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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第257回】

ドラム好き必聴!あのZildjianのイヤモニを日本が誇るドラマー3人の曲でチェック

公開日 2020/10/03 07:00 高橋 敦
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説明は豪快だが配慮は繊細!

そんなテンションを抑えつつ、まずはスペック的なところなどの確認から始めるが……

楽器ブランドらしいというべきか、ダイナミックドライバー2基搭載というトピックを持ちながら、技術的な詳細の説明とかはほとんどない。

ここまでに述べた「ダイナミックドライバー2基搭載」「ライブ・パフォーマンスや練習中でも(中略)ロックからアコースティックまで幅広いジャンルに対応」「機能、価格の面で、すべてのドラマーの最初の一台として最適なイヤーモニター」というのが日本版製品ページにある情報のほぼ全てだ。

本国サイトにもその他やそれ以上の情報はない! 2基のダイナミックドライバーというのがフルレンジ×2なのか2wayなのかみたいな記載もない! クラッシュシンバル的豪快さだ!

なのでそこらへんはこちらもすっ飛ばしていくとして…実物をチェックしてみると、装着感や使い勝手などについては、豪快にならずしっかりとした配慮がなされている。製品の作り込みについては写真で確認していこう。

出荷時本体装着のものと合わせて3サイズのSpinFitイヤーピースが付属

リケーブル端子周り:埋め込み型2pinのリケーブル端子。左右や表裏を挿し間違えないように形状などが工夫されている


ケーブルの耳周りは金属ワイヤー入りなど、ケーブルはがっつりイヤモニ仕様

他の付属品は6.35mmへの変換アダプタとクリーニングブラシ


ジルジャンのイヤモニ、そのサウンドは?

ではいよいよサウンドチェック! まずは筆者が試聴に使ういつものリファレンス曲で、いつも通りのチェックをした印象からお伝えしていく。

はじめに全体の印象をまとめると、中高域は心地よいシャープネスとクリアネスを備え、低域側はタイトでスピーディ! だ。

中高域のシャープさは想像通りという方が多いだろう。シンバルが良いのはもちろん、女性ボーカルの清らかな爽快感みたいなところも持ち味と言える。一方で、低域側のタイトさには「もっとバスドラムの太さとかをプッシュしてくれるかと思った」と感じる方もいるかもしれない。

しかし、ドラマー向けモニターとしては、というかステージモニター全般に、バスドラムやあるいはベースなどの低音楽器の再生に求められるのは、太さとか重さとかより、まずはリズムの正確さなのだろうと思う。リズムを合わせ、さらにはほんのわずかなリズムニュアンスのやり取りでグルーヴを作っていく。そういった演奏には、そのリズムを正確に精密に届けてくれるモニター環境が必須だ。

その点、ジルジャンイヤモニはまさに、低音楽器もこもらせたり、もたつかせることなく、タイトにスパッとスピーディーに届けてくれる。アタックの速さだけではなく、音の消え方にも不要な響きを残しすぎない、素直な速さ感がある。

もちろん太さや重さも不足させることなくフラットに確保。低音の速さという要素があるおかげで、バスドラムやタム、ウッドベースなど響きの空気感みたいなところはむしろ充実していると言えるだろう。

総じて「これぞイヤモニ」というサウンド。基本的な方向性としては変に個性を打ち出すタイプではなく、イヤモニとしての素養を高めた上で、ジルジャンとして特に重視する部分を踏まえた仕上げがされている印象だ。

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