音楽ストリーミングを信頼のヤマハサウンドで鳴らす!ワイヤレスHiFiスピーカー「NX-70A」を聴く
「シナジスティックドライブ」の歪み低減によって、力強さと精密な定位感を実現する
女声ボーカルをリクエストしてみよう。新時代のスピーカーにふさわしくZ世代を代表するサマラ・ジョイの『ポートレート』から「ラブバードの蘇生」を再生。取材時、最高の体験だった。ジョイの声は太くたくましく音場を貫き、フォルテッシモでいささかも歪まないのが素晴しい。
力強い歌声がセンター領域にぴたりと定位して聴き手をのけぞらせるのは、アンプとスピーカーの一体設計による最適化の効果。ジョイは声域も広いが、ウーファーとツィーターの繋がりが完璧で、ボイスチェンジしても断層がない。アカペラでの影のような自然な残響のつき方に、「シナジスティックドライブ」の歪み低減の効果が発揮されている。
いっぽう、ラファエル・ピション指揮のJ.S.バッハ「ロ短調ミサ曲」は、教会という特殊な条件下での録音であるため残響が過大にかかり、合唱には倍音成分が多い楽曲。「シナジスティックドライブ」の高調波歪を抑え残響や倍音を生かす設計が、この楽曲では行き過ぎて、演奏の実体感の表出をマスクする方向に作用している印象を若干受けた。
ロックの新録を聴いてみよう。ポール・マッカートニー『ダンジョン・レインの少年たち』の「アズ・ユー・ライ・ゼア」は、ポールの弾くアコギの銀色の光沢感、リンゴ・スターのスネアドラムの打撃のバスッという重いインパクトと量感に溜飲を下げる。
いい意味で刺々しさと、荒々しさがある。牙を抜かれたらロックではない。NX-70Aは、美音だけのスピーカーではないのだ。
試聴室の空気を明色に染め上げる浸透力と支配力を兼ね備える
ブラジルの偉大なアーティストの一期一会の共演『エリス&トム』(アントニオ・カルロス・ジョビン、エリス・レジーナ)。1974年のロサンゼルスでのセッション時の記録フィルムが52年の時を超えてこの春上映されブームを呼んだ。エリス・レジーナの声は明るい。倍音を豊かに含んでいるからで、NX-70Aはその引出しが巧い。
高調波歪を抑えつつ倍音成分を犠牲にしない。このコンパクトなスピーカーはソース機器も外部アンプもなくたった一組で試聴室の空気を明色に染め上げる浸透力、支配力がある。
最後にインターネットラジオによって、肉声を人らしい温度感で伝えることはスピーカーの基本も検証。筆者が毎週担当しているFM音楽番組「ピュアサウンド、ナウミュージック」をアーカイブした音源でアナウンスする自分自身の声をチェックしてみた。
情報量が豊かでアンテナで直接受信した時の生々しい声の芯、温度感がNX-70Aならデフォルメなく伝わってくる。自分やゲストの声だけでなくスタジオの空気、広さまで再現する克明さがある。
ホームオーディオの新しい1ページを実感させるワイヤレスHiFiスピーカー
多数の音源を試聴して感じたのは、NX-70Aは音楽で一番大事な声の表現に優れるスピーカーであるということ。音楽に精気、生彩を加える倍音の扱いが巧みなのだ。多種多様な楽器製造を通じて培ったヤマハの経験、技術、ノウハウから生まれたユニークなワイヤレスHiFiスピーカーである。
現在、ワイヤレスHiFiスピーカーは、海外ブランドを中心として着実にモデル数が増えてきている。そういった市場の中、NX-70Aは単につながる/かんたん/合理的といったお手軽さを求めるのではなく、音質を主軸にしながらも、ホームオーディオの新しい1ページを実感させる野心作なのだ。
それをなさしめた背景に、ヤマハの出自である楽器屋としての趣がある。他社のベースが電気であるのに対し、ヤマハのそれは音響工学であり、音楽である。
新機軸の高音質技術「シナジスティックドライブ」も、アコースティックからエレクトリックまで、あらゆる楽器を手がけてきヤマハならでこその着眼ではないだろうか。
そして、家庭での音楽鑑賞の在り方への深い洞察。NX-70Aには、世にいわれるオーディオの停滞を吹き飛ばすパワーがある。いま何を措いても体験すべきワイヤレスHiFiスピーカーだ。
[SPEC]
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:30mm ドーム・ツィーター×1、130mm コーン・ウーファー ●アンプ:60W(ツィーター)、100W(ウーファー) ●入力端子:HDMI×1(eARC対応)、光デジタル音声×1、USB Type-A×1、アナログ音声(ステレオミニ)×1、LAN×1 ほか●出力端子:サブウーファー×1 ●外形寸法:189W×333H×234Dmm ●質量:5.7kg(プライマリー)、5.4kg(セカンダリー)
(提供:株式会社ヤマハミュージックジャパン)
