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IFAのオーディオ展示の特徴を具体的にチェック

<IFA>山之内正が見たオーディオ最新トレンド − 日本メーカーの健闘とネットワーク再生の潮流拡大

公開日 2015/09/10 15:21 山之内 正
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テクニクスが昨年導入した2系統のシステムは、ネットワーク再生に重点を置くことで、欧州の音楽ファンの期待に応える内容に仕上がっていた。インタビュー記事でも紹介したように、ドイツを中心に好評なレビューを得ているのもうなずける。

そして、ブランド復活から2年めを迎えた同社は、ハイエンドの入口に相当する「Grandシリーズ」と、ライフスタイル重視の「SC-C500」を新たに投入し、需要の拡大を狙う方向にステップを進めた。

Grandシリーズのアンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」

Grandシリーズは高級オーディオの中核をなす価格帯に初めて展開する注目すべき存在で、上品な外見に似合わず、そのコンセプトは最先端を行く。

特に、リッピングサーバー「ST-G30」はDLNAよりもUSB伝送に重点を置き、単独で再生機能を獲得していることが新しい。ネットワークオーディオとしては異色の形態だが、音質上のメリットが期待できることはたしかで、組み合わせの選択肢も広がる。「SU-G30」と組み合わせたときの音質については、レビュー記事で紹介した通り、純度の高さとS/Nの良さにアドバンテージがある。

リッピングサーバー「ST-G30」

一方の「SC-C500」のコンセプトはかなりわかりやすい。一見するとCDコンポに見えるシンプルな外見ながら、実はネットワーク、USB、ワイヤレスのすべてに対応した最先端のオールインワン仕様である。

SC-C500

このスタイルのシステムは特に欧州で人気を呼ぶ可能性が高く、日本向けには発売されないバリエーションモデルも含めて、おそらく新生テクニクス製品のなかでは最大の販売成果を上げるはずだ。欧州もCD離れが急速に進んでいるが、特にドイツでは意外にも手持ちのCDを手軽に再生できるシステムの需要は大きいという。ほぼ同じ状況の日本市場でもSC-C500は幅広い支持を集めるのではないだろうか。広いサービスエリアを確保したスピーカーが再生音を特徴付けていて、そこにもコンセプトの新しさが感じられる。

ティアックが展示した「NT-503」は、500シリーズに加わるネットワークプレーヤーの新製品だ。「UD-503」のヘッドホン出力アンプを簡略化することでスペースを確保し、そこにネットワークオーディオ機能を搭載。それ以外はUD-503とほぼ共通する仕様で、モノブロック構成も受け継いでいるという。500シリーズにネットワークプレーヤーを望む声は多数寄せられ、本機はその期待に応えて開発が進められたとのことで、DLNA再生の需要の高まりを物語るエピソードとして興味深い。

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