このページでは、iVポケットを搭載した日立の液晶テレビ“Wooo”「L37-XP03」との組み合わせで、ハードディスクiVとiV対応マルチプレイヤー「VDR-P100」の使い勝手、新しいiV体験をレポートしたい。iVを活用することで我々のAVライフはどのように変わるのだろうか。

“Wooo”「L37-XP03」のiVスロットは、背面から見て右上側面に装備されている。iVの挿入や取り外しの際は、ストッパーなどがなく、単に押し込んだり、引き抜いたりするだけでいいため操作がしやすい。このiVスロットは、iVが挿入されていないときは自動的にカバーされ、ホコリの侵入などを防ぐように配慮されている。

 
Woooの背面のスロットにiVをセット。隣には2.5インチの内蔵HDDが見える   iVスロットはカセットがないときは自動的にカバーされる

iVは出荷時には初期化されていないため、使用前に初期が必要になるのだが、はじめて使うiVをセットすると初期化を促すメッセージが表示され、「はい」をクリックすることで初期化処理が実行される。初期化時間は1分未満と短く、待たされる印象は受けない。

初めて使うiVを使う際は初期化する必要がある

 

Woooでの録画予約時は、保存先としてHDDだけでなくiVを選択することもできる。そのため、ユーザーは他の人に見せたくない録画を自分のiVに保存するなどという使い方もできる。ただし、コンテンツ保護の関係で、両者ではコピー可能回数が変わってしまうのには注意が必要だ。HDDに記録するタイトルはダビング10となるが、iVに直接録画する場合はムーブのみとなる。

さて、録画タイトルを再生する際はリモコンの「見る」ボタンで録画をリスト表示させて選択するのだが、ここでメニューを起動し、「ダビング」を実行することで録画タイトルをダビングすることができる。複数タイトルを選択して一括ダビングすることも可能だ。

320GBタイプのiVを使い、内蔵HDDからiVにダビングにする際の時間を計測してみたが、1時間のTS録画タイトルで、単純なダビングの場合は6分15秒程度、ムーブの場合は6分40秒程度だった。逆にiVDRから内蔵HDDへのダビングについても計測してみたが、これは7分23秒程度だった。後者のほうが遅くなったのは、内蔵HDDの方がiVより書き込み速度が遅いためかもしれない。どちらにせよ、ブルーレイより高速にダビングが行えるのは言うまでもない。

ちなみにiVからHDDに書き戻した場合、ダビングの残り回数が増えるのではなく、HDD側に新規のタイトルとして追加される。このタイトルは再びiVカセットに書き戻すことも可能であり、自由度が高い。このあたりが一度記録したら他に転送できない光学メディアとの大きな違いであり、その利便性は高い。

ダビング時の画面。iVDRから書き戻したタイトルが「ムーブ」と表示されているのがわかる

 

さて、いよいよiVマルチプレーヤーを使ってみよう。iVのセットは、ドライブカバーを開けてカセットを奥まで押し込むだけ。これで自動的に認識処理が開始され、処理が行われたのち、すぐにタイトルの再生が行える。

 
上から見るとスクウェアなボディ。小型軽量で持ち運びやすい   ドライブカバーを開けてiVをセットする

iVを認識しているところ。10個ほどのタイトルがある場合、55秒程度かかった


実際にコンテンツを再生する際は、トップメニューから「TV番組」を選択したあと、iV内の録画タイトルを選ぶ。タイトルリスト表示では録画番組ごとのサムネイル画像が表示され、選択しているタイトルが画面左上で再生されるなど、番組の内容がすぐにわかるよう工夫されている。ちなみにプレーヤーで再生可能なのはTS、TSE録画のタイトルに限られ、TSXモードで録画した番組が再生できないのはやや残念なところだ。

 
プレーヤーのトップメニュー画面   録画タイトル表示。タイトルのサムネイルが表示されているのがわかる

メニュー操作は付属のリモコンで行うことができる。このリモコンはボタンが少ないシンプルなもので使いやすい。

シンプルなリモコンが付属する

 

今回、WoooとハードディスクiV、そしてiVマルチプレーヤーを使ってみたわけだが、複数のタイトルを高速に、自由にダビングできる便利さを痛感した。

今回は最新の、320GBのハードディスクiVを使ったが、10本程度の録画タイトルを、何の意識もせずにダビングできてしまうのは、ブルーレイのような光学メディアにはない感覚であり、実に新鮮だ。しかもそのダビング速度もブルーレイと比べ高速で、短時間で済んでしまう。

そして、そんなタイトルをiVマルチプレーヤーで見たら、必要に応じて内蔵HDDに書き戻すことも可能だ。この時も、転送速度が速いために転送することに面倒さをあまり感じない。iVはブルーレイに比べ、ハイビジョン録画を格段に手軽に行えることは特筆しておきたい。

さて、これらはもともとiVが備えていた特性なのだが、これまではWoooでしか再生できなかったため、ユーザーがそのメリットを実感できるシーンは限られていたと思う。

iVマルチプレーヤーの登場により、iVならではのポータビリティーが存分に活用できるようになり、iVの利用価値はさらに大きく広がった。とはいえ、これこそが本来のiVの姿であり、ようやくその本領が発揮されるようになったと言うべきなのだろう。