バージョン1.3a対応機器が登場し、HDMIの普及はこれから本番を迎える。ソース機器とディスプレイ間の接続から、BDプレーヤー/レコーダーとAVアンプ、さらにAVアンプとディスプレイ間の相互接続など、HDMIケーブルが活躍する場面は一気に増え、ケーブルの重要性は高まる一方だ。

高品質ケーブルの専門ブランドであるPureAVのHDMIケーブルは、取り扱いやすさと信頼性の高さを両立させた完成度の高い製品で、長さのバリエーションは長尺の15mを含む4種類を揃えている。筆者は自宅試聴室で2.4mタイプのほか、9.1mのケーブルをBD機器とプロジェクターの接続に使用しているが、画質と使い勝手の良さに大いに満足している。導体には銀メッキを施して伝送特性を改善、入念な5層シールド構造の導入によって外来ノイズを効果的に抑えている。ラバー仕上げのグリップ部は確実な装着を実現する優れたアイデアである。そうした総合的なバランスの良さがビジュアルグランプリ受賞を決定付けた。

今回レポートするHDMIケーブル
PureAV HDMIケーブル
PAV52300
「PAV52300-04」(1.2m) ¥12,600(税込)/「PAV52300-08」(2.4m) ¥15,750(税込)/「PAV52300b30」(9.1m) ¥31,500(税込)/「PAV52300b50」(15m) ¥52,500(税込)

【SPEC】
●導体:銀メッキ処理OFC(無酸素銅) ●絶縁体:高性能ポリエチレン ●シールド:5層シールド構造 ●プラグ部:24K金メッキコネクター、張力緩和機能プラグ、ノンスリップグリップ ●その他:耐摩耗フレキシブルPVCジャケット採用、フェライトコア×2

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HDMI接続のメリットはソース機器からディスプレイまでフルデジタルで映像信号を伝送できることにある。特に記録容量に余裕のあるBDには、まさにマスタークオリティと呼ぶにふさわしい映像が収録されており、それを劣化なくディスプレイに送り届けるにはHDMI接続以外の選択肢は考えられない。そのメリットを最大限に引き出すために、今回は自宅試聴室のリファレンスモニターであるパイオニアのプラズマディスプレイ「PDP-5000EX」に、同じくパイオニアのBDプレーヤー「BDP-LX70」を接続し、最新のBDタイトルを視聴した。この組み合わせではBD規格の注目すべき仕様である、1080/24p方式での伝送と表示が実現できることがポイントだ。

主な視聴タイトルとしては『パイレーツ・オブ・カリビアン〜デッドマンズ・チェスト』、『カジノ・ロワイヤル』、『フェイク』、『クローサー』、『エラゴン 遺志を継ぐ者』などを使用した。新作タイトルの緻密で純度の高い映像の質感、『フェイク』の隙のない人物描写の深みなど、いずれの作品とも見どころは豊富に揃っている。

コネクタ部に24K金メッキ、グリップ部にノンスリップ・ラバーをそれぞれ採用し接続時の安定感を高めた。ケーブル両端にフェライトコアを搭載し、ノイズ対策も徹底する。張力緩和機能により、ケーブル自体も柔らかなハンドリングが可能だ(画像は拡大します) 今回は山之内氏の自宅にて、PureAV HDMIケーブルの視聴を行った。ディスプレイには山之内氏が愛用するリファレンスの「PDP-5000EX」を用いた(画像は拡大します) 視聴するBDソフトも山之内氏が普段より愛用するリファレンスタイトルばかり。各作品のチェックポイントについては、PureAVによる再生画質とともに、このあと詳しくご紹介しよう(画像は拡大します)


■優れた明暗や色彩感の表現力〜『カジノ・ロワイヤル』

『カジノ・ロワイヤル』は屋外の強い光とカジノなど屋内シーンの豊富な暗部階調という、両極端の映像をどこまでリアルに見せるかがポイント。2.4mのショートケーブルでプレーヤーとディスプレイを接続し、1080/24pダイレクト出力で視聴する。

