【再始動・角田郁雄のオーディオSUPREME】

アキュフェーズ最新フォノEQ「C-47」の音色は「透明度の高い広大なキャンバス」。評論家・角田郁雄の自宅導入レポート

角田郁雄

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2020年05月22日
角田郁雄氏がハイエンドからスモールオーディオまでを実際に使い、その魅力をレポートしていく「角田郁雄のオーディオSUPREME(シュープリーム)」。今回はアキュフェーズの最新フォノイコライザー「C-47」を自宅システムに導入したことについて紹介していく。

角田郁雄氏

■3月にパワーアンプ「A-75」を導入、続けてフォノEQ「C-47」も自宅にやってきた!

今年の1月には想像すらしなかった新型コロナウィルスによる、まさかの緊急事態宣言。皆様は、お元気でしょうか。

外出が制限され、オーディオと音楽を楽しんでますか? 私は、今のところいたって元気です。普段は、仕事のほかに週に約10時間テニスをやっていますが、家に閉じ込められると、自然と体が運動を要求してきて、毎日、部屋で「筋肉体操」をしています(結構、きついです)。 仕事も、執筆以外に普段できない研究や実験など計画的に行い、結構、忙しくしています。

さて、久しぶりのオーディオ話です。今回は、アキュフェーズの最新フォノイコライザー「C-47」を自宅に招いたという話です。少し長文ですが、じっくりとお読みくださると幸せです。


アキュフェーズのフォノイコライザー「C-47」。価格は600,000円(税抜)
実は、私の1階のリスニングルームには、海外製品を組み合わせたシステムとアキュフェーズ・オンリーのシステム(SACDプレーヤー「DP-750」プリアンプ「C-3850」パワーアンプ「A-70」クリーン電源「PS-530」)があります。メイン・スピーカーは、B&W802D3です。そのアキュフェーズ・システムに、3月初旬、A級パワーアンプ「A-75」が加わりました。


角田氏の1階のリスニングルーム。アキュフェーズのコンポーネントを中心に構成している。メインスピーカーはB&Wの802D3
今まで使ってきたA-70もS/Nやダンピングファクターといった性能値が優れていましたが、このA-75は、さらにダンピングファクターを1,000に向上させ、驚くほどのスピーカー駆動を実現しています。

同時に感じたことは、確かに「新しい音」に変化しているのですが、それよりも実感させられることは、録音に優れたディスクを再生すると、あたかも「生演奏であるかのような、生々しい臨場感」を再現することです。

私の推察ですが、おそらく同社は、録音の古い音源であっても、生演奏のような臨場感を実現し、リスナーを魅了することを大きな目標にしているように思います。従って、同社製品に詳しい読者ならご存知のとおり、同社は、S/N、歪み率、ダンピングファクターなどの諸特性を、モデルチェンジごとに、たとえ僅かであっても、向上させてきているわけです。SACDプレーヤー、プリアンプなど全ての製品においてです。そして、それぞれの搭載技術には、音質ばかりではなく、こうした諸特性のさらなる向上を目指して開発されていることが、見てとれます。開発思想が統一され、明確なんですね。

■MCのバランス接続を実現する「C-47」。インピーダンスも細かく設定できる

さて、本題のフォノイコライザー「C-47」の話に移ります。まず、デザインです。落ち着きのあるシャンパンゴールドのフロントパネルが一新され、より操作性、表示性を高めています。トッププレートは厚みのあるヘア・ラインのアルミ製に変更され、サイドパネルは美しいウッド仕上げです。より強固で、外部振動の影響を受けない筐体構造となり、重量は14.8kg。


角田氏の自宅に導入されたアキュフェーズ「C-47」
MM/MC対応ですが、技術面での大きな特徴は、MCで「XLRバランス入力」を装備し、回路も全段バランス構成であることです。すなわち、MCのバランス接続も実現したのです。


