本機はDVDスーパーマルチドライブを搭載し、CDやDVDの記録・再生に対応しているが、それに加えてDVDオーディオの再生もサポートする。スーパーオーディオCDに対応していないのは非常に残念なことで、PCに搭載可能なドライブの登場が痛切に望まれるが、通常のPCに比べれば音楽ファンにとって存在価値の高いモデルであることは間違いない。

今回HDC-7との音質比較を行ったユニバーサルプレーヤー「DPS-6」

本機の音質を確認するために、まずCDの音を聴いてみよう。普及クラスのAVアンプを用意し、本機のステレオ専用出力からのアナログ音声と、同軸デジタル接続で試聴した。スピーカーはオンキョーのHTSシリーズを組み合わせている。また、比較用にインテグラのユニバーサルプレーヤー「DPS-6」も用意した。

PCのアナログ音声出力は一般的に情報量やS/Nに不満を感じることが多いのだが、本機の再生音はそれとは対照的に高密度でダイナミクスにゆとりがあり、押し出しの良さや力強さもそなえている。クラシックではオーケストラのスケール感に違いが出てくる。特に、全員がフォルテで演奏するフレーズの量感と空間のサイズはアナログ出力、同軸出力ともに余裕を見せた。さらに1ランク上のコンポーネントと組み合わせても良かったかもしれない。S/N感はさすがに「DPS-6」の方が優秀だが、本機で再生しても弱音が歪んだり透明感を失うことはない。信号のS/Nとともに、HDC-7の動作音がもう1ランク改善されればハイファイコンポーネントとして通用するのではないだろうか。

DVDオーディオを再生する場合は、MCEからいったん抜けて、PowerDVDが起動する。その際に基本的な操作はリモコンで可能だが、ダイアログボックスの操作はキーボードまたはマウスに持ち変える必要があった。これは少し残念な点である。また、視聴時に用意したDVDオーディオのタイトルのなかに認識できないタイトルが1枚あったが、理由はよくわからない。

DVDオーディオの再生は、HDC-7に特別に追加された機能 DVDオーディオの再生には「PowerDVD」を使用する

マルチチャンネルで聴く再生音は空間密度が非常に高く、ホールの空間を髣髴とさせる臨場感をたたえていた。ホルンの間接音が客席を満たす様子や、弦楽器のトレモロが軽快にリズムを刻むフレーズなど、PCで聴いていることを忘れさせるような生々しさが感じられた。

なお、CDやDVDの再生時は本体ディスプレイにトラック番号や経過時間が表示されるが、DVDオーディオの場合は画面で確認する必要がある。また、音声出力の設定を行う「SigmaTelAudio」を起動し、「ドルビープロロジックIIxを有効にする」のチェックをはずしておかないと、ステレオを含むすべての音源がマルチチャンネルで再生されてしまうので注意が必要だ。