映画の質感をそのままに表現できる1080/24pダイレクト出力に対応する、パイオニアのBDプレーヤー「BDP-LX70」をリファレンスとして使用。PureAV HDMIケーブルによるBDソフトの再生画質をチェックした(画像は拡大します) ソースダイレクトモードを選んで1080/24pダイレクト出力の映像を出画。パイオニアの「BDP-LX70」とプラズマディスプレイ「PDP-5000EX」との組み合わせでは、1080/24pで出力した映像をテレビ側で1080/24p×3=72フレーム/秒に変換するため、高画質での表示が可能だ(画像は拡大します)


通常出力に比べると色のS/N感が目に見えて改善し、肌の立体感、背景や空の色の変化が非常になめらかだ。その画質の向上具合をはっきりと気付かせてくれるのは、外来ノイズに強いHDMIケーブルならではの実力といっていい。ボンド役ダニエル・クレイグのブルーの瞳の透明感も秀逸だ。9.1mのロングケーブルにつなぎ換えての視聴でも階調は豊かで、フィルムグレインは残しつつノイズはよく抑えている。

■VFXのリアリティが驚くほど高まる〜『パイレーツ・オブ・カリビアン』『エラゴン』

『パイレーツ・オブ・カリビアン〜デッドマンズ・チェスト』は、船上の激しい動きや波のランダムな挙動など難しいシーンが連続するが、「BDP-LX70」と「PDP-5000EX」をPureAVのHDMIでつないだ組み合わせで見ると圧縮ノイズなど細部の破綻が非常に少ないので、どのシーンにも説得力がある。エアチェックも水準が高かったが、BDで見るとクオリティの余裕が大きく、VFXの質感も驚くほど高い。

独自の5層シールド構造により、外来ノイズを極限までカット。高純度OFCに銀メッキ処理を施した導体、高性能ポリエチレン絶縁体の採用も安定した信号伝送につながっている(画像は拡大します)

VFXのリアリティの高さでは『エラゴン 遺志を継ぐ者』も際立った作品である。細部の質感とコントラストをしっかり引き出しているため、ドラゴンの表情の豊かさに不自然な印象を受けないし、遠景の描写もきめが細かい。

薄暗い森のシーンのノイズの少なさも1080/24pで見ると圧倒的に有利である。ダイレクト出力のメリットは、ノイズの影響などを排して作品本来の潜在能力をフルに引き出すことにあり、この作品でもそれは例外ではない。ロングタイプのケーブルでも情報量の豊かさを失わず、暗部の深みのある明暗表現をキープしていることも特筆すべきポイントだ。


■人物の肌色や高い密度のシーンも余裕を持って描写する〜『クローサー』『フェイク』

『クローサー』は柔らかい光線の描き方と自然な人物描写に感心させられた。自然光で撮影したシーンは鮮やかさを際立たせるわけではないが、自然な立体感と誇張のない色再現に好感を持った。ケーブルの違いは肌の透明感や立体感の表現に現われやすいので、違いを見きわめるにはそこに注目してチェックするとよい。PureAVのHDMIはどの長さの製品でも一貫してノイズが目立ちにくく、くすみや荒れのない肌の再現ができるケーブルである。

今回は9.1mのHDMIケーブルでも各作品の視聴を行った。ロングサイズのケーブルでも安定した信号伝送が実現されている。またショートサイズとロングサイズのケーブルで、それぞれに異なる味わいのある映像が楽しめる点も特筆される(画像は拡大します)

『フェイク』はBDで見ると、まるで最新作のような鮮度が高く抜けの良い映像を見せる。この作品のカメラはディテールやリアリティの追求に並々ならぬこだわりを感じさせるが、そのこだわりの強さどこまで伝わってくるか、再生装置の真価が問われるのである。

1080/24pの映像は目を見張るような質感の高さに満ちており、AVCフォーマットのポテンシャルの高さを実感させてくれた。「PDP-5000EX」で見るハイビジョン映像の水準の高さにはいつも驚かされるが、この作品はこれまで見たことのないような密度の高さとレンジの広さで見る者を圧倒する。HDMIケーブルを含め、再生システムのコンディションを最良の状態に追い込んで視聴すると、驚くべき映像が出現する。

