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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第239回】

OVER10万円クラス!ダイナミック型ハイエンドイヤホン2019冬、注目の3モデルを徹底レビュー

2019/11/29 高橋 敦
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▼final「A8000」

まずはfinal「A8000」から、概要を簡単に紹介させていただこう。

MAKEシリーズでもおなじみ、final独特のハウジング形状

角張って見えるが耳への当たり感は意外と柔らかい

A8000の最大の特徴は「トゥルーベリリウム振動板」だ。ポイントは、樹脂にベリリウムをコーティングしたものではなく、純粋にベリリウム箔による振動板であるということ。

前者の場合、ベリリウムコーティングによる改善はあるものの、振動板の特性としては樹脂のそれが主体となる。対して後者、A8000が採用するトゥルーベリリウム振動板では、伝搬速度と内部損失などをハイレベルに兼ね備えるベリリウムの特性がそのまま振動板特性の主体となる。

しかし、finalというブランドの製品作りにおいて鍵となっているのは、そうした技術面よりもむしろ、音質設計のコンセプトや手法にある。このモデルでは「トランスペアレントな音」を追求。トゥルーベリリウム振動板やそれに付随する様々な技術設計も、その「トランスペアレントな音」を実現する手段なわけだ。

同社の言う「トランペアレントな音」とは、「空間に浮かぶような感覚の音、遠くに定位していても明瞭な音」とのこと。そんな音を実現する要素を研究、開発していく中で得た答えが、「時間応答性の向上」であり、時間応答性の向上のため採用された技術が、トゥルーベリリウム振動板という流れになる。

なおコスト面においても、トゥルーベリリウム振動板という部材の割合も小さくはないが、それよりもその前段階での研究開発費の方が大きいとのこと。

独特のハウジング形状は装着感に癖がありそうに見えるかもしれないが、実際には耳に素直にフィット。さっと装着するだけで決まったポジションに自然と収まってくれる。ユーザーが装着ポジションをあれこれ試してベストポジションを探る必要もなく、常に安定した音を届けてくれるのが嬉しい。

final上級機でおなじみのシルバーコートケーブル

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