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【連載】ガジェットTIPS

パワー半導体、「シリコンの次」に来る材料は?

2020/09/29 海上忍
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半導体といえばシリコン、というほどシリコン(Si)は半導体材料として採用されています。そのためか、シリコンを社名に掲げるエレクトロニクス企業は少なくありません。しかし、シリコンを材料としたパワーデバイスは性能の限界値に近いとされ、今後の大幅な性能向上は望み薄です。

現在主流のシリコンやヒ化ガリウムより電気特性に優れる半導体材料が、実用化段階を迎えています

そのような状況下研究が進められてきたのが、「ワイドギャップ(広バンドギャップ)半導体」。現在主流のシリコンやヒ化ガリウムより電気特性に優れ、格段に高い電圧や周波数で動作する半導体材料のことで、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)が実用化段階を迎えています。

我々デジタルガジェットファンに縁深いのは窒化ガリウム(GaN)で、すでにGaN採用をうたう充電器が複数発売されています。その理由は、GaNが持つ高速スイッチング性を生かしたデバイスの小型軽量化、高効率化にあります。

GaN採用USB充電器の一例、RAVPower「RP-PC112」

小型ACアダプタやUSB充電器に搭載されているスイッチング電源は、これまでパワー半導体として主にシリコンを採用してきました。パワー半導体はスイッチング(ON/OFFの切り替え)を高速に行うことで、バッテリーを充電したりモーターを駆動したりといった電力の制御・供給に関する処理を行うため、スイッチングにかかる時間をいかに短くするかが重要な課題となります。窒化ガリウムはそこにピタリ当てはまるというわけです。

これまで充電器に使われてきたトランジスタなどの部品を窒化ガリウムに置き換えると、電力損失が抑えられ、結果として発熱量が減ります。今後急速な拡大が見込まれる5G基地局の電源など、小型化要求が強い分野で採用が進むことでしょう。

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