現代的な高い解像感も兼備

ブランドの歴史を彩り豊かに体現する、FOCAL40周年記念スピーカー「SPECTRAL 40th」レビュー

岩井喬

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2019年08月09日


フォーカル40年の歩みを凝縮した3ウェイ・スピーカーシステム

今や世界的なスピーカーブランドとして名を馳せているフランスのFOCAL(フォーカル)は、今年で創業40周年を迎える。1979年、フランスのサンテティエンヌにある小さな精密機械工房『France Filières』でスピーカーユニット製造を担当していた2人のうち、1人がフォーカルの創業者、ジャック・マユールであった。

当初は、他ブランドへ供給するスピーカーユニット販売ではフォーカル、完成品のスピーカーシステムはJM-Labとして展開。1989年にはカーオーディオ事業部門を、2002年にはプロフェッショナルオーディオ製品部門を設立する。またこの年に全製品がフォーカルブランドへ統一され、2011年にはイギリスのNaim Audioとの合併も果たす。さらに2012年にはブランド初のヘッドホン「Spirit One」を開発するなど、その歩みは留まることを知らない。

“メイド・イン・フランス”のこだわりを貫き、スピーカーシステムの設計・製造から組み上げまで、一貫してサンテティエンヌの本拠地で行っている点も特長といえるだろう。同社の揺るぎないモノづくり、そして確固たるプライドは製品の一つ一つに注ぎ込まれ、世界中のリスナーを虜にしている。

FOCAL「SPECTRAL 40th」価格:960,000円(ペア/税抜)

このフォーカル40年の歩みを記念した3ウェイスピーカーシステム「SPECTRAL 40th」は、国内では40ペア限定で発売されることとなった。SPECTRAL 40thは“ネオ・レトロ(neo-retro)”をコンセプトとし、フォーカルが世界的展開をスタートさせた1990年代、大ヒットを記録したフロアスタンディング型モデル「SPECTRAL 913.1」や「FUTURA ANTEA」、「VEGA」からインスピレーションを経て、現代の技術により大胆にモディファイしたという特別なプロダクトだ。

アラミド繊維を用いた黄色のユニットが特徴


全てのユニットの振動板にアラミド繊維を使用

SPECTRAL 40thの構成は全てのユニットの振動板にアラミド繊維を使用しており、‘M’形状の3.4cmアラミドK2・インバーテッドドーム・トゥイーターと16.5cmシングルスキン・アラミドK2ミッドレンジ、2発の18cmダブルスキン(表面:アラミド+裏面:グラスファイバー)K2ウーファーという3ウェイ4スピーカーシステムである。

SPECTRAL 913.1はトゥイーターのみインバーテッドドーム型のチタン振動板であったが、ミッドレンジとウーファーには同じアラミド繊維を用いるポリケブラー振動板を用いていた。こちらはスクエアなキャビネットを用いており、SPECTRAL 40thとはユニット配置も異なる。

ウーファーやミッドレンジとの波形を揃えるインバーテッドドーム・トゥイーターは、空間再現性や指向特性の点でも優位であり、90年代から現在まで続くフォーカルならではこだわりの一つだ。またアラミド繊維で統一したユニット構成という点では、1991年に発売された当時のフラッグシップモデル「UTOPIA」にも通じる仕様といえる。

最大板厚50mmのMDF材を採用した、重厚感のあるユニット構造

ブラックハイグロス仕上げが施され、美しくFOCALらしいデザイン性も確保している

そして往年のモデルから大きな進化を遂げた高剛性なキャビネットは、側面がウォルナット突板仕上げ、最大板厚50mmのMDFを取り入れたフロントバッフルはブラックハイグロス仕上げが施され、洗練されたデザイン性と重厚感あるスタイルを両立。キャビネット内部にはブレーシングも兼ねた仕切り板の平行配置を避け、定在波の影響を抑える独自のガンマストラクチャ構造を採用。しっかりと重量のある筐体によって駆動力あるスピーカーユニットを支えているのだ。

歴史を感じる重みあるサウンドに、現代的な解像度の高さも兼備

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