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ハードとコンテンツの両面で3D製作をリードする


3D参入レースが加速しているが、もちろん本番はこれからで、ようやくおもなモデルが出そろったという段階だ。しかし、すでに各社のビジョンには微妙な差があり、3Dビジネスへの展望と取り組みは各社各様という印象を受ける。

そのような中、本腰を入れた取り組みを強く印象付けるのがソニーだ。映画、ゲームを含む3Dコンテンツ製作に早期から参入し、豊富な経験を重ねてきた同社は、ハードウェア中心に事業を展開する他のメーカーとは出発地点が異なり、アプローチは多面的だ。テレビなど家庭用ハードウェア開発の本気度も半端ではなく、画質に軸足を置いた技術提案で特色を見せる。

ソニーグループでは、映画、ゲーム、スポーツなどの分野でコンテンツ制作者としての3Dへのアプローチも行われており、画質評価用の様々な素材があったからこそ3Dテレビ画質を極めることができたと言えるだろう。

例えば、初夏に開催されたFIFAワールドカップ南アフリカ大会の3D化。ソニーが冠スポンサーとしてサポートする同大会は、決勝戦の生中継を含む25試合分の放送が3D化され、スカパー!HD及びスカパー!光で3D放送が行われた。この事実に象徴されるように、コンテンツとハードウェア両面から3D時代到来を強力にアピールできるメーカーは、他には存在しない。

〈ブラビア〉夏モデルの陣容からは3D普及への意志の強さを読み取ることができる。3Dレディモデルを含めると3シリーズ計8機種で3D視聴が可能で、サイズ面では40型から60型までが取り揃えられており、ラインナップでも他社を圧倒。3D対応シリーズはすべて4倍速パネルとLEDバックライトを採用し3D表示品質にこだわりを見せる。




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家庭用テレビで3Dコンテンツを楽しむためには、特別な負担なしに映像に集中できる環境とクオリティを実現することが重要だ。「立体視」はたしかに特別なメリットだが、それと引き換えに視聴時のストレスが増えたり、基本的な画質が劣化してしまうのでは本末転倒というしかない。現在の方式では専用メガネが必要だが、それだからこそ他の環境変化は少なくしておきたいし、解像感やコントラストなど画質面での後退もできれば避けたいのだ。

ソニーの3D〈ブラビア〉の開発陣は、そうした視聴者の心理をかなり強く意識しているのではないか。実際にプロトタイプで3D映像の視聴を繰り返しているが、「くもりときどきミートボール」など映画映像だけでなく、サッカーなど実写映像でも違和感が少ないため、目の疲れを意識せずに長い時間見ていられる。メガネの存在さえ意識しなければ、普通に見ている映像がそのままリアルな奥行きを獲得したように感じられるほどだ。

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3D〈ブラビア〉の映像を視聴する山之内氏(写真はクリックで拡大)

自然な立体感を実現するためには、左目用と右目用それぞれの映像を正確に伝えることが不可欠だ。左右の映像の混在を防ぐために、〈ブラビア〉の3D対応モデルは例外なく4倍速技術を投入しているが、それに加え、LEDバックライトの点灯・消灯を高速に制御し、かつ点灯時には通常よりも明るく光らせることによって、左右映像の混在(クロストーク)を事実上問題にならない程度にまで抑えることに成功するとともに、より明るい3D映像を映し出せるようになった。複数の被写体が異なる速度で素早く動くサッカーの画面を見ても、輪郭のずれや違和感のある動きを見せないのは大きな強みといえるだろう。

3D専用メガネの前面偏光膜がいらないのは液晶方式ならではのメリットで、ソニーのメガネはその長所を巧みに生かして設計されている。

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高速にシャッターを切り替えるアクティブシャッター方式のメガネは、明るさが細かく変化する「ちらつき(フリッカー)」の存在が気になることがある。テレビ画面ではほとんど問題にならないが、テレビの周囲の照明に蛍光灯やLED電球を使っている場合、かなりの確率でちらつきが起きてしまうのだ。照明を完全に消せば気にならなくなるが、リビングルームを真っ暗にするのは現実的とはいえない。

偏光膜が存在しないソニーの3Dメガネの場合は、シャッターの動きに関連したこの種のフリッカーが事実上存在しないため、いつもの明るさのままリビングルームで3D映像を楽しむことができる。実際に体験してみるとよくわかることだが、部屋を暗くする必要がないということは、結果としてストレスを大きく減らす効果がある。特にスポーツ、アニメ、ゲームでは大きなアドバンテージといえるだろう。メガネ自体を明るくできるため、かけたりはずしたりしたときの違和感が少ない点もメリットに挙げることができる。

