マクセルは現在、録画用ブルーレイメディアに関して、1回書き込みのできる「BD-R」、何回でも書き換えが可能な「BD-RE」の2種類をラインアップしている(ラインアップはこちら)。BD-Rメディアは2Xと4X、BD-REメディアは2Xのメディアがあり、現時点でのブルーレイの規格上の最高速メディアを揃えていることになる。

ちなみに「現在、録画用のBD-RとBD-REの市場構成比は6対4であり、BD-Rについては2Xと4Xの比率は8対2になっている」(同社)という。録画用のDVDではRとRW/RAMの比率が8対2なのを考えると、ブルーレイでは書き換え型の比率が高いようだ。これは「BDはまだメディア価格が高いため、万が一失敗するともったいないということや、見飽きたら消去してまた記録できるということで、書き換え型メディアが売れているようだ。しかし、最近ではDVDと同様、徐々にBD-Rの構成比が大きくなってきている」という。

最新の規格についても、「今後、より高速な規格が追加されれば、すぐにラインアップに追加する予定」と意欲的だ。
BDメディアのラインアップを説明する、日立マクセルの商品企画担当の方々
さて、ブルーレイメディアに詳しい人なら、最近、「LTHタイプ」と呼ばれるメディアが話題になっていることを知っているだろう。マクセルでは、このLTHタイプのメディアもラインアップしている。このLTHとは「Low to High」の略で、「低から高」という意味。つまり、書き込みをしない状態では反射率が低く、データを書き込むとその部分の反射率が高くなる。従来の記録型ブルーレイメディアは逆に「高から低」に変化する。これはメディアの記録膜の素材に合わせた最適な記録方式を採用しているためだ。

従来のブルーレイメディアではその記録膜に無機(金属)素材を使っていた。これに対してLTHでは有機色素を使っている。そのため、レーザー光線を当てたときの化学変化が異なり、反射率の変化が逆になるのだ。この有機色素メディアのメリットとして、量産効果が出れば無機メディアよりも価格を安くできる可能性がある。

同社が無機と有機の2つを同時に展開している背景には、「無機、有機の両方の開発で競争がおこれば、双方がよりよい製品になっていくと考えている。また、今後、ブルーレイの需要がより高まっていくと考えられるが、両方のメディアを展開することで、十分な量を市場に安定して供給できる」(同社)という多面的な戦略があるようだ。

マクセルではビデオカメラ用の8cmBDもラインアップに加えている。屋外で使われることが多いビデオカメラ用メディアは、室内で使われるレコーダー用の12cmメディアよりも、使用環境がはるかに厳しい。

「8cmBDに対する、ビデオカメラメーカーからの要求スペックを満たすのは非常にハードルが高いが、それを凌駕するスペックを実現した。キズやホコリを防ぐHGハードコート、高精度なバランスでディスク回転の安定性を上げるMHSS技術などを新たに開発する必要があった」という。実際、8cmBDを発売しているメディアメーカーがマクセルを含め数社しかないことが、その技術的な難易度の高さを物語っている。

高精度なスタンパーにより、精度が高く、かつ平滑性に優れたディスクを製造する 8cmBDと、ハードコート無しのDVD-Rを使って、同一条件で耐傷性をテストした結果。BDにはほとんどキズが付いていないことがわかる

マクセルはDVDなど従来から積み上げてきた基礎的技術に加え、難易度の高い8cmBDの生産などから得られた技術をフィードバックすることで、よりメディアの信頼性を高めている。たとえば、マクセルが2004年から4年連続で、CD、DVD、MOの3部門でBCN AWARDを受賞したのも、高い信頼性が実際のユーザーに評価された結果と言えるだろう。

来る6月25日、マクセルから2X対応のBD-R、BD-REメディアが追加リリースされる。これはどちらも内径24ミリまでプリントできるワイドタイプのインクジェットプリンター対応のメディア。レーベル面の外径から内径まで均一な白さであるため「ひろびろ超美白レーベル」という商品名称だ。無機メディアのインクジェットプリンター対応品は従来、4Xにのみラインアップされ、2倍速BDのインクジェットプリンター対応品はマクセルとしては初となる。

BD-R(5枚パック)「BDR25VWP.S1P5S」 BD-R(10枚パック)「BDR25VWP.S1P10S」
BD-RE(1枚)
「BDRE25VWP.1P」
BD-RE(5枚パック)「BDRE25VWP.S1P5S」

※編集部注:価格はいずれもオープンだが、BD-R 5枚パックの「BDR25VWP.S1P5S」は4,000円前後、BD-RE 5枚パックの「BDRE25VWP.S1P5S」は6,300円前後での販売が予想される。

現在、BDメディアの売れ筋は前述のようにまだ2Xメディアになっている。「DVD-Rではインクジェットプリンター対応品の構成比が約9割であり、現在のBD-Rではこれが5〜6割で、今後、より構成比が拡大していくことが予想される」とのことで、2X+インクジェットプリンター対応という仕様は、最大のボリュームゾーンをターゲットとした商品ということになる。

2Xメディアは4Xよりもリーズナブルな価格なので、大量にアーカイブしたい場合には特にお薦めだ。この大量のバックアップを意識し、今回の新製品では5枚パックに加え、10枚パックも発売される。10枚パックでは1枚あたりの単価が下がり、よりお買い得になる。また、複数枚パックの製品では5ミリ厚のケースが採用され、従来の10ミリ厚よりも省スペース化されている。

ちなみに同社によれば、「DVDではインクジェットプリンター対応メディアの4割は印刷、4〜5割は手書きで使われている(web調査:複数回答ありの設問の結果)。そのため、手書きの書きやすさも意識して、レーベル面を仕上げている」とのこと。これはケースに付属しているインデックスカードも同様であり、きれいに書きやすい「書き楽インデックス」と呼ばれるインデックスを付属させている。

使いやすさにおいてもさまざまな配慮がなされているわけだが、前述のように8cmBDで培った技術のフィードバックを含め、長年培ってきた基礎技術を余すところなく投入することで、高い信頼性を持つメディアとなっている。このように高い信頼性と使いやすさへの配慮が、マクセルのBDメディアの特徴と言える。