【AEx2020「特別賞」受賞】世界のプロも認める“ハイファイ”ブランドの最高峰スピーカー「Krypton3」を聴く

■計り知れないほどの高い音楽性を示すサウンド

Krypton3はフラグシップらしく、HeliumやArgonといった同社の他のラインナップとは一線を画した大きなサイズであり、ユニットもミッドレンジやウーファーなど、本機のために特別に用意したものを搭載。まさに創業20周年を記念するにふさわしい仕様を誇る。

特にトゥイーターからミッドレンジにかけての音の繋がりの良さ、自然な音像の際立ち感など、全帯域に渡ってシームレスなサウンドが楽しめる点が印象的。本誌試聴室特有の癖となる部分も感じさせない、バランス良くニュートラルな音色についても特筆すべきものがある。スウィートスポットの広さ、きつさのないしなやかな描写性を含め、Amphionならではの設置場所に左右されない、自然な空間再現性が存分に堪能することができた。

USB DACを上流とするデジタル環境での試聴では、ローエンドも落ち着き良く、弾力豊かにまとめてくれ、音場の奥行き感や余韻の清々しさ、音像の緻密な再現性など、非常にS/N良くリアルな描写を味わえる。

オーケストラは伸びやかな旋律を聴かせ、楽器のボトムも厚みを持たせた落ち着き良い傾向だ。空間を満たすハーモニーの広がり感もナチュラル。定位感も的確で、ディテールのスムーズな描写により、スピーカーの存在を感じさせない立体的で生々しい音場が目前に展開する。ホーンセクションの浮き上がりやピアノの密度良いアタック感も誇張のない自然なタッチであり、ワンポイント収録の音源における音像の動きも極めてシームレス。ていねいな高域の描写性はチタンドームによるものとは思えないほど癖のないもので、シンバルの響きもクリアで分離良い。

ヴォーカルの質感も瑞々しく、ボディの厚みを持たせたナチュラルなもの。しっとりとした口元の存在感と、息継ぎの生々しさは、非常にリアリティが高い。