AKM(旭化成マイクロシステム)社は、1983年に化学繊維で知られる旭化成(株)が米国AMIの子会社AMI−JAPANに50%の資本参加をし、旭マイクロシステム社を創立した時点に始まる。その後、84年にはデザインセンターを創立、86年には100%資本となり社名を旭化成マイクロシステム(株)に変更、93年には生産拠点となる九州の延岡製造所を竣工する。2003年には旭化成(株)の分社化により旭化成エレクトロニクス(株)が100%の現在の形態とる。

AKMの設計開発センターCADルーム。300件以上にも及ぶカスタム設計等を通して培われた豊富な経験設計を活かした、その開発スピードの速さと優れた製品のクオリティには定評がある AKMが宮崎県・延岡に構える製造所。国内最上質の水で知られる祝子川に沿って位置する好立地条件に加え、化学工業を母体とした企業らしく半導体生産装置の補助機器を床下に配置するなど、機能性と万全の安全設計を兼ね備えた0.1μクラス1をクリアするクリーンルームから、世界最高水準の製品が送り出されている 「信頼される高品質の製品をお客様に提供する」ことをポリシーとするAKMでは、ISO9001の認証を取得し各製品において徹底した品質・信頼性試験を行い、上質な製品をカスタマーに供給している
化学繊維の大手として、また、我国を代表する柔道選手やマラソンの活躍でお馴染みの旭化成は、総合化学メーカーとして発展し、現在では住宅、エレクトロニクス、医薬、生活用品など、広範囲に展開するが、AKM社は半導体の開発・製造、とくに、民生用ミックスドシグナルデバイスの分野で活躍するメーカーである。DVDプレーヤーや携帯電話などのデジタルコンシューマー機器に不可欠なADC(A/Dコンバーター)やDAC(D/Aコンバーター)は、何と世界的なシェアが約30%(※1)を誇る最大手である。オーディオやAVコンポーネントでは、とかく、海外製のデバイスのみクローズアップされる傾向にあるが、それらの機器にあってもAKM社製の各種デバイスが搭載されていることを改めて紹介しておきたい。

※1 IMSリサーチ2005調べ

AKMの得手とする分野は、ミックスドシグナル(※2)のASSP(※3)で高速、高精度、低消費電力を特徴としたADC、DAC、高速アナログCMOS-LSIなどがある。これら製品は自社のCMOSモノリシックプロセスで造られている。
AKMは得意とするアナログ・デジタル混合テクノロジーにより、オーディオ機器において音の入口と出口の重要な部分を担うADC・DACを中心に、良質なオーディオ用製品群を多岐に渡り供給している(≫写真はクリックで拡大します)

ADCやDACは、とかく、オーディオ機器に限られるように思われがちだが、各種ポータブル関連機器のメモリープレーヤー、携帯電話、各種ビデオムービーなど、広範囲に装備されている。これらの中で、ボータブル機器用のCODECでは世界でNo.1のシェア(※4)を占めていることも余り知られていない。主力のオーディオ及びビジュアル機器用のデバイスの特徴は、音質及び画質の品位の高さにあるが、加えて、ポータブル部門で培われた小型で低消費電力という特徴を兼ね備える。本格的なコンポーネント機器にあっても優れた特徴であり、近年、AV関連デバイスではマニアが納得する高品位性を最重点に開発されている。

※2 アナログ信号・デジタル信号混在のシステム
※3 特定用途向けLSI
※4 IMSリサーチ2005調べ。PC機器を除く