“AQUOS”から“LED AQUOS”へ。LEDバックライトとシャープ独自のUV2A技術搭載液晶パネルで、飛躍的な低消費電力化、高画質化を両立した“LED AQUOS”第1弾の「LXシリーズ」。その性能からはにわかに信じがたいほどの手頃な価格帯で登場し、話題をさらったことも記憶に新しい。

その後、わずか3ヶ月足らずで、さらに価格や省エネ性能、使い勝手に磨きをかけたLED AQUOSの第2弾「Sシリーズ」が登場し、大きな注目を集めている。

 

52V/46V/40V型は「SE-ライン」と呼ばれ、フルHDパネルと「AQUOS高画質Wクリア倍速」機能を備えていることが、32V型の「SC-ライン」との主な違いである。

“LED AQUOS”Sシリーズのラインナップ。52V型「LC-50SE1」と46V型「LC-46SE1」はブラックとホワイト、40V型「LC-40SE1」と32V型「LC-32SC1」はブラック/ホワイト/レッドのカラーバリエーションが用意される

Sシリーズのポイントとしてまず押さえておきたいのは、LEDバックライト、UV2A技術搭載液晶パネル、「好画質センサー」、「AQUOS高画質マスターエンジン」など、画質に関わる部分のほぼ全てがLXシリーズと同じでありながら、LXシリーズからさらに低価格化を実現したことにある。これは、LXシリーズではダブルだった地上/BS/110度CSチューナーをシングルにし、また音質面でのLXシリーズの特徴である「ARSS」や「DuoBass」といった凝ったオーディオシステムを、シンプルなものに変更することで成し遂げたものだ。

従来の液晶パネルとUV2A技術搭載パネルの比較。リブとスリットが無いため白の輝きが増すほか、光洩れを大きく抑えているため黒のさらなる締まりも実現している

ホームシアターユーザーなら、チューナーはレコーダーに搭載されているものをメインで使っていたり、スピーカーは手持ちのオーディオシステムを利用するケースも少なくない。シンプルかつ低価格なSシリーズを、より合理的な選択肢と感じる方も多いだろう。

 

画質のレビューは次回以降でくわしくお届けする予定だが、基本性能がLXシリーズと同等なだけあって、この価格帯では群を抜く画質を実現していることを、まずは報告しておこう。

この記事が公開されている頃には、店頭でSシリーズ展示が始まっているはずだが、そこでSシリーズの実力をかんたんに確かめる方法がある。これから本番となるウィンタースポーツの中継で、雪や氷の「白」を見比べてみてほしい。Sシリーズが、雪山やスケートリンクの氷をまばゆいばかりの純白で描き出し、清冽な印象を与えることがお分かりいただけるはずだ。この「白」の美しさと質感の高さは、店頭で他のモデルと見比べても一目瞭然なので、ぜひご自身の目で確かめていただきたい。

また白の色味の見え方は、人間が白と思っているものを白と認識しようとする「色順応」と言う生理反応により、テレビを設置している部屋の照明色などに左右される点にも注意したい。通常、色温度が一定のテレビの場合、日中に外光が差し込む部屋では、テレビの白が黄ばんで見え、また夜に電球色で照らされた部屋では、青みを感じる事になる。極端な例では真昼の中継なのに早朝や夕方の印象になってしまうこともあり、好ましくない。

Sシリーズは、LXシリーズ同様に、部屋の照明色を検知し、画面の色温度を自動でコントロールする「好画質センサー」が搭載されているので、画面の多くを白い雪や氷が占めるウィンタースポーツ中継を楽しみにはうってつけといえる。

 

Sシリーズの、もう一つの大きな特長。それは、業界ナンバーワンを達成した省エネ性能だ。52V型の「LC-52SE1」と、同社が昨年6月に発売した同サイズの「LC-52DS6」を比べてみると、実に40.9%もの年間消費電力量削減を実現している。

わずか一年足らずでこのように飛躍的な省エネ化を果たしたのは、バックライトを従来のCCFLから発光効率の高いLEDに置き換えた事と、光の透過率に優れたUV2A液晶パネルを採用した恩恵が大きい。ちなみに、この削減された40.9%に相当する電力量、92kWh/年を電気代に換算すると、約2,000円(1kWhを22円で計算)となる。この数値からも、Sシリーズの低消費電力化の真価を知ることができよう。

2010年は、家電の省エネラベリングの基準がより厳しく見直されるが、業界No1の省エネ性能を誇るSシリーズなら、トップレベルの評価を与えられことは間違いなく、新たなエコポイント基準もクリアする事になるだろう。言うまでもなく、テレビは毎日使う家電製品で、一度購入したら何年も使い続けるモノだから、省エネ性能に対してはよりシビアに目を向けたいものだ。

 

このように、Sシリーズは高い省エネ性能を備えているのだが、さらに消費電力を抑える革新的なアイデアがいくつも採用されていることも覚えておきたい。

今回新たに搭載された、人の動きを感知する「ムーブセンサー」は、人がテレビの前にいない時に節電する機能だ。

本体前面、SHARPロゴの下にムーブセンサーを装備する

他社のテレビでも同様のセンサーを搭載しているものはあるが、Sシリーズでは、人がいなくなったときに画面を非表示にするか、バックライトの明るさを最低まで落とすかを選択できたり、さらに「明るさセンサー」と連動し、照明を落としたら電源を自動的に落とす機能も用意されているなど、よりきめ細かな設定や連動機能が用意されている。

快適さを犠牲にせず、逆に使い勝手を高めながら、なおかつ省エネ効果を高めるこれらの機能により、無理なく節電を行うことが可能になるだろう。

 

Sシリーズは使い勝手の面でも多くの進化を遂げているのだが、特に目を引く新機能が「常連番組」だ。「常連番組」は、いつも見ている番組やジャンルを分析・記憶し、表示する機能。番組表を表示した際、通常のチャンネルと同列に表示されるのが新鮮で、まるで自分専用のチャンネルができたような感覚だ。

Sシリーズの番組表。左端に「常連番組」列が追加されている

 

リモコンの最上部に「常連番組ボタン」を備え、ボタン一発で常連番組に切り替えられる

リモコン最上部にも「常連番組ボタン」が新設され、ボタン一押しで常連番組に切り替えることができる。常連番組モードに設定しておけば、チャンネルを自分で切り替えることなく、自動的にふだん見ている番組に切り替わるので、見逃しを防止する効果も期待できる。

 

ほかにも、HDMIは「Instaport」に対応し、高速で入力切替ができるほか、HDMI 1.4の新機能である「コンテンツタイプ連動」にも対応。またLXシリーズに搭載され、ユーザーからの評価も非常に高いというHDMIリンク機能「AQUOSファミリンクII」も引き続き搭載した。さらに「AQUOS.jp」をはじめとするネット機能が非常に充実しており、なおかつ非常に高速なページ表示を実現していることも特筆しておきたい。

 

ここまで“LED AQUOS”第2弾「Sシリーズ」の特長を概説してきたが、Sシリーズが手頃な価格ながら革新的な機能と性能を備えていることがお分かり頂けたはずだ。次回は「省エネ技術」「省エネ機能」「画質」「機能・使い勝手」のそれぞれについて、よりくわしいレビューをお届けする。