「C-47」のリアパネル。一番左の「BAL MC」がMCカートリッジからのバランス伝送用端子となっている
その原理を簡単に説明すると、一般的なRCA入力では、ノイズ成分も音楽信号とともに増幅されてしまいます。一方でバランス接続では、信号線に含まれるノイズ成分は、+側と−側の2つの波形に同じ形で含まれ、フォノアンプでは、この信号をバランス信号として受信し、最終的には、2つの信号の差を増幅し、出力するので、ノイズをキャンセルすることができるのです(これは、原理の説明であり、バランス入力対応のフォノイコライザーが、音質に優れるという意味ではありません)。

一般的なバランス接続の概念図。ノイズ成分は+、-でキャンセルされる(図版制作:アキュフェーズ(株))

本機の場合は、XLR入力にバランス対応フォノケーブル(2芯シールド構成)を接続し、セレクターの「BAL MC」を選択すると、入力から出力まで、バランス信号の波形のままで、増幅される回路となっているわけです。

C-47のバランス接続の概念図。入力から出力までフルバランスで伝送されている(図版制作:アキュフェーズ(株))

入力数は、MC用XLR入力1系統、RCA入力3系統ですが、現代のカートリッジに対応させるために、負荷抵抗をMCでは10/30/100/200/300/1kΩとし、MMでは1k/47k/100kΩとしています。他の機能としては、2段階のゲイン・スイッチを装備し、2Ω以下という、特に低いコイル・インピーダンスMCにも対応できる70dBのHIGHポジション設定があることにも感心しています。さらにカットオフ周波数10Hz,-12dB/octの音質劣化の少ないサブソニック・フィルターも装備しています。

■LR独立したディスクリート構成、美しい内部回路に感激

私が、思わず感激してしまうのは、内部回路です。実に美しい回路構成で、表示・制御回路/電源トランス/安定化電源回路/イコライザーアンプ回路を干渉させず、完璧に区分されていることが見てとれます。後部には、イコライザーアンプ基板が配置されていますが、大きな特徴は、L,Rを2階建にしたディスクリート構成によるデュアル・モノラル・フルバランス回路となっていることです。


C-47の内部回路。電源トランス、電源基板、イコライザーアンプ部のパーツが整然と並べられている
そして、電源トランスやコンデンサー等の電源回路もL,R分離するだけではなく、表示・制御用電源も分離しています。ですから、電源部を含めた完璧なデュアル・モノラル・フルバランス回路なのです。

そのコアとなるイコライザーアンプ(1ch)を説明します。基板は、今では、世界でも類を見ないと思われるガラス布フッ素樹脂基板(テフロン基板)。優れた伝搬特性と低容量が特徴で、医療機器や高精度測定機器などで採用されています。この基板の右に12式のリレーがありますが、これで負荷抵抗を切り替えます。そして、信号は、独立したMMまたは、MCヘッドアンプに接続します(低雑音、高増幅率、広帯域特性を実現する電流帰還型)。


C-47のイコライザーアンプ部。これが1ch分で、LR独立の2段構成になっている
MMでは、高い入力インピーダンスが必要なので、J-FETを3パラレルで使用しますが、MCでは、低雑音特性が最重要となりますので、J-FETよりも低雑音のバイポーラ・トランジスターを今回、採用し、9パラレルで使用しています。ここで一気に増幅された信号は、左のイコライザーアンプに接続し、増幅され、XLRバランスされる仕組みです。なお、RCA出力では、バランス/アンバランス変換アンプを通過して出力されます。

もう一つ、特筆すべきことは、ゲイン配分です。MMヘッドアンプでは、ゲイン20dBとし、MCヘッドアンプでは50dBとしています。そして、次段のイコライザーアンプで、14dB、HIGHポジションでは、20dB増幅しています。この回路構成とゲイン配分により、ゲイン値に関係なく、MCでは、-155dBV、MMでは-136dBVという驚異の入力換算雑音特性を実現しています。歪み率も、わずか0.005%です。しかも家庭使用での保証値なので、もっと特性に余裕があるはずです。

なお、電源部や基板上の高品位パーツは、このイコライザーアンプの性能と音質をフルに発揮するために、吟味され、新搭載していると考えられます。それにしても、私は、この基板や回路構成に、オーディオマインドが掻き立てられるほどの精密感、高級さを感じてしまいました。

「C-47」の音質を自宅で徹底試聴。ワイドレンジで繊細な倍音を引き出す

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