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PRDGP史上初となる総合賞“4冠”各モデルの受賞理由、作例も掲載!

ニコンの“もうひとつのフラグシップモデル”「Z 8」特別レビュー

公開日 2023/12/15 06:30 山田久美夫
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■画質は高精細。動体だけでなく風景も気持ちよく細密に描く



AF性能も十分過ぎるほどの性能を実現。AF性能というと動体撮影時の追従性に注目が集まりがちだが、「Z 8」の被写体検出とオートエリアAFの組み合わせでは、通常のシーンは被写体にカメラを向けただけで、ほぼ意図したところにピントが合うため、動体撮影時以外も気持ちよく使える。もちろん動体に対する追従性もきわめて高く、よほどのシーンで無い限り、カメラ任せで撮影可能だ。

連写性能は、最高秒間20コマで1000コマ以上連続して撮影可能な通常モードのほか、画像サイズのなどの制限を受けるものの最高秒間120コマで撮影可能な「ハイスピードフレームキャプチャー+」を搭載。さらにシャッターを全押しする最大1秒前から最大4秒後まで画像を記録できる「プリキャプチャー」機能も備え、シャッターチャンスに極めて強い。風景撮影などがメインで、高速連写など使わないという人もいると思うが、ブラケティング撮影やHDR撮影など、動体撮影以外でも威力を発揮するシーンは多いので、上手に活用したい。


画質は、「Z 9」と同じ有効4571万画素の積層型CMOSセンサーを搭載しているため実に高精細だ。あえていえば、有効2400万画素クラスのセンサーに比べて高画素な分、超高感度時のノイズは若干多め。輝度比が極端に高いシーンではやや注意が必要となるものの、優れた解像度を誇るNIKKOR Zレンズとも相まって、被写体を気持ちよく細密に描き、動体撮影だけでなく風景撮影なども存分に楽しませてくれる。

また「Z 8」は、HEIF形式での記録に新たに対応したことで、よりダイナミックレンジの広い[HLG]階調モードでの撮影にも対応している。HDR(HLG)対応のPCモニターやTV、スマートフォンでは、従来のJPEG形式の画像より幅広い輝度域を再現することが可能だ。


このように「Z 8」の魅力は現状でも実に多彩だが、ニコンはファームアップのたびに新しい機能、性能がどんどんと追加され、進化を続けるため、「Z 8」も今後さらに魅力が増す可能性が高く、そうした面からも従来機にないポテンシャルを秘めたモデルといえるだろう。


「ニコン Z マウントシステム」が誕生して今年で5年。ボディ、レンズとも着実な進化を遂げており、ますます魅力的なシステムへと成長している。

今期のDGPイメージングアワードで総合賞に輝いた4製品に代表されるように、ボディはハイエンド系モデルから高い趣味性を備えたモデルまで、フルサイズ機からAPS-C機まで幅広く取り揃え、そのいずれもが力作揃い。そしてレンズも描写性能はもちろん、様々なシーンや要望に対応できるラインアップを構築している。

写真やカメラを通して、豊かで楽しい人生を過ごすベースとして、ニコン Z システムはとても魅力的なポジションを獲得しており、今後の展開にますます期待せずにはいられない。

次ページ「Z 8」と総合賞受賞レンズの作例

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