オーディオテクニカ「AT-LP7X」速攻レビュー!レコード入門者にもベテランにもオススメの実力派プレーヤー
オーディオテクニカからアナログプレーヤーの新モデル「AT-LP7X」が登場。伝統的な “J字アーム” を備え、様々な部分がブラッシュアップされた新型の実力を、評論家の炭山アキラ氏がさっそくチェックした。
ベテラン評論家が衝撃を受けた銘機の後継モデルがついに登場!
オーディオテクニカは、21世紀の初頭頃まではカートリッジとヘッドホンのトップブランドというイメージで、レコードプレーヤーも古くから発売していたものの、どちらかというとビギナー向け、ゼネラル向けの商品が多かった。
それでも、現行のAT-LP60Xにつながる最もベーシックなモデルすら、レコードへ収められた音楽をかなりしっかりと表現することに驚かされたものだし、また5万円と比較的リーズナブルな価格のAT-LP5も、驚くべき高精度のトーンアームが装着されていて、ちょっと信じられない表現力を聴かせたものではある。
しかし、カートリッジをさまざまに交換して楽しむため、万全な機能性と音質、そして品格を備えたプレーヤーは、後の世代を待たねばならなかった。そんなオーディオテクニカのプレーヤー・ラインナップに大幅な飛躍の時が訪れたのは2018年、AT-LP7の登場によって同社のプレーヤーは一気に "本格" の仲間入りをしたといっても過言ではない。
高精度のモーターからゴムベルトを介して、エンジニアリング・プラスチックスの一種ポリオキシメチレン(POM)削り出しのプラッターを静粛に回す。という構成の製品で、トーンアームは同社伝統の “J字型” ユニバーサルタイプを採用。鳴きが少なく感度の高い、優れたアームだった。
初めて同モデルの音を聴いた時、40年近く前のプレーヤーを修理しながら使っていた私は、「愛機がいよいよ壊れたらこれにするか」と、半ば本気で考えていたくらいである。
待望の新モデル「AT-LP7X」。その特長は?
あれから早くも8年の歳月が流れ去り、前年に生産完了となっていたAT-LP7が、AT-LP7Xに生まれ変わった。黒一色の外装ながらキャビネットの稜線が大きなアールを描いていたりと、意外に柔らかな印象のコスメティックは前作から変わらない。
そのキャビネットは分厚いMDF製でまったく鳴きがなく、叩く指を跳ね返すような強度を感じさせる。
一番の違いはプラッターで、前作のPOMから高比重のアクリルに替わった。手で持ってみてもずっしりと重い。表面はとても丹念に美しく削り出され、レーベル面の落とし込み加工がなされているのは前作と変わらない。
トーンアームは基本的な構成を前作から引き継ぎながら、より使い勝手と調整範囲が向上している。
素のままで使うと14.0 - 19.5g、アームパイプ後端にサブウエイトをねじ込めば17.5 - 23.5gのカートリッジ(ヘッドシェル込み)に対応することができる。高さ調整がベース外周のリングを回して行えるのも嬉しい。
本機はフォノイコライザー内蔵タイプだが、なまじっかな内蔵フォノではない。前作から引き続き、何とMCにも対応するのだ。
他社製品にも絶無というわけではないが、後述する通りここまで本格派で汎用的なMC対応フォノイコが搭載されていることには、まったくもって驚きを禁じ得ない。
本体色に合わせた“ブラック“カートリッジ
付属カートリッジは、接合の楕円針を持つ「AT-VM95E」のノブをブラックにした "BK" バージョンで、同社の非常にしっかりした新型ヘッドシェル「AT-LT10」にマウントされている。
AT-VM95シリーズは接合丸針から無垢楕円針、マイクロリニア針、シバタ針まで、数多くの交換針に付け替えることが可能だから、いろいろ発展が見込めるシステムでもある。
フォノケーブルは両端RCAタイプで、付属ケーブルは非常にしっかりしたものだ。そこそこの太さを持ち、シースはどこかポリオレフィン系を思わせるしっとりとした手触りだ。
ダストカバーは珍しくヒンジを持たないタイプで、使用しない時の埃除けのようにも感じさせるが、実物は非常に分厚く上質の樹脂製で、演奏中にカバーを載せても音質的な悪影響は極めて軽微だ。音質をよく考慮した、マニアックなカバーといってよいだろう。
電源はACアダプターだが、それでノイズが乗ったり音がザラついたりすることは看取できない。しかし、ひょっとしたら高級電源装置を投入してやると、さらなる音質向上が得られるかもしれない。今回は試すに至らなかったが、一度実験してみたい項目ではある。
