いま薄型テレビを選ぶにあたって、もっとも重要な要素がある。画質だろうか、それともサイズだろうか。確かにそれらも大切だが、テレビ視聴方法をガラリと変えるなら「録画機能」に注目すべきだ。「テレビで録画?」と首をかしげる方も多いだろう。録画機能付きテレビは、ハードディスクを使い、デジタルレコーダーとして利用できるタイプの製品だ。

日立製作所はこの録画機能付きテレビの先駆者だ。2003年には、早くもAVCステーション部にHDDレコーダーを搭載したモデルを発売。そして今回、2008年夏モデルでは、ついに全機種が録画機能に対応した。

2008年夏モデルの「UT770」。厚さ3.5cmの超薄型パネルのモニター部と、チューナーを搭載する「Woooステーション」から構成される

「UT42-XP770」とフロアスタンド「TB-LSZ4281」との組合せ例

「レコーダーを持っているからテレビに録画機能はいらない」という声が聞こえてきそうだ。確かに一理あるが、実際に使ってみると「テレビ+レコーダー」よりも「録画機能付きテレビ」の方が、断然使い勝手が良い。

例えば番組予約をする際、「テレビ+レコーダー」だと、入力切替え操作を行い、レコーダーの番組表を表示して予約を行う。

録画機能付きテレビなら、テレビの番組表だけで予約が完了する。使い慣れている人にとって、入力切替えは当たり前の操作だが、AV機器の操作が苦手な人にとっては敷居が高く、操作上での“バリア”になっている。家族で録画機能を使うなら、バリアフリーの録画機能付きテレビを選ぶべきだと筆者は考える。

最近ではテレビと対応したレコーダーを接続する「リンク機能」も存在する。リンク機能を使えば、録画機能付テレビのように、テレビのリモコン操作だけでレコーダーを操作して、録画や再生ができる機種もある。しかし、テレビと接続するレコーダーが基本的には同一メーカーに限られる、対応機種も限定されるなどの問題がある。手持ちのレコーダーがリンク機能に対応していないというケースも多いだろう。

録画機能付きテレビなら、カジュアルな録画はテレビにまかせて、手持ちのレコーダーや好みの機器を活用したい場合は、別途接続するという使い方が可能になる。

2008年夏モデルのWoooは、すべての機種で録画機能を利用できる。ただし、ラインアップごとに録画機能に違いがあるので整理してみよう。

録画機能に優れるのがUTのXP770/WP770シリーズ、プラズマXR02/HR02シリーズだ。これらはダブルデジタルチューナーを搭載するので裏番組録画も可能。本体内に250GBのHDDを搭載し、さらに着脱可能なカセットHDD「iVDR-S」用のiVポケットを搭載している。ほかに、UTのXV/HV700シリーズ、また液晶テレビのXV/HV02シリーズはHDDを内蔵せず、別途「iVDR-S」を挿入することで録画機能が利用できる。

「iVポケット」とは、着脱式HDDの「iVDR-S」をセットするスロットだ。「iVDR-S」とは、カートリッジ型のHDDで、本体に着脱して利用できる。著作権保護技術「SAFIA」(Security Architecture For Intelligent Attachment device)に対応しており、デジタル放送の録画・保存が可能だ。

iVDR-S(写真は250GBモデル) Woooステーションに備えられたiVポケットに、汎用性の高いiVDR-Sを挿入し、番組を録画することができる

実は録画機能付テレビには2種類ある。本体内と外付けHDDに録画番組を保存するタイプと、Woooシリーズのように、内蔵HDDとiVDR-Sに録画する製品だ。

前者の場合、著作権保護がテレビ1台1台に紐づけられているため、本体内蔵HDDや外付けHDDに保存した動画は、テレビ本体を買い替えると視聴できなくなってしまう。

しかし、Woooシリーズが採用する「iVDR-S」に録画した番組は、DVDなどのように、他の対応する機器に接続しても再生できる。いわばDVDやBDのような汎用性のあるメディアなのだ。しかも、ハイビジョン放送をそのままの画質で保存できるので、一度しか放送されない貴重なライブ番組などを保存できる。テレビを買い換える際も、iVポケット搭載テレビを選べば、録り貯めたコレクションも無駄にならない。Woooシリーズは現在のところ“本体を買い替えても録画番組が無駄にならない、唯一の録画機能搭載テレビ”と覚えておけば間違いない。

ちなみに、「iVDR-S」のラインナップはこれまで80GB/160GBの2種類だったが、これが今後120GB/250GBに切り替わる。より大容量化したことで、長時間録画が可能になった。

録画機能付きテレビは録画が簡単なので、ついつい多くの番組を録画してしまい、HDDがすぐに一杯になってしまいそうだ。しかしWoooシリーズなら、そんな心配はいらない。ハイビジョンの解像度を維持したまま、約2倍の時間録画できる「XCodeHD」が搭載されているからだ。ニュースや情報番組など、画質よりも内容を優先する番組をこの機能で録画すれば、限られたHDDの容量を有効に活用できる。

録画番組が増えると見たい番組を探すのが面倒になる。とくに家族で共用すると、誰がどの番組を録画したのか、消してもいいのか、悪いのか? そんなことで悩むことになる。しかしWoooシリーズなら再生する際も快適だ。録画予約時に録画先のフォルダーを指定できるので、「パパ用フォルダー」「ママ用フォルダー」など、家族専用のフォルダーを作って保存したり、番組名ごとに録画番組を振り分けて保存できる。家族で共有することが多いテレビだけに、便利な機能と言えるだろう。この機能は「iVDR-S」に録画した番組でも利用できる。

WoooならテレビのEPGから簡単に録画予約を行うことができる 録画は内蔵HDDとiVDR-Sに行うことが可能。フォルダ整理もできるので便利だ

自分の名前のついたフォルダーを用意して、録画した番組を整理することができる。「パパ」「ママ」などの定型文が用意されているほか、リモコンを使って好きな名前をつけることも可能だ 録画した番組を削除できないようロックをかける機能もあるので、家族で共用していても、録った番組を他の人がうっかり消してしまう…という心配もなくなる

内蔵HDDからiVDR-Sへのダビング/ムーブも、リモコンでダビング/ムーブしたい番組を選び、ダビング先やモードなどを選択するだけと簡単だ 複数番組のダビングも同時に行える。その際ダビング先の記録可能データ残量なども表示される

テレビ視聴をしながら録画番組の確認ができるのが「裏番組チェック」機能だ。これを使えば、放送中の番組を見ながら、裏番組や、内蔵HDDや「iVDR-S」に録画した内容をチェックできる。表示中の番組と裏番組の切り替えはボタン一つで操作が可能。常に裏番組が気になり、リモコンから手が離せないタイプの人には、ぜひ使っていただきたい機能だ。

視聴中の番組とは別チャンネルで放映中の番組を、画面右下部の小窓でチェックすることができる「裏番組チェック」を備える 番組視聴中に、iVDR-Sに録画した内容を確認することも可能だ

録画機能付きテレビはだれでもカンタンに録画ができ、再生も快適だ。地上アナログ、地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタルと、山ほどの放送波を受信できる現在、テレビを少しでも楽しみたいなら、録画機能付きテレビを選ぶべきだろう。そして、テレビ買い換えの際も録画番組が無駄にならないWoooシリーズは、その中でも真っ先にチェックしたい製品だと言える。