• ブランド
    特設サイト
公開日 2022/02/14 06:45

パナソニック「DMR-ZR1」開発者インタビュー後編。22.2ch→アトモス変換はこうして生まれた

“パワーポイント70枚以上”の仕様原案をほぼ実現
秋山 真
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
パナソニックから発売された“究極の4Kレコーダー”「DMR-ZR1」。本機の開発12名の方へのインタビュー後編をお届けしよう。前編ではハードウェア部分でのこだわりをたっぷりと語っていただいたが、今回はソフトウェア部分を深掘りしていきたい。

「DMR-ZR1」¥OPEN(実売予想価格:税込36万円前後)

“パワーポイント70枚以上”の仕様原案をほとんど実現

秋山:ここからはソフトウェア部分について詳しく伺っていきたいと思います。

甲野:信号処理系で何か新しいことをやろうと思うと、ソフトウェア開発チームの出番になるわけですが、実は私が書いたZR1の仕様原案は、画質、音質、機能、ユーザーインターフェースを合わせるとパワーポイント70枚以上という大ボリュームになっていました(苦笑)。

長いことDIGAの開発に携わっていますが、過去最多ですね。それを全て尾崎の方へ投げたわけですが、無茶振りな内容が多かったにも関わらず、そのほとんどを実現してくれました。本当に感謝しています。

尾崎:甲野から分厚いパワーポイントを受け取った時は本当にビックリしましたが(笑)、ハードウェア開発チームが日々一生懸命やっていたのは傍から見ていましたし、ソシオネクスト製チップの奥深くまでソフトウェア制御できるというのが我々DIGAチームの強みなので、何としても実現したいと思いましたね。

甲野:映像信号処理は主に則竹が担当しています。主な項目としては、後ほど詳しくご説明しますが、放送の24p or 30p変換出力や、焼き付け字幕の輝度調整、放送とVODの画質チューニングの変更などが挙げられます。あとは、地デジを4Kにアップコンバートにする際の特性も見直しています。

独自方式の「4Kダイレクトクロマアップコンバートplus」を搭載する

4Kアップコンバートに関しては、今回改めて最新の4Kディスプレイを使って検証してみました。その結果、市販BDや一部BS放送の水平解像度が1,920のコンテンツはUB9000と同じ設定で問題なかったのですが、地デジを中心とした1,440のコンテンツについてはどうしても甘さが気になりました。そこで、従来よりわずかながら解像感を高めるチューニングに変更しています。

則竹:それに付随してノイズリダクションのかけ方も変更し、全体のバランスを取っています。

甲野:逆に4K放送や4KのVODでは、元ソースを活かす方向でノイズリダクションを従来よりも弱めに設定しています。

秋山:それらのチューニングは、画質調整メニューから「解像感調整」と「ノイズ低減」をゼロにするとキャンセルになって、いわゆるストレートデコードの状態になるのでしょうか?

甲野:4K放送についてはそうなります。

秋山:その状態ならばパッケージソフト再生時と同じように、信号処理上はUB9000と同一条件での比較が可能なわけですね。

甲野:はい。ZR1の素の実力がおわかりいただけると思います。

秋山:放送の24p or 30p変換や、焼き付け字幕の輝度調整については録画したコンテンツのみに有効ということでしたよね?

甲野:そうです。技術的にはオンエアでも対応可能ですが、動作仕様的な観点で、録画番組の再生時にのみ対応するようにしています。特に焼き付け字幕の輝度調整について、厳密な話をすると、こうした機能はいくら精度を上げていっても映像への影響がゼロにはなりません。

私が危惧したのは、この機能をオンにしたまま、そのことを忘れて使い続けてしまうお客様がいらっしゃるのではないかということです。それを防ぐために1つのコンテンツが終わったら必ずオフに戻るという仕様にしたかった。それが録画番組のみの対応にした理由です。デフォルトがオフになっているのも同じ理由です。

メニュー画面からフレーム数を選択・変換できる

24p or 30p変換については、まず私の方で4K放送の映画・ドラマのコマ数を徹底的に調査してみました。すると、ほとんどの映画は通常の3:2プルダウンで24pから60pに変換されていましたが、なかには4:2:2:2という特殊なパターンが使われている場合もありました。ZR1では、この2つのパターンを自動検出し、逆3:2プルダウン、もしくは逆4:2:2:2プルダウンでオリジナルの24コマに戻してから出力しています。

また、ドラマは圧倒的に30コマでの撮影が多いことがわかりましたので、60pから30pに変換して出力する機能にも対応しました。これら24p変換や30p変換の機能は、4K放送だけでなく地デジやBS 2Kの60i放送でも有効ですが、逆4:2:2:2プルダウン処理については4K放送のみの対応になります。

秋山:なるほど。この機能によって、オリジナルのコマ数での再生が可能になるだけでなく、DIGA自慢のクロマアップサンプリング性能をフルに活かしたYCbCr 4:4:4の出力が可能になるわけですね(筆者注:伝送速度が18GbpsのHDMI 2.0では4K/60pは4:2:2までしか出力できない)。

甲野:はい。色再現が濃密になるだけでなく、ディスプレイやプロジェクターによってはフレームレートが下がることで階調性が向上する可能性もあります。

秋山:じつにマニアックですが、最高画質を目指したZR1ならではの新機能だと思います。

パナソニック(株) エンターテインメント&コミュニケーション事業部 ビジュアル・サウンドBU 技術センター ソフト設計部 ソフト設計四課 一係 係長 尾崎 一義氏

同事業部 技術センター プラットフォーム開発部 プラットフォーム開発一課 三係 則竹 俊哉氏

次ページ「焼き付け字幕輝度調整機能」「1.3倍モード」など、痒いところに手が届く機能を搭載

1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 女子プロゴルフ「パナソニックオープンレディースゴルフトーナメント」、4/26からの放送・配信予定
2 売価アップも品薄も問題にしないアキュフェーズの強さに感服 <販売店の声・売れ筋ランキング3月>
3 ソナスの新製品スピーカー「Lumina II Amator」が鋭い立ち上がり <ハイファイオーディオ売れ筋ランキング3月>
4 Prime Video、『ゴジラ-1.0』ほかゴジラ邦画実写全30作品や、Prime独占EP配信の『岸辺露伴は動かない』第4期など5月配信
5 ゲオ、43V型で4万円を切る狭額縁デザインの4K液晶テレビ
6 Anker、最大半額セールを楽天で実施中。完全ワイヤレスイヤホンは割引でさらにポイントアップも
7 『鬼滅テレビ -柱稽古編放送直前SP-』5/4 13時25分から無料配信。公開生放送の観覧受付開始
8 KEF、「LS60 Wireless」など一部スピーカー製品を値下げ。4月25日より
9 スカパー!、スティック型ストリーミング端末「スカパー!+(プラス)ネットスティック」を新開発
10 Netflixで「ご利用世帯の登録」画面が表示された場合の対処法は?
4/26 10:36 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX