく。

知的財産権分野では、日立がPDP関連特許を管理する会社の設立を検討。松下は同会社に対する出資を行うことで、相互ライセンス関係の構築を進めていくという。

本日都内で開かれた記者会見には、日立製作所社長の庄山悦彦氏、松下電器社長の中村邦夫氏が出席した。

日立製作所社長の庄山悦彦氏

庄山氏によると、今回の協業は昨年の暮れ頃、日立側から持ちかけたという。同氏は「PDPは日本の誇る世界最先端のキーデバイス。自発光パネルの特徴である高画質を実現できるほか、環境に応じて省電力化も図れるなどの特徴があり、これからの大画面ディスプレイとしてPDPが選ばれるのは当然」と同社の戦略に自信を見せた。また同氏は、「日立は重電からコンシューマーまでを手がける総合企業だが、だからこそ消費者との接点になるWoooブランドは大事。今後、松下様との提携によりさらに強いキーデバイスを手にし、グローバルマーケットでさらなる成長を目指す」と力強く宣言した。

協業の背景について庄山氏は、「市場から安いパネルを要求されている。今回の提携は合理化に主眼がある」と説明する一方、「PDPと液晶は共存できると考えているが、37型クラス以上のサイズではPDPの投資効率が高く、画質の面でもメリットが大きいと考えている。松下様も同じ考えのようで、今後この特長を一緒に訴求していきたい」とマーケティング分野でも積極的に共同展開する考えを示した。

松下電器社長の中村邦夫氏

中村氏は、「日立様とはこれまでも半導体、家電分野で多くの提携を行ってきた。今回、高い技術力を有する日立様とPDP分野でも提携できたのは非常にうれしい」と述べたあと、「テレビの歴史は大型化の歴史。大きな画面を見ると、もう小さい画面は見る気がしなくなる。昨年発売した65V型も世界中でヒットしており、近い将来には100インチ級のモデルにもトライする」と、大画面化の流れを加速させる考えを示した。市場動向については、「今年度は世界で270万台のPDPが売れた。2008年度には少なくとも1,000万台に届くだろう」と予測し、「今回の提携を『ものづくり日本の復活』の契機にしたい」と締めくくった。

以下に、記者会見で行われた質疑応答の全問全答を掲載する。

今回の提携はいつ、どちらから持ちかけたものか?
昨年の暮れ、日立側から持ちかけた。(日立)

今回の提携に至った動機は?
大型PDPの良さをもう少し強く訴えようという考えから提携に至った。(日立)

松下がFHPに出資する予定はあるか?
今のところ出資の予定はない。(松下)

新たに作る知財管理会社への出資比率は?
今日署名に至ったばかりで、これから細目は詰めていきたい。(松下)

パネルの価格下落が続く中、松下は生産性向上、付加価値提案で利益を出している。勝ち組の松下がなぜいま日立と組むのか?
大型はPDP、32インチ以下は液晶という考えだが、連携強化でお互いに拡大発展できると考えている。(松下)

日立の持っている技術の何がほしいのか?
これから細目を詰めていく。(松下)

知財分野で、クロスライセンスを結ぶこともあるのか?
互いにWIN-WINの関係を目指したい。現段階では詳細は決まっていない。(日立)

パイオニアに対して協業の呼びかけは?
これまで交渉したことがない。特に拒んでいるわけではない。(日立)

デジタル家電全般に対する05年度の見通しを聞かせてほしい
夏頃までに生産調整が終わり、秋口から回復すると見ている。問題はコストを下げることだが、技術力で対応したい。(日立)/デジタル家電は一見減速しているようだが、量的には急成長を続けている。競争は激化するだろうが、当然のことだ。05年度の第1四半期から回復すると考えている。(松下)

PDPとLCDで同じビジネスモデルは成り立つか? 日立、松下、東芝で立ち上げるIPSアルファ・テクノロジーのような展開はあるか?
これまで両社でそれぞれ作り上げてきたものがある。これまでのものはそのままにする、という認識だ。(日立)/事業の合流はない。(松下)

開発、生産、マーケティング、知財の4分野で協業すると、ほとんど競争する分野がないように思える。いったいどこで競争するのか?
どのくらいのサイズを、どのくらいのレベルで生産するか、というのがPDPビジネスの重要なポイントであり、ここで競争原理が働くと考えている。(日立)

今回の協業は独占禁止法に抵触する可能性はないか?
本質的には問題ないと考えている。ただし各国で法制度が異なるため、きちんと調査を行いたい。(日立)

日立が保有するプラズマ関連特許のシェアは?
日本で700件、海外で600件の関連特許を持っている。シェアは手元に数字がない。(日立)

ディスプレイビジネス全体での提携の可能性はあるか?
今のところない。(日立)

ALISパネルと松下のパネルは今後、共通化に向かうのか?
それぞれの特徴は特徴で活かしたいと考えているが、今後効率化を図る可能性はある。(日立)


(Phile-web編集部・風間)

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