公開日 2025/05/29 06:35

【HIGH END】日本が誇るアナログブランド第二弾!オーディオテクニカ、ナガオカ、JICO、VAL

VMカートリッジの一挙刷新も話題
筑井真奈
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ミュンヘン・ハイエンドでは、日本が誇るアナログオーディオ関連のブランドが大きな賑わいを見せていた。ハイエンドの世界で確かな存在感を持つテクダス&DSオーディオに続き、アナログファンの裾野を広げる活動を展開するオーディオテクニカ、ナガオカ、日本精機宝石工業(JICO)、そして独自のカードリッジ開発力が光るヴァイナルオーディオ研究所(VAL)をレポートしよう。

 

アクリル製ターンテーブルを世界にも発信

オーディオテクニカは、先般日本でも発表されたVMカートリッジ「AT-VM700x/600x/500xシリーズ」の一挙刷新と、アクリルの透明アナログプレーヤー「AT-LPA2」をグローバル披露。カートリッジエンジニアの小泉洋介氏も会場に足を運び、世界のアナログファンに向けて製品の具体的な開発背景について語っていた。

日本から参戦したカートリッジ開発担当者の小泉洋介さんと、オーディオ評論家の山之内 正氏

VMカートリッジの500x/700xの一挙発表はヨーロッパでも大きな話題。600xはモノラルカートリッジ

今回はオーディオテクニカの「歴史」にこだわった展示としたそうで、同社の沿革やエポックメイキングな製品をまとめた年表や、日本の雑誌に掲載された昔の広告などを大きくブース壁面に張り出し、60年以上にも渡る製品開発の蓄積をアピール。

過去の日本の雑誌に掲載された広告などを壁一面に展開

ヘッドホンアンプ「鳴神」を体験できるエリアや、セミナーなどを開催する「教育」のための別エリアを設けるなど、オーディオテクニカの多角的な取り組みを世界に向けて発信していた。

オーディオテクニカのヘッドホン&ヘッドホンアンプへの取り組みにも注目
 

伝統を継ぐアナログブランド・85周年を迎えたナガオカ

ナガオカは、今年85周年を迎えることを記念して、フラグシップとなるMPカートリッジ「MP-700」を、創業日である5月13日に発売したばかり。ショウでも本製品をメインに、同社のカートリッジや各種アナログアクセサリー類をメインにブースを展開する。

ナガオカのフラグシップとなるカートリッジ「MP-700」

「MP-700」は日本円で20万円オーバーと、ナガオカの中では高価格なプロダクトとなるが、やはりアメリカやヨーロッパ市場からの反響は大きいようだ。社長の長岡香江さんも「私たちにはカートリッジ製品を絶やさず送り出してきた歴史がありますから、今後もその技術を大切に、未来に繋げて行きたいと考えています」と力強く訴える。実はナガオカには、テクニクスで長年製品開発に関わってきた井谷哲也氏がアドバイザーとして参画しており、今後ますますアナログ製品の充実も期待できる。

にぎわいを見せるナガオカブース

アナログファンの心を掴むアクセサリーも充実しており、特に注目が高いものの一つがレコードクリーニング用ウルトラファインブラシの「WCL222」。0.01mmという細かい毛先で、レコードの溝の細かいゴミまで除去できる優れもの。レコード内袋もファンが多いそうで、アナログレコードへの深い愛に溢れたアイテムである。

ナガオカのレコードクリーニングアイテムも人気

銘機の復刻に挑むJICO

JICOは、伝説の銘機とも言えるSHURE「V15 TYPEIII 復刻モデル」を披露。MMカートリッジ用の交換針を長年供給し続けてきたJICOにとって、カートリッジ本体の開発はまさに長年の悲願でもある。

SHURE「V15 TYPEIII 復刻モデル」を初披露

社長の仲川幸宏さんも、「ShureのJ44の交換針を開発した頃から、次こそはカートリッジを、と思い長い時間をかけて開発してきました。実は、単にメカニズムだけでいうならばV15のほうがシンプルなところはあります。ですが、だからこそ丁寧に、昔の音を知っている方にも納得いただける音に仕上げたい!と、時間をかけて取り組みました」と思いの丈を打ち明ける。

実際にデモ機を体験してみると、特にジャズの熱気感、分厚いエネルギーの塊の奔流が素晴らしい!「前よりいい音だね、と言われると困るのです。前の音そのままだね、と言われたい、と思って開発しました」と仲川さんのパッションも熱い。「V15 TYPEIII 復刻モデル」は、今週末に開催される「アナログオーディオフェア」でも披露される予定とのことだ。

「V15 TYPEIII 復刻モデル」、ジャズの分厚い熱気に翻弄される!

独自の開発技術が世界でも高評価

ヴァイナルオーディオ研究所(VAL)は、ノイマンの検聴用のカートリッジを範として、独自発電方式「マグナフォーカス」によるMCカートリッジ開発を手掛けているブランド。2023年に「スタートアップエリア」で初出展、今年で3年連続の出展となる。

ヴァイナルオーディオ研究所のカートリッジ

代表の三宅さんによると、海外のアナログファンにも着実にファンが増えてきた手応えがあるそうで、今回もショウの前にドイツ・シュトゥットガルトで試聴会を終えてきたところだという。

ローズウッドやエボニーなど、ボディ本体の素材を複数用意、日本ならではの「漆塗り」で仕上げており、その造形の美しさに海外のユーザーも多く足を止める。「お客さんの欲しい音や仕上げの要望に応じて今後の製品も広げていきます」と海外展開の広がりに手応え十分。

 

ここまで、日本のアナログ関連ブランドが世界でも高い評価を得ていることをみてきたが、一方でデジタル関連製品は相対的に数が少ないと感じられた。ソフトウェア開発への投資も含めて、今後の日本メーカーの奮起に期待したい。

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