公開日 2024/08/10 09:43

<香港ショウ>dCS、“5筐体式”旗艦DAコンバーター「Varese」世界初披露。左右独立DA部を搭載

Ring DACをさらに進化
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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イギリスのdCSは、“5筐体式”のDAコンバーター「Varèse」を香港オーディオショウにて世界初お披露目した。dCSのマネージング・ディレクターであるデヴィッド・スティーヴン氏による特別プレゼンテーションが実施されたので、Varèseの内実についてレポートしよう。なお、今回はサイレント展示のみとなっており、再生のデモンストレーションはなされなかった。

dCSのフラグシップDAコンバーター「Varèse」が初披露

「Varèse」(ヴァーレーズ)の名は、過去のdCSのモデル同様に著名なフランスの作曲家、エドガー・ヴァレーズから取られている。“5筐体式”のDAコンバーターとなるが、それぞれの役割は、一番上のディスプレイ部分が「User Interface」、上から2番目が「Master Clock」、その下に「MONO DAC」が2筐体あり、一番下のすこし背の高いものが「Core」となる。

デヴィッド・スティーヴン氏が本機のプレゼンテーションを実施

デヴィッド・スティーヴン氏の説明によると、「Varèse」の開発には5年前から着手していたという。「dCSのDAコンバーターの主要技術として、これまでもアップサンプリングやRing DAC、マスタークロックなどを進化させてきましたが、今回のVarèseでそれらをすべてアップデートすることに成功しました」と語る。ハードウェアとしてもソフトウェアとしてもインターフェースも一新し、「音楽の真髄に簡単にアクセスできる新しい体験をもたらしたい」とアピールする。

香港のdCS代理店Richcom Audio Groupの部屋にてデモを実施。他にもコンステレーションオーディオなども取り扱っている

特に重要な基幹技術が2筐体に分かれた「MONO DAC」となる。いわば左右チャンネルそれぞれでDA変換を行うディファレンシャルDACとなるが、そのためには「クロックの正確性」がこれまで以上に大切になったという。左右それぞれに正確なクロックを供給し正確な同期をとるための技術には特許を取得しているという。その結果S/Nやミュージカリティをさらに進化させることができたとし、「測定上も見たことがないレベルであり、聴感上も素晴らしい結果を得ることができました」と語る。

「Varèse」のメイン基板

またCoreの部分はシステムのハブとなる部分で、オーバーサンプリングやフィルタリングなどのdCSのデジタル処理部を担うという。さらに、「モジュール式」となっており、今後展開される各種モジュールを3基組み込むことができるドックを搭載している。モジュールには今後「CDトランスポート」や「ネットワークモジュール」「ストレージ」などが計画されているという。

Coreは「モジュール式」となっており、最大3つまでの「モジュール」を装着することができる

一番右にモジュールを装着したイメージ。端子形状的にHDMIも計画されているのか?

Coreとその他のデバイスについては、新たに開発された「ACTUS」(Audio Control&Timing Unified)と呼ばれる専用ケーブルで接続されるという。

Coreとその他のデバイスは専用ケーブルACTUSで接続される

「Varèse」は2024年内に出荷開始を予定しているとのことで、日本の輸入代理店である太陽インターナショナルも1台すでに発注済みとのこと。日本国内でも試聴できる機会が追って誕生する見込みだ。

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