Ver.1.3a対応HDMI端子を搭載するパイオニアのAVアンプ「VSA-AX1AH」を組み合わせた際も、PureAVのHDMIケーブルは高品位な映像と音を再現してみせた(画像は拡大します)

今回はPureAVのHDMIケーブルについて、画質のほかにもうひとつのパフォーマンスを確認してみたいと考えた。バージョン1.3aのHDMI端子を搭載したAVアンプとして、先陣を切って発売されたパイオニアの「VSA-AX1AH」をBDプレーヤーとディスプレイの間に接続し、映像と音声のHDMI伝送実験を行ってみた。この接続方法は近い将来主流になる形態なので、動作確認は重要な意味を持つ。

実験に使用したケーブルは1.2m、2.4m、9.1mの3タイプ。それぞれBDのハイビジョン映像とマルチチャンネル音声が正常に再生されることを、前述のリファレンスに用いた全てのBDタイトルで確認した。特にリニアPCMフォーマットのサラウンド音声の純度の高さと、高水準の空間再現力は想像を超えるものがある。HDMI接続は音声信号の伝送でも新しい次元を切り開く存在であることにあらためて気付かされた。

HDMIケーブル用アダプター
RazorVision(PAV62301ja04)
¥52,500(税込)
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シアタールームの環境によってはHDMIケーブルを延長が必要になるケースがある。AVアンプのリピーター機能を利用したり、専用のセレクターを利用する方法もあるが、もっと手軽な方法として、コンパクトなHDMIケーブル用アダプターを利用する手もある。PureAVの「RazorVision」は、映像信号のエンハンス機能を内蔵したユニークな製品。専用ACアダプターを接続するだけで使える手軽さがよい。信号を認識してロックすると本体のLEDが点灯する。(山之内)

サブウーファー用オーディオケーブル
PAV50500
「PAV50500-04」(4.6m)¥12,600(税込)/
「PAV50500-08」(7.6m)¥16,800(税込)
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サブウーファーへの信号伝送にはラインケーブルを使用するのが一般的だが、設置条件によってはかなり長いケーブルが必要になる場合がある。PureAVは4.6mと7.6mの2種類のサブウーファー専用ケーブルを用意しているので、環境に応じて最適な長さのケーブルを選ぶことができる。低音域の音声信号に的を絞ってノイズ対策を徹底させていることと、ケーブルの自由な取り扱いを実現するしなやかさをそなえることが特徴だ。(山之内)

スピーカーケーブル
PAV53102
「PAV53102ja100」1mあたり¥1,050(税込) 8月上旬発売/
「PAV53102-30」(9.1m)¥OPEN/
「PAV53102-100」(30.5m)¥OPEN

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5.1ch、または7.1ch再生を実現するうえでスピーカーケーブル選びが重要であることは、あらためて指摘するまでもないだろう。品質と長さを揃え、しかもリーズナブルな価格に収めるのはなかなか難しいものだ。そんなときにお薦めしたいのが、PureAVのスピーカーケーブルである。9.1m、30.5m巻きのほか任意の長さで購入できる商品も近々販売されるので、使用環境に応じて自在にカットし、使い分けることが可能だ。導体はPCOCCのソリッドコア構造、端末加工には各種用意されている別売りのスピーカープラグが便利だ。(山之内)

プラズマディスプレイ 
PIONEER
PDP-5000EX

¥1,050,000(税込)
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BDプレーヤー 
PIONEER
BDP-LX70

¥170,000(税込)
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AVアンプ 
PIONEER
VSA-AX1AH

¥140,000(税込)
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【レポート】
山之内 正(Tadashi Yamanouchi)

神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。近著に『図解インタ−ネットで変わる音楽産業』(アスキー刊/2000年)がある。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、東京フィルハーモニー交響楽団の吉川英幸氏に師事。現在も市民オーケストラ「八雲オーケストラ」(http://home.catv.ne.jp/pp/yakumo-o/)に所属し、定期演奏会も開催する。また年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航。音楽之友社刊の『グランドオペラ』にも執筆するなど、趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。



PureAVシルバーシリーズのホームページ
http://pioneer.jp/import/pureav/
製品に関する問い合わせ先
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TEL/0120-532-372