「ELS-65GL1」はフルハイビジョンの魅力を余すところなく表現する
フルハイビジョン向けに新規開発した「3LCD高輝度エンジン」が鮮やかで、きめの細かい色彩を実現
Gシリーズの上位モデルは65インチの「ELS-65GL1」。65インチといえば画面寸法で幅およそ144センチ、高さ80センチの超ビッグサイズだ。心臓部の光学ブロックは「Sシリーズ」のエンジンをベースに新規開発したフルハイビジョン仕様のもの。RGBの各色に対応した1920×1080画素の3板タイプ(3LCD)で、画素数は200万を超える。情報量は720pタイプのほぼ2倍だ。ダイクロイックミラーやプリズムの精度などをさらに高めた最強力のエンジンとなった。新パネルは1080pだが、インターレース1080iのハイビジョン放送をI/P変換して1080pに合わせ込むため、いっそうキメ細やかなハイビジョン画質が得られるのである。

またリアプロジェクション方式の性格上、光学レンズを経た光はスクリーン面でR、G、Bが1点でドンピシャに合う仕組みだ。プラズマなどの直視型テレビがR、G、Bを別個に表示するのとは違い、自然な表現が可能になる。プロジェクションテレビが目にやさしく、しっとりと自然な画質といわれる理由でもある。なおアイリスの自動制御を行うPBエンハンサーと併せて、スクリーンにも外光カットや黒処理を施したPBスクリーンを採用している。
リモコンの「番組表」ボタンで呼び出せるEPGは、地上・BS・110度CSデジタル放送に対応
「ELS-65GL1」の映像はさすがに雄大である。グンと拡大された自然風景やサッカー、アイスホッケーなどのスポーツ映像は生々しく、画面に吸い込まれるような快感を覚えるのだ。ハイビジョン放送を見る機会は多いが、リビングで、しかもこのサイズで味わう圧倒的な精細感は別格である。輝度ムラも抑えられ、ユニフォーミティも優秀。特に印象深いのがしっかりとした黒の階調性と、色のテクスチャー(質感)だ。肌色再現も片寄ることなく、自然に描かれている。10億色のカラーパレットをもつ「Color Reality II」の効用だろう。

DVDの視聴では、映像モードを切り替えてみた。ダイナミック、ナチュラル、シアターのうち、シアターポジションを選ぶだけで、自動的にPBエンハンサーが入り、グッと黒が締まって暗部描写が豊かになるのがわかる。これはみごとなフィルム階調だ。「オペラ座の怪人」「バットマン・ビギンズ」など、黒再現の重視されるソフトでは効果絶大。いっそう重厚さがひきたつ印象である。

この機能を切り替えるには、設定項目のカスタムに入り、黒伸長の項目を調整しよう。設定によってアイリス制御も設定され、それにあった回路補正(黒伸長)も行うという合わせワザだ。
もうひとつの魅力は、贅沢ともいえるサウンド。テレビらしくない、ハリと厚みのある豊かな響きは本シリーズならではの魅力だ。大型バッフルと12cmウーファーの余裕のある低音が、臨場感を後押しする。戦車のようなバットモービルが疾走するシーンは思わず手に汗握るが、さらにバーチャルサラウンド機能「SRS TruSurround XT」により、頭上をすっぽりと包囲する臨場感が得られ、快感の一言につきる。これはいい。

Gシリーズ専用設計のスピーカーはONKYOと共同で開発。2ウェイ2スピーカーの本格仕様だ 高音質を追求し、大型のエンクロージャーを採用。容量は65V型で約5.5リットル
「リビングステーション」では、ビッグサイズをより身近にしたスタンダードなS2シリーズ(720pモデル)が先行発売されており、今回フルハイビジョンのGシリーズ(1080pモデル)2機が加わったことで、ラインナップが完結したことは嬉しい。

また価格についてとびきりのニュースがある。65GL1が59.8万円、また55GL1については49.8万円と、いずれも10万円の大幅ダウンが計られているのだ。発売時期は当初の予定より遅くなったものの、さらに入念に画質、音質が仕上げられており、エプソンのこの英断には拍手喝采。またこの8月からは、スタンダードタイプのS2シリーズについても価格改正が行われ、より低価格でハイビジョンの迫力ある映像を楽しめるようになった。ぜひ常設ショールームなどにも足を運んで、その映像美を確認して欲しいものだ。
福岡県出身。工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術 系高校の教師というキャリアを持つ。現在、日本工学院専門学校の講師で、音響・ホー ムシアターの授業を受け持つ。自宅視聴室に3管式プロジェクターを常設し、ホームシアター研究のための努力と投資は人一倍。フルート演奏が趣味という一面もある。
■LIVINGSTATIONサイト  http://livingstation.jp/

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