ONKYO「C-777」¥73,500(税込)[Phile-web製品データベースで調べる]
CDのフォーマットはサンプリング周波数44.1KHz、16ビットであることに変わりはないが、近年CDプレーヤーの音質性能、表現力は格段に進化していることに驚く。フォーマットによる限界を打破する技術はメーカーの研究努力によるものだが、デジタルにはまだ解明されていない謎が多く、CDに記録されている情報はまだ眠っている要素もあったということになるだろう。音質を改善する手法はメーカーにより異なるが、その成果は新世代フォーマットのSACDが圧倒的な優位性に立てないほど大きく、CDの価値を不動のものとしている。

オンキヨーのC-777はCD専用機として中級価格ゾーンで音質性能を追求した製品だが、クロック周波数の微調機能まで装備しているのは興味深く驚いた。VLSC回路やスーパー・プリシジョン・クロックなどの技術を投入し、この価格で脚には真鍮削り出しインシュレーターが装着されている。マニア向けのこだわりを導入して音質を徹底追求した製品という意気込みが伝わってくる。

側面
背面端子部
VLSC(ベクター・リニア・シェーピング・サーキット)は設計ポリシーを語る大きな特徴で、DAコンバーターのアナログ出力信号に含まれるノイズを完全に除去する方法として開発されたオンキヨー独自の手法である。VSLC回路は比較器、ベクトル発生器、積分器によって構成され、ノイズを含まないアナログ信号を新たに生成する方式となっている。

一般にはローパスフィルターによって対策されているが、オンキヨーはデジタルノイズのようなパルス性ノイズを完全に除去するには不十分と考えた。超高域へ伸びる微小な倍音スペクトラムを聴こえにくくしたり、帯域内に新たなノイズを発生してクオリティを低下させるからだ。これは高S/N、低歪化によってより純度の高いアナログ出力を得られるように重視したものと解釈できる。

付属のリモコンでクロックの調整が行える
スーパー・プリシジョン・クロックは発振周波数偏差が±1.5PPMという高精度クロックのことである。一般には±30〜50PPMというから、百万分の一クラスで一桁精度が高いことになる。クロック精度の重要性は知られているが中級機でこれほど検討しているのは珍しい。さらにクロック周波数を微調する機能を搭載している。

リモコンで操作するCLOOK調整モードは、標準を中心に±40ステップで周波数を変化させることができる。クロックの発振周波数は16,934,400Hzで、これを最大約70Hz変化できる機能となっている。聴感によって調整設定することが可能だ。

試聴を繰り返し調整していくと、混濁が少なくなり、くっきりと繊細性を高め、中低域は締まり、立ち上がりは勢いがよくなる。写真でいうピントが合った状態のようになるポイントがある。よりS/Nを高め解像度が改善され、初期状態よりもさらに明瞭にすることができた。

ただし、どのポイントがベストかを見いだすのはかなり難しい。ここでは-11がベストであった。一度設定するとどのCDもこれで最良のようだ。調整に使うCDは繊細な情報が高S/N、高解像度で録音されているものがよく、最初は10ステップ程度変化させながらリピート再生して、あたりをつけてから微調するのがよさそうだ。かなり高度なマニア向きの機能で一般にはシステムの能力にもより、わからないということも多いはずだ。その場合は出荷時の設定である標準にして使うことで問題はない。

トレイの精度にもこだわった
デジタルフィルターの特性を切り替える「フィルター」はスローに設定すると、まろやか、しなやかでS/N、切れは甘くなり、シャープロールオフに設定するのが標準的で、これは聴感で誰にでもわかると思う。他にアナログ出力は正相、逆相の切り替えがある。

そのほか、高精度トレイを採用したメカ、英国ウォルフソン社の最高ランクWM8740 SED/RVを採用したDAコンバーター、インレット方式の電源ケーブル、高剛性真鍮インシュレーターなど数多くの特徴を持つ。

【SPECIFICATIONS】

<音声部>
●全高調波歪率:0.0027%(1kHz)
●周波数特性:2Hz〜20kHz
●SN比:111dB
●ダイナミックレンジ:100dB
●再生可能ディスク:音楽CD、CD-R/RW、MP3CD
<接続端子>
●デジタル出力端子:2(光)/1(同軸)、アナログ出力端子1
●RI端子:2
<総合>
●電源・電圧:AC100V・50/60Hz
●消費電力:13W、待機時電力 0.2W
●最大外形寸法:435W×111H×405Dmm
●質量:8.9kg