HOME > レビュー > 困ったときの「接点復活剤」、むやみに使うと危ないかも?

【連載】ガジェットTIPS

困ったときの「接点復活剤」、むやみに使うと危ないかも?

2020/09/23 海上忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
押入れの奥にしまい込んでいた電化製品を取り出し久々に電源オン、しかし動作せず。何が原因なのか細かいことは知らないけれど、基板や端子に接点復活剤を一吹き、二吹きすれば文字どおり復活するのでは...いえいえ、安易な利用は止めておいたほうが賢明です。

接点復活剤は便利だけど、どこにでも使えない?

接点復活剤は、電気接点の汚れを取り除き、電気の流れを回復させる働きを持ちます。スイッチやリレー部、プリント基板などの接触不良とおぼしき箇所に吹き付ければ、金属表面の微細な凹部にナノメートル以下の薄さの油膜が形成され、接点が接触するとき電気信号はそこを通して流れるようになります(トンネル効果)。通電面積が拡がり電気の流れが安定すれば、結果として “直った” ように映るというわけです。

しかし、プリント基板のようにさまざまな部品が取り付けられたところへ接点復活剤を吹き付けると、電気的に絶縁されているべき箇所まで油膜でつながってしまい、正常に動作しなくなります。油膜はナノレベルの薄さですから、表面を拭いたところで回復できない可能性大です。

しばらく放置したら乾いて直るかも、と期待してはいけません。多くの接点復活剤で主成分として使われている特殊合成オリゴマーは化学合成油の一種で、水のようには蒸発しないため、吹き付けた箇所にいつまでも残ります。基板を交換しないかぎり修理できなくなることもあるため、思いつきで吹き付けるのは避けるべきでしょう。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE