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“パワーポイント70枚以上”の仕様原案をほぼ実現

パナソニック「DMR-ZR1」開発者インタビュー後編。22.2ch→アトモス変換はこうして生まれた

公開日 2022/02/14 06:45 秋山 真
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DMR-ZR1の「プレーヤー版」発売の予定は?

秋山:次が最後の質問になります。実は今日の取材の前、TwitterでZR1開発者への質問を受け付けていました。そのなかで一番多かったのが、「ZR1のプレーヤー版は出ますか?」というものでした。

村上:(苦笑)

甲野:あ〜、やっぱり多いですか……。

村上:まずはZR1の反響を見ながら、次なる展開を考えていきたいと思っていますが、やるからには“Wow”をお届けしたいのです。それが単純にハードディスクとチューナーを取り外して廉価化した製品で達成できるのかというと、そんなに単純な話ではないかなと思います。

秋山:DIGAにはインテリジェントローノイズシステムがあるので、そのあたりの対策は万全ですからね。

宮本:じつは実験ベースではハードディスクとチューナーを取り外すとどうなるのか、試したことがあるんですよ。でも、案の定そんなに変わらなかったです。むしろ停止しているハードディスクが重しになって音質に有効だったりもします。

秋山:個人的にはお値段据え置きか、何ならアップでも構わないので、さらに宮本さんが暴走した(笑)、超弩級プレーヤーの開発に期待したいと思います。

一同:(笑)

秋山:さて、長時間に渡って様々な質問に答えていただき、ありがとうございました。最後に読者の皆様に一言お願いできますでしょうか。

村上:ここはやはり、70枚のパワーポイントを書いた甲野さんで(笑)。

甲野:はい(笑)。UB9000を世に出したときは、本当にやり切った感があって、3年後にこうした製品を作ることなど想像もしていませんでした。

前半でもお話ししましたが、これまではレコーダーというとプレーヤーに対してクオリティ面でネガティブなイメージがあったと思います。しかし、私のなかでZR1はレコーダー機能を有した4Kデジタルトランスポーターなのです。レコーダーだからと色眼鏡はかけずに、UB9000を超える画質・音質で充実した4Kライフを送っていただければ幸いです。



前後編にわたって3時間にも及ぶロングインタビューだったが、いかがだっただろうか。長引くコロナ禍で世の中は様変わりしてしまった。リモート取材などはその典型だと思うが、開発チームの情熱が3年前と全く変わっていなかったことが何よりも嬉しかった。パナソニックという大企業の技術者たちが、1年半に渡って、電源、振動、クロック、ノイズ対策に愚直なまでに取り組み、010101…の羅列であるはずのデジタル出力でUB9000超えを果たしたことに、私は惜しみない拍手を送りたい。

ZR1のプレーヤー版や8K対応版が出るのかはわからないが、同じ顔の機器がラックに3台4台並んだ姿もさぞ“Wow”だろうなぁと、本稿を書きながら妄想が止まらない年末年始であった。

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