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20年間培った技術と感性を結集

【AEx2020「特別賞」受賞】世界のプロも認める“ハイファイ”ブランドの最高峰スピーカー「Krypton3」を聴く

公開日 2020/03/19 11:19 岩井 喬
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■音楽のパッションを的確に伝える豊かな表現力

また、楽器の持つ密度感や演奏の温度感に対する表現力にも長けており、その点を強く感じたのがアナログレコード再生でのサウンド性である。デジタル環境の時とは趣が変わり、中低域の量感が向上。ヴォーカルや楽器のボディ感が充実し、密度の高い低重心なサウンドとなった。

Krypton3ではスタンダードホワイトのほかブラック、ウォールナットのカラーバリエーションを用意。インテリア性を考慮しているところは、なんとも北欧ブランドらしさを感じさせる

オーケストラの底から響くような重低音のエナジーも高まり、躍動感に溢れたハーモニーを聴かせてくれる。ドラムやウッドベースの胴鳴りもどっしりとして安定感があり、ピアノの響きもまろやかに表現。ヴォーカルについてもどこか温かみのある肉づきの良い描写となり、口元もハリ艶良く滑らかに浮き立たせている。まさにアナログならではの濃密な音世界という印象であるが、聴く者の「こうあって欲しい」という思いを汲み取ってくれるかのような親しみのある音色傾向である。これまでのハイエンドスピーカーの概念では計り知れない、音楽性の高さを実感するに至った。

Argonシリーズを以前試聴した時は刺々しさのないバランスに優れた耳当たり良いサウンドが印象的であったが、このKrypton3においてもそうしたリスナーがリラックスできる音色を持たせつつ、さらなる感動の領域に達する空間のリアルさ、音楽のパッションを的確に伝える表現力の豊かさが加わっている。それゆえ投入された技術の高さからくる価格差もあるのだが、それも長い時間かけて向き合うのであれば些細なことなのかもしれない。

プロの世界でも評価された音源を的確に再現する能力だけでなく、リスナーが望む理想のバランス、質感で音楽を奏でてくれる稀有なスピーカーとして、Amphionの存在感は今後ますます高まってくることであろう。

(岩井 喬)


Specifications
【Krypton3】
●型式:3ウェイ4スピーカー、バスレフ、フロアスタンディング型●スピーカー:ウーファー/10インチ・アルミニウム×1、ミッドレンジ/8インチ・パピルスコーン×2、トゥイーター/1インチ・チタニウム×1●インピーダンス:4Ω●再生周波数帯域:21Hz〜25kHz±3dB●出力音圧レベル:89dB●最大入力:100〜300W●クロスオーバー周波数●サイズ:240W×1370H×470Dmm●質量:72kg

■試聴音源
【ハイレゾ】『飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013』96kHz/24bit FLAC(RME-0001/RME Premium Recordins)
【CDリッピング】『メニケッティ/デイヴ・メニケッティ』44.1kHz/16bit WAV(CRIDE35/Dream Catcher)
【ハイレゾ/LP】『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-/V.A.2.8MHz/1bit DSF(KIGA10 ※SACD、FIJA-007/008 ※LP/F.I.X.Records)

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