レグザが到達した高画質の頂点
インタビュー風景
最新のREGZA<レグザ>が実現した「次世代へのステップアップ」はその画質だけではない。高次元のサウンド再生、テレビを軸にした手軽な録画機能、そして充実したネットワーク機能など、その進化はこれまでのテレビにとって未踏の次元に到達しようとしている。




−−新しいREGZA<レグザ>は、さらに一段上のステップに突入したことが理解出来 ました。さて、「おまかせドンピシャ高画質」機能の他にも、注目すべき機能がいく つかあります。それらについて感想をうかがうとともに、今後REGZA<レグザ>の進 むべき方向性も示唆していただくことにしましょう。

山之内 今回の製品の新機能のうち、特に「ドルビーボリューム」が気に入っています。テレビを観ていて、CMになった瞬間に突然音声レベルが上がって驚かされるという経験は誰もがお持ちだと思います。そういう時にテレビ側でボリュームを自動的に下げてくれるのが、「ドルビーボリューム」のメリットです。最適な音量をコントロールするというこの機能には、「おまかせドンピシャ」のような映像自動調整機能と同じ思想が根底にあると感じました。

松山 東芝技術陣が長年取り組んできた、映像回路「パワー・メタブレイン」の進化に改めて私は注目したいですね。「シャープネス・オプティマイザー」を新たに加えたことで、今まで以上に非常に落ち着いた画を出せるようになりました。本来あるべき画質を設計者が熱心に考えて微調整を慎重に行っていることが良く分かります。誰にでも分かるギミックな訴求効果を追い求めるのではなく、極めて真摯な姿勢で画質向上を図っているということだと思います。逆にそれが本機の映像価値を高めていると感じています。

山之内 パネルに依拠しない独自の高画質を、今回の製品でいよいよ東芝が獲得したと松山さんはお考えですか?

松山 大きな変化があったのは昨年の秋モデル「Z3500」からでしょうね。「メタブレイン」あるいは「メタブレイン・プロ」で取り組んできたことが実を結んだのが前モデルだったと思います。それをさらに進化・深化させたのが今回のシリーズだと言えるでしょう。

山之内 私はさらにその前の「Z2000」あたりがブレイクスルーの時期だったと考えます。

松山 いずれにせよ、この回路とREGZA<レグザ>は切っても切れない間柄なのです。現在の東芝液晶テレビは、ブラウン管時代の高評価を改めて獲得したと考えています。

山之内
 「東芝の復活」と言っても良いぐらいの…。

松山 それどころか、ブラウン管の時以上の評価を与えても良いかもしれない。もちろんその背景には、東芝に供給されるパネルの質が向上していることも見逃せません。IPSであれVAであれ、最近のパネルの質は大きく向上しています。それを活かしきる技術力と商品力を東芝が獲得したと考えても良いでしょう。

山之内 考えてみれば、東芝のブラウン管は私も非常に好印象でした。東芝の画作りの思想にも共鳴していました。映像のインパクトに頼ることがなく、控えめで自然な画を当時から実現していましたからね。今回ももっと派手で訴求しやすい画を提示するやり方もあったのかもしれない。ですがあえてそれをせずに、鑑賞者の視点に立った、観ていて疲れない気持ち良い映像を提供したい、という思いを実際の製品に込めているように感じました。フレーム補間技術にも安易に飛びつかないことも、東芝の一つの見識と言えるかもしれません。

松山 そうですね。

山之内 その他にも、東芝が特に強力に推し進めてきた録画機能、ネットワーク機能の強化にも注目したいですね。現在のようにハードディスクが極めて一般的なものになってくると、今後の大きな可能性と発展性が見込めます。

松山 はい。

山之内 個人的には、膨大な量の光ディスクメディアを整理して簡潔に検索出来るような仕組みがいずれ出来てくれると有り難いですし、大容量ハードディスクとネットワーク機能を積んだテレビが、クライアントサーバー的な役割を果たす可能性にも期待したいですね。

松山 なるほど。

山之内 コンテンツの所有欲を満たすという光ディスクの良さはこれからも存在し続けるでしょうが、ブロードバンドのコンテンツサービスは、整理の手間を省くことが出来ますし、検索システムが上手く構築できれば、物的なストレスをかなり軽減してくれる可能性があるはずです。ただ、現状としては供給コンテンツの質量が圧倒的に不足しています。映像分野に関しては特にその傾向があります。音楽の世界はインフラ整備がかなり進んできましたので、理想の環境がまもなく実現出来ることになる可能性が高い。映像もいずれはそうなって欲しいと思います。

▲ZH500シリーズは「6スピーカー・3ボックスシステム」で構成された新開発のスピーカーシステムや、イコライザー機能のDSP、クラスDデジタルパワーアンプの組み合わせによる“パワー・レグザオーディオ”を採用する(各写真はクリックで拡大します)

▲ZH500/RH500シリーズは本体側面にハードディスクを内蔵。またZH500/ZV500ともにUSBハードディスクやLANハードディスクを接続し、テレビ番組の録画が楽しめる

▲ZH500/ZV500シリーズは、ブロードバンド機能も充実。H.264デコーダーを内蔵し「アクトビラ ビデオ・フル」や「ひかりTV」のハイビジョンVODサービスにも対応する


山之内 今回、REGZA<レグザ>は画質向上のための新たな機能を盛り込んだことで、改めて次のステップに進むための立ち位置を獲得したと思います。視聴環境に柔軟に対応するテレビを作り上げたということは、テレビを軸としたリビングのコーディネートが可能になると言う意味を含んでいます。一例を挙げれば、選択する照明の種類の幅が大きく広がるということなのです。今回の製品は、自分でじっくりとカスタマイズして追い込むのも良いと思いますが、まずは「おまかせ」モードを使ってみて、新REGZA<レグザ>が見せてくれる表現に付き合ってみるのが面白いでしょうね。

松山 私が考えるテレビの最終形とは、少し飛躍しすぎているかもしれませんが、どんな映像を再生しても、観る人の嗜好までをも踏まえて自動的に最適な画を表現出来るような「ロボット」に徹することだと思います。「おまかせドンピシャ高画質」がそのためのきっかけになるはずです。何も操作をしなくても、視聴者のクオリティに対するいかなる要求にほぼ的確に答えることが出来る、という理想に近づいて欲しいと思います。

山之内 いずれにしても、新REGZA<レグザ>はテレビの新しい姿を提示したモデルであると言って良いと思いますね。

松山 コンテンツ制作者の意図を正しく伝えるテレビの登場を私たちは望んできました。今回のシリーズはそれをほぼ忠実に再現してくれるモデルであると言っても良いかもしれません。マスターモニターとして使われるケースも増えてくる可能性がありますし、テレビ番組製作の現場の方々、ディレクター、プロデューサーやテクニカルエンジニアはぜひ「ZH」「ZV」を観るべきです。それだけの表現力がある液晶テレビだと私は考えます。