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【再始動・角田郁雄のオーディオSUPREME】

アキュフェーズ最新フォノEQ「C-47」の音色は「透明度の高い広大なキャンバス」。評論家・角田郁雄の自宅導入レポート

公開日 2020/05/22 06:30 角田郁雄
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■驚くほどダイナミックレンジが広く、超高解像度。生演奏のような立体ステージが出現

さて、その音質です。私は、カートリッジやフォノイコライザーの新製品などの音質を試すために、今でも、ヤマハのプレーヤー「GT-2000L」を使っています。慣性力も高く、S/Nも良いので、今でも信頼しています。


ヤマハのアナログプレーヤー「GT-2000L」を使って試聴
今回の試聴では、カートリッジに、ロングランのデノン「DL-103」を選び、シェルには、最近購入したシルバーハートの「SE-10Σ」を使用しました。黒檀とアルミのハイブリッドにより、振動を低減する構造ですが、とにかく美しいです。リード線も使わず、カートリッジをシェルに置き、スライドして、ピンを差し込むだけです(実は、針先位置は、基準より2mmオーバーしていますが、聴感上、音質に問題はないと思い、使ってみたくなりました)。


カートリッジは定番のデノン「DL-103」を使用。「SE-10Σ」はワンタッチでDL-103と接続できる
実際にRCA入力で再生し、感激したことは、弱音から強音まで、驚くほどダイナミックレンジが広く、超高解像度であることでした。聴き慣れたヴォーカル曲、「クワイエット・ウィンター・ナイト」では、歌い手の声質や微妙な声使いをリアルに描写し、これを囲む、トランペット、ドラムス、金属パーカション、ピアノなどの楽器の倍音が、高域まで透明度高く再生され、各楽器の位置関係もよく描写されました。あたかも生演奏のような立体ステージです。


角田氏のレファレンス試聴音源「クワイエット・ウィンター・ナイト」(2L 2L-087-LP)
グレゴリオ・パニアグアによる「古代ギリシャの音楽」では、金属パーカションの響きが鮮烈で、パワーアンプA-75の効果も発揮され、打楽器の音の立ち上がりも実に俊敏でした。ワイドレンジかつ高速レスポンスの印象を受けのです。


角田氏のレファレンス試聴音源「ミューズへの讃歌〜古代ギリシャの音楽/グレゴリオ・パニアグア 」VIC-28067
なお、アンバランスのRCA入力では、バランスのように信号に含まれるノイズはキャンセルされませんが、MCヘッドアンプでバランス化されるので、前述の回路技術が反映され、このような音質が再現されるのです。もう少し、説明を加えると、前述のように、入力換算雑音特性と歪み率特性に優れているので、録音やマスタリングに優れたLPを再生すると、あたかも生演奏のような臨場感を体験させてくれますし、レコードシステムのダイナミックレンジも拡張された感覚となり、特に音楽でエッセンシャルな弱音や微細な倍音、余韻を存分に披露してくれています。

また、使用するカートリッジやプレーヤーの真の性能を引き出している印象も受けています。ですから、愛用のレコードシステムが、一気にアップグレードされた気分になっています。今では、コレクションしてきたカートリッジを交換しながら、アキュフェーズ・システムで、レコードを楽しんでいるところです。

■バランスケーブルを自作し、ハイエンドシステムにも「C-47」を導入

次に本機を2階のリスニングルームの移動し、デンマークのbergmannの「magne」というリニアトラッキングアーム搭載のプレーヤーに接続しました(アームとプラッター軸受けは、エアーフローティング方式)。カートリッジは、マイソニックのSignature Platinumです。アンプは、プリアンプKX-R TwentyとモノラルパワーアンプMX-R Twentyで、スピーカーは、ビビッドオーディオのGIYA G3-S2(ユニットをアップグレード)です。


bergmannのアナログプレーヤー「magne」とともに設置されたC-47

2階のリスニングルーム。メインスピーカーはVIVID AUDIO、アンプはAyreを使っている
なお、プレーヤーの出力は、RCAなので、私は、今回、RCA→XLR変換バランス型フォノケーブルを自作しました(静電容量の低いマイクロフォンケーブルを使用)。これにより、本機でバランス受けが可能となります。実際に再生して、感じたことは、より一層、演奏の臨場感が鮮明になり、音が高密度化されたことです。


RCAからXLRに変換する自作のバランス伝送用ケーブル
音の透明度、静寂感、空間性も一層高まり、演奏の実在感をより鮮明に描写します。ライブ録音LPでは、演奏の迫力が増した感覚となります。これは、搭載回路の性能とバランス伝送によるノイズ低減の効果だと実感しています。

■本機の音色は「極めて透明度の高い、広大なキャンバス」

読者の皆さんは、本機自体の音色もお知りになりたいことでしょう。私は、本機の音色は、極めて透明度の高い、広大なキャンバスのように思えてならないのです。つまり、この透明なキャンバスに、色付けをするのは、再生するレコードに内包するスタジオが創ったトーンや暖色系あるいは、明るく豊かな響きなどのコンサートホールのトーンがベースとなり、これに使用するカートリッジの特性や音色がミックスされているように思えるのです。それほどに、本機は、入力される信号の純度を維持し、ダイナミックレンジが広く、超低ひずみの高解像度な音質で、音楽を、生演奏のような質感で、空間描写してくれるのです。

読者の皆さんにも、このまさかの緊急事態を何とか切り抜けて頂き、このC-47のデザイン、搭載技術、音質を、ぜひ、専門店で確かめて頂きたいと思うところです。

最後に、私は、長く愛用できる機器で、音楽を楽しむことは、人の心を優しくし、感性も磨き、心の支えと明日への活力になると確信しています。これからも、ともに、仕事に、趣味に頑張りたいものです。

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