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TGR-BR100
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3Dメガネ「TGR-BR100」(写真はクリックで拡大)
女性や子どもにも配慮した小型サイズの3Dメガネ「TDG-BR50」(写真はクリックで拡大) HX900/800シリーズ専用の3Dシンクロトランスミッター「TMR-BR100」(写真はクリックで拡大)

ハードとコンテンツの両面で3D製作をリードする

ここで紹介したメリットは3つのシリーズ全機種に共通するが、LX900シリーズとHX900シリーズの6機種については、2Dと3D両方のコントラストを改善する新技術を導入しており、その効果には目を見張るものがある。「オプティコントラストパネル」がその注目技術の名称で、パネル部と手前のガラスの間に特殊な樹脂を充填するというのが、その具体的な中身だ。樹脂層は空気層に比べて光の拡散を大幅に抑えているため、外光とパネルから到達する光の両方で拡散による劣化を防ぎ、高コントラスト映像を実現する効果がある。従来モデルでも液晶パネルならではの精細感を実感することはできたが、オプティコントラストパネルを搭載したモデルは、これが本来の精細感だったのかと納得させられるきめ細かい映像を見せており、ダイレクト感が際立っている。なお、この樹脂層の存在による透過率の変化はなく、明るさが犠牲になる心配はいらない。

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さらに、最上位のHX900シリーズは、直下型かつ部分駆動を導入したLEDバックライト(インテリジェントダイナミックLEDバックライト)を搭載することによって、他の製品とは一線を画すコントラスト性能を獲得した。試作機の映像でも容易に確認できることだが、引き締まった黒の存在が臨場感を確実に向上させており、コントラスト性能の確保が2Dだけでなく3D映像においても重要な意味を持つことを物語っている。

HX800シリーズの2機種はエッジ型のバックライトにも関わらず部分駆動を実現しており、コントラスト性能でもHX900シリーズに迫る水準だ。筆者の印象では〈ブラビア〉の従来機種に比べて高輝度部の描写がより自然になっており、強調感のない素直な立体再現力を獲得していることを実感した。なお、HXシリーズの4機種はメガネとトランスミッターを追加するだけで3D映像が楽しめるので、事実上の3Dテレビと考えて問題ない。3シリーズに共通する2D-3D変換機能にも当てはまるが、手軽さと敷居の低さからも、確実な普及を視野に入れたソニーの3D戦略の特徴を読み取ることができる。

今年後半は複数のBlu-ray 3Dソフトが登場する。テレビの3D性能を見極めるには、完成度の高い3Dソフトを入手し、明るいリビングなど普通の環境で楽しめるかどうかを指標にして画質を吟味することをお薦めする。

spec

3D対応モデル
KDL-52LX900
LX900 series
KDL-60LX900 KDL-52LX900
KDL-46LX900 KDL-40LX900


3Dメガネ2個が付属した、3Dシンクロトランスミッター内蔵モデル

>>メーカーの製品ページ



3Dレディモデル ※別売の3Dトランスミッターと3Dメガネが必要
KDL-46HX900
HX900 series
KDL-52HX900 KDL-46HX900

高コントラスト・奥行き感溢れる映像を実現する最高峰モデル

>>メーカーの製品ページ



KDL-40HX800
HX800 series
KDL-46HX800 KDL-40HX800

エッジライト方式LEDバックライトに部分駆動を搭載したスタンダード機

>>メーカーの製品ページ


Sony-Shop

ROOM BLDG
ソニーストアでは映画、ゲームなど様々なコンテンツで3D映像が体験可能(写真はクリックで拡大) ソニーストア 銀座のある東京銀座・ソニービル(写真はクリックで拡大)
【ソニーストア 銀座】 >>詳細はこちら
●営業時間:11:00〜19:00 ●電話:03-3573-2563 ●住所:東京都中央区銀座5-3-1 ●アクセス:地下鉄銀座線・日比谷線・丸ノ内線「銀座駅」B9出口直結

【ソニーストア 大阪】 >>詳細はこちら
●営業時間:11:00〜20:00 ●電話:03-6344-5410 ●住所:大阪市北区梅田2-2-22 ハービスエント 4F ●アクセス:阪神「梅田駅」西改札より、徒歩すぐ/地下鉄四つ橋線「西梅田駅」北改札より、徒歩すぐ/JR「大阪駅」桜橋口より、徒歩約2分/地下鉄御堂筋線「梅田駅」南改札より、徒歩約5分

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