10年前、三管式プロジェクターの視聴会にて目の当たりにした『恋に落ちたシェイクスピア』の映像。夜会に現れたエリザベス女王の衣装の、凄まじいばかりの色艶や立体感、黒の階調、色幅のある画を目の当たりにして受けた衝撃は、以降、ささきさんにとって映像調整の目安になったという。このほど、ささきさんは長くホームシアターのメインとして愛用してきた三管式プロジェクターを下ろして、ビクターD-ILAプロジェクターの最新フラグシップ「DLA-HD750」を導入することを決めたという。今回は「ホームシアターファイル Vol.52」掲載の連載「ささきいさおの素敵な映画館ごっこ」から、ささきさんのHD750導入記をご紹介しよう!
 

清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入した三管式プロジェクター、ソニーの「VPH-G70QJ」と、ついにお別れすることになった。あの長岡鉄男氏も愛用した8インチ管は、当時は家庭用としては最高クラスと言われた。機材が温まり画が落ち着くまでの時間や調整など、多少の使いにくさはあっても、画質においては他の追随を許さないと思ってきた。

以前ホームシアターショップのアバックに遊びに行った時、たまたま視聴室にインストーラーの諏訪勇治氏がいた。ビクターの「DLA-HD100」でデモシーンを見ながら色々話をしたが、最近は三管式を下ろす方が多くなったという話題になった。有名な漫画家のM氏のことは聞いていたが、大の映画好きである小堺一機さんもその一人らしい。三管式の画の暗部の階調がいくらきれいだとはいっても、総合的な画質や使い勝手のよさで、さすがに時代遅れになりつつあるのは事実だと思う。

DLA-HD750 製品写真
ささきいさおさんが構えるシアタールームのメインプロジェクターとして、このほど新たに導入されたビクターのD-ILAプロジェクター「DLA-HD750」

我がシアターの三管式を下ろす決め手は、ブルーレイ「小沢征爾+ベルリン・フィル」である。接近した画像では気にならないが、オーケストラのフルショットになると、解像度の低さが音質のよさについていけない。演奏の始まりから風切り音が耳に付く。

メインとなる後継機は迷わずビクターの「DLA-HD750」に決めた。粒子の細かさや画面の立体感は三管式をはるかに上回っている。それに暗部の階調のよさが魅力的なのだ。同じように黒を沈めることを意図したプロジェクターでも、暗くて激しい動きがあるシーンを上映すると、なんとなくギクシャクした感じがする。私の視聴位置はかなり画面に近いので、字幕を読む際の目の動きが大きくなる。HD750はアイリスが一定しているためか、字幕の明るさが安定していて読みやすい。わずかな差なのだが、映画を見終わった時の目の疲れかたが違うのだ。

私は十年近く三管式を見てきたので、一般的に強調された色調はあまり好きになれないのだが、HD750は前作で感じた黒の沈みすぎや赤の濃度が改良されているのがわかった。AVレビュー誌で評論家の方たちが絶賛しているのもよくわかる。

三管を下ろす作業は自分ではできないから、HD750の天吊り工事も含めてアバックにお願いした。さすがは専門家だ。初めから天吊り仕様で設計した部屋というくらい、きれいに仕上げてくれた。

15mのHDMIケーブルとコンポーネントケーブルを天井裏に通し、ACコンセントを上部に取り付けた。リモコンでササッと画を調整して終了である。

さあ、これで、大地震の際の三管式プロジェクター落下の恐怖からも解放された。存分に高画質が楽しめるぞ!

STEWART HD130
シアタールームにずらりと並ぶ、ささきさん自慢のオーディオ・ビジュアルコンポーネントの数々。スクリーンはSTEWARTの「HD130」(110インチ・ワイド)を愛用されている


そのほかにも、いろいろとシアターの改造を行った。20年近く使用してきたエアコンがそろそろ限界なので取り換えた。また、視聴時には台によじ上って開け閉めしていたシャッターを、老後に備えて三和の電動式に換えて。スイッチひとつで開閉できるのは非常に便利だ。遮光カーテンを外したので、そのレールを切断してスクリーン横の壁に取り付けた。2×1mの黒のカーテンを買ってきて吊り下げ、映り込みの防止と反射音の調節を兼ねて、音楽や映画の内容によって開け閉めしている。

画も音も設備も改造を終え、我がシアターは新しい門出を迎えた。

遮光カーテンに替わり、電動シャッターを採用。ワンタッチの開閉で視聴時の手間もグンと楽になった

凄味のある映像を手に入れたら、「これまで気にならなかった壁の反射光が気になって」というささきさん。さっそく暗幕と不要になったカーテンレールで迷光対策を施した


執筆者プロフィール
ささき いさお(Isao Sasaki)


1942年生まれ。60年、「和製プレスリー」のキャッチフレーズでロック歌手としてデビュー。俳優として『太陽の墓場』(監督 大島渚)などに出演。『宇宙戦艦ヤマト』主題歌大ヒットにより脚光を浴び、現在、歌手・役者・声優・パーソナリティとして活躍中。吉田正トリビュート・アルバム『15の宝石』は大好評発売中。最新情報はささきさんのオフィシャルWebサイト(http://www5c.biglobe.ne.jp/~isao/)でご確認下さい。


DLA-HD750

D-ILAプロジェクター
DLA-HD750
¥735,000(税込)

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【SPEC】●表示デバイス:フルハイビジョン対応D-ILA デバイス ●パネルサイズ:0.7インチ×3(16:9) ●解像度:1920×1080 ●レンズ:2倍電動ズーム・フォーカスレンズ f=21.4〜42.8mm  F=3.2〜4 ●レンズシフト:上下80 %、左右34 % ●投影サイズ:60インチ〜200インチ ●光源ランプ:200W超高圧水銀ランプ ●輝度:900lm ●コントラスト:50000対1 ●ビデオ入力端子:HDMI2、コンポーネント1、S映像1、コンポジット1、PC入力1、トリガー端子、RS-232C ●騒音レベル:19dB(ランプ標準モード時) ●消費電力:270W(スタンバイ時1W) ●外形寸法:365W×167H×478Dmm ●質量